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20240901「その音の揺れ」

わたしを置いて
耳を澄ます
ここを曲がれば
そこでしかない音がする
窓辺に近づき
鳥声届き
雲の移動を受け取って
しばらく目を閉じる
側溝を通る車で
金属の網は踏まれ
その音を響かせる
それも何回も
もう一度閉じて
更に空けて
蟬の声が遠くで鳴いている
足音さえ聞こえないくらいに
もう解けている

角を曲がれば
水の音
随分と慣れてきたし
初めはそれが気になって
眠れなかったけれど
今はそれが流れていてくれて
ありがたいと思っている
同じようなそれであっても
砕けつつ同調し
同じように下っていくのが
当たり前なのだと
そう思えるのが
何だか嬉しくとも思う
何度か雨に打たれ
何度も涙を流し
それらをまとめて
わたしなのだろう

階段の途中で座ったら
下の方と上の方
どちらも聞こえて
中二階で作業をしている
中途半端な高さで見下ろし
または見下ろされ
違う目線で輻輳する
物音を聴く
微かな揺れと
その奥の出来事
角を曲がれば
別の反射
懐の熱を手で触って
もう一度目を瞑ろう
呼吸を深くし
変音を支え
嬰音を放つ

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snufkinsmile
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