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#67『今日拾った言葉たち』(著:武田砂鉄)を読んだ感想【読書日記】
武田砂鉄さんの『今日拾った言葉たち』
読んだきっかけ
今回はnoteの記事がきっかけです。
makiさんの本作を紹介している記事を読んだことで、言葉に触れるのが好きな僕にとってすごく面白そうだな、と思い手に取りました。
このような方にオススメの本です
言葉の中に隠された意味を考えるのが好き
ここ数年の出来事について違った視点から振り返りたい
窮屈な社会になっているとモヤモヤしている
あらすじ
気鋭のライターが、不安だらけの現代を問う!新聞、テレビ、ラジオ、書籍、雑誌、SNSなどから、著者の心の網にかかった言葉を拾い上げ、その裏に隠れた本質に根気よく迫る『暮しの手帖』の人気連載が、充実の一冊になりました。2016~2022年上半期分に大幅に加筆し、書き下ろしコラムや総論を収録。人々が発する言葉の意味や、そこに映る「今」を見つめます。
感想
まるで名言集を読んでいるかのように、響いたり、刺さったり、考えさせられたりした
世の中に溢れる言葉を簡単に受け流すのではなく、じっくり考えたい
言葉を大切に扱おうと改めて思った
まるで名言集を読んでいるかのように、響いたり、刺さったり、考えさせられたりしました。
現代は色んな情報が溢れていて、1つ1つの言葉を受け流してしまいがち。そのような言葉を、今改めてじっくり見るとすごく考えさせられます。時には目を疑うような言葉もあって、そのような言葉を簡単に受け流すことは、世の中に流されて生きているとすら感じたほどです。
まえがき、あとがきに書いてあることも大事にしたいと思いました。
その中で特に響いたのが、まえがきにある
「暮しを軽蔑する人間は、そのことだけで、軽蔑に値するのである」
「暮しを軽蔑する人間は、言葉を大切にしない人間だ」
というフレーズです。
言葉を発した先には「誰か」がいる。言葉を大切に扱おうと改めて思いました。
あとがきで、武田さんは様々なことを危惧しています。何事も即効性が求められているように感じる中で、言葉に関しても簡単に受け流すのではなく、じっくり考えたいですね。
印象的なフレーズ
※太字は、武田さんがピックアップした言葉です
■本屋は勝者のための空間ではなく、敗者のための空間なんじゃないかと思っている。誰でも敗者になったときは、町の本屋へ駆け込んだらいい。
本屋は決して、自己を啓発するためにあるのではなくて、自己をどこに置いたらいいか、どうにもわからなくなった時に、いくつもの椅子を用意してくれる場所なのだと思う。
「本屋さんのあり方」というのが言語化されているようで、すごくしっくりときました。
■わかってもらえないことや、わかってあげられないことが、ちゃんと心地よいままでいたい。わかんない部分があるからあなたと私は他人なんです。
共感は確かに人の気持ちを豊かにするが、どんな場面でもそれをゴールにしてしまっていいのだろうか。コミュニケーションの中でも「わかる!」という頷き合いばかりが行われていく。共感の度合い・回数があたかも人付き合いの密度のように変換されてしまう。
(中略)
詩人・最果タヒによる言葉は、私はここにいる、あなたはそこにいる、という距離を静かに守る。だから、あなたがわからない、と言える。そのほうが人を信頼しているのではないか。
相手とのコミュニケーションにおいて「共感」が何よりも求められているように感じます。その中でこの言葉にはハッとさせられました。共感は確かに大事だけど、自分の気持ちに素直になり、自らを苦しめないようにもしたいですね。
■私たちは、普段横軸の世界に生きている。生まれてから出会った人たちのことを考えたり、いがみあったりしながら、同じ今を生きている。けれど、詩の朗読や音楽というのは、そこに、縦軸を現前させることができるように思う。
■どうして人間に知性と創造力が備わっているのかといえば、自分とは異なるひとと「友だち」になるためではないのか。
どんな人であっても、私とは違う。どんなに近くにいる人とでも違いはある。でも、その違いがあるからこそ、友だちになれる。友だちだから違いを乗り越えられる。
相手との共通点を探しがちな僕にとってすごく響きました。違いを分かり合えるような人になりたいですね。
■みんな自分の「好き」を否定されるのを恐れすぎですよね。
自分の感覚よりも、みんなが評価しているかどうかを重視して本を選ぶなんて、きっと面白くない。
本を選ぶ時だけでなく何事においても、自分の感覚を大事にすることは常に忘れないようにしたいです。
■じつは言語化というのは、「しゃべる側」の問題じゃない。「受け取る側」の問題なんですよ。
どんな人、どんな場面であっても、言葉を受け入れる素地をできる限り広げなければいけない。
日常会話やSNS、テレビなどで流れるニュース。いずれにおいても発信側に目を向けられがちですが、「受け取り方はどうか」を意識したいです。
■番組のアンケートとかで休みの日は何してますかっていう質問がよくあるんですけど、ほっとけよって思いますもんね。だって休みの日なんだから。ただ歩いてるだけだよ、降りたことない駅で、って。
「すごい忙しい社会」の中で、どんな時でも何かをしていなければいけないと思わされていないかと警戒する。目的がないことなんていくらでもあるし、それを人に伝える必要なんて別にないはず。
SNSで色んな方の日常が見えやすくなったことで、何もしていないことが良くないのではと思わされるのは僕にもあります。休みの日なんだから何しても自由、というごく当たり前なことに気づかされました。