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伝統的なアチャール(ピックル)の作り方


こんにちは、アートオブピックルのNeko-chanです。今回は、インドの伝統的な保存食『アチャール(ピックル)』の作り方について、ご紹介します。
インドの漬物「アチャール(ピックル)」は、風味豊かで保存性に優れた食品として、何世紀にもわたってインドの家庭で作られてきました。
発酵、スパイス、保存技術が組み合わさることで、単なる保存食以上の文化的意義や健康効果を持っています。今回の記事では、学術文献も参考にしながらアチャール(ピックル)の多様性とその背後にある科学について探ってみます。

アチャール(ピックル)とは何か?

アチャール(ピックル)は、新鮮な野菜や果物(マンゴー、レモン、ニンジンなど)を主材料とし、塩、スパイス、油で漬け込むことで作られます。この製法には、食品の保存性を高め、栄養価を保持する伝統的な知恵が詰まっています。たとえば、Journal of Functional Foodsの「伝統的に発酵されたピクルス:微生物の多様性がその栄養価と健康効果にどのように関連しているのか?」(Traditionally fermented pickles: How the microbial diversity associated with their nutritional and health benefits?)という文献では、ピクルスは非発酵ピクルス発酵ピクルスに分けられ、発酵ピクルスでは乳酸菌や酵母が発酵過程で腸内環境を整える働きをし、健康効果があることが示されています。

非発酵ピクルス: 高濃度の塩水(最大16%の塩分)を使用する「塩ストックピクルス」や、酢(酢酸)、塩、時には砂糖を加えて風味や食感を作る「酢ピクルス」などがあります。これらは通常、加熱による殺菌が行われます。
発酵ピクルス: 原材料を希釈塩水(2~5%の塩分)に浸けることで自然に乳酸菌が増殖し、1~2週間で乳酸を生成します。これにより、食中毒菌やその他の腐敗微生物の増殖が抑制されます。甘い発酵ピクルスでは、乳酸や酢酸、砂糖、スパイスの組み合わせで保存されます。

地域ごとのバリエーション

インドの地理的条件や文化的背景により、アチャール(ピックル)のレシピや材料は驚くほど多様です。たとえば、北インドでは辛味の強いマスタードオイルを使ったピクルスが一般的ですが、南インドでは香ばしいゴマ油(セサミオイル)が好まれます。また、山間では乳酸発酵を活用したピクルスが見られます。西ガーツ山脈がある南インドのコダヴァ地方では、山菜を塩漬けにして乳酸発酵させたピクルスが見られます。「インドのアチャール&ピックルまとめ記事」「ピックルジャーニー」にも様々なアチャール(ピックル)を紹介しております。

スパイスの力と保存性

アチャール(ピックル)の保存性を支える要因の一つがスパイスの抗菌作用です。スパイスに含まれる化学物質が微生物の繁殖を抑制し、食品の酸化を防ぎます。強い抗酸化作用もつフェヌグリーク(メティ)、ターメリック(ウコン)やクミン、ヒングに含まれる硫黄化合物は抗菌作用があり、雑菌の繁殖を抑える働きがあります。これらのスパイスがアチャール(ピックル)の風味を深めると同時に保存期間を延ばす役割を果たしています。

作り方の基本ステップ

  1. 材料を準備: 新鮮な野菜や果物を適切な大きさに切り、塩を振って水分を抜きます。

  2. スパイスの調合: スパイスを乾煎りして香りを引き出します。グラインダーで粉にします。この粉をアチャールマサラ(ピックルマサラ)と呼びます。

  3. 油の加熱: 不純物を取り除き、酸化を抑制する目的で、オイルを一旦加熱して冷まします。

  4. 漬け込む: 漬け込む: 材料、スパイス、油を混ぜ合わせ、清潔な瓶に詰めて常温で1週間程度熟成させます。ただし、発酵が進んだ後は冷蔵保存をおすすめします。

アチャール(ピックル)の健康効果

アチャール(ピックル)は単なる保存食品ではなく、発酵過程を通じて健康効果を提供します。乳酸菌や酵母が生成する有益な化合物(例:「消化を助ける乳酸菌」や「免疫を高める酵母の成分」)は、消化器官の健康をサポートし、免疫機能を高める可能性があります。

まとめ

アチャール(ピックル)の世界は、スパイスの力や発酵の魅力を実感するために欠かせない存在です。その多様性や背後にある科学的なメカニズムを探ることで、伝統的な食品の奥深さを再発見できます。皆さんも、ぜひアチャール(ピックル)作りに挑戦し、その魅力を体験してみてください。

アートオブピックルについて

最後に、アートオブピックルでは、インドの伝統を取り入れた多彩なアチャール(ピックル)をオンライン販売しています。自分で作る楽しみはもちろん、伝統的手法と広島県産の柑橘類を利用したアートオブピックルのアチャール(ピックル)で本場の味もお試しください。


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