どこからがカスハラで、どこまでは我慢するべきなのか?
少し前に、社内で「カスタマーハラスメント」に関する研修があった。
その資料に上記の様な「カスハラの例」が記載されていた。
ここには詳しく書かないが、例に出てきた「ミス」の内容がまぁまぁ酷いミスだったので、お客様が怒るのも無理がない様な気がした。
早速社内のメンバーに「土下座をして謝る」事についてどう思うか聞いてみると、想像以上に意見が割れた。
「謝罪はするけど、土下座はないでしょう」
「自分が迷惑をかけたんだから、土下座しろって言われたらするでしょう」
おぉっ!!
因みにこの「意見の割れた方々」は同世代の方である。
(私より年上)
こうなってくると「カスハラ」とは何なのか?がよく分らなくなる。
矢面に立つと言うこと
人生の中で一度も「土下座しろ!」なんて言われた事はない。
だけど、数年前に「会社のルール」について顧客から苦情が来て対応する為に1人で現場へ行った事がある。
どんなに怒られても、文句を言われても、私はルールを変える事もできないし「今日だけOKですよ!」という事もできない。
20歳程年上と思われる男性に狭い部屋の中で散々怒られ、ルールに沿わない書類を受け取るハメになった。
会社に戻ると当時の上司から「それは受理できないと言って、書類を置いて帰ってくればよかった」と無茶な事を言われた。
相手は物凄い勢いで怒っていたし、怖くて仕方がなかったのだ。
目の前で1対1で対峙する事と、後から聞くのでは違う。
「会社の人間だから」「大人だから」「社会人だから」
ハッタリでも「毅然とした態度」を取らなければいけないのだろうか?
「怒鳴られた」はアリで、「土下座しろ」はカスハラなのか?
怖いモノは怖い
その「数年前に怒鳴られた顧客」に対して、つい最近電話をしなければいけない場面があった。
私は名前を見た瞬間に震え上がり「電話したくない、二度と接触したくない」と訴えてみた。
上司は「そういう人であれば、もし先方の所へ出向く事になったら一緒に行くので電話だけは入れてよ」と言う。
だけど私は声も聞きたくなかった。
名前を名乗るのも嫌だった。
実は私の苗字は日本国内に10世帯もない珍しい苗字なので、名乗るだけでも個人が特定されるリスクが物凄い高い。
市内に同じ苗字の家が1軒もないのだから💦
しかし、どんなに嫌がっても私がその顧客の窓口として担当を割り当てられているのでどうしようもない。
結局、渋々電話をして今回は何事もなく終わった。
「怖いから接触したくない」なんて子供じみている。
だけど、その顧客と再び接点を持った事でその日は一日中胸がザワザワした。
名前を確認されたので、また電話がかかってくるかもしれない。
そう思うだけで、会社に行く事すら怖くなる。
若者が辞めるのも分かる
振り返れば、私は運動部に所属したこともないので
「他人から怒鳴られる」という経験を一回もした事がなかった。
もしかしたら、あの日が初めてだったかもしれない。
怒鳴られた直後は恐ろしくて「仕事を辞めたい」と思った事もあった。
勿論、積み上げてきたモノや生活があるので「もう嫌だ!辞めてやる!」なんて事はできないし、続けている。
だけど、これが「新入社員」だったら?
社歴も浅くて、自分に任されている仕事もない。
家庭を持っているワケでもない。
他にも仕事の選択肢が沢山ある。
もしそういう状況であれば、辞めてしまうかもしれない。
実際に、今20代の子は「鈴木!」「田中!」「佐藤!」など、苗字で呼び捨てにされるだけで「怖い」と感じてしまう子が多いらしい。
それは流石に…と思うけど。
学校現場を見ていると先生は「〇〇さん」と男女問わず「さん付け」で呼んでいる。
幼児教室の先生もその辺が徹底されていた。
ジェンダーの観点から「ちゃん」「君」も禁止という風潮みたいだ。
勿論「呼び捨て」なんて絶対にない。
そうなると「鈴木ー!」と大きな声で呼ばれるだけでもビックリしてしまうのかもしれない。
SNSも発達し、画面越しでのコミュニケーションが増えた。
先生に怒られるどころか、友達同士で「殴り合いの喧嘩」をするような10代もきっと少ない。
そういう子達が成長し、社会人になる。
正直、どこまでが「仕事なんだから」で我慢する所なのか。
どこからが「カスハラ」なのかサッパリ分からない。
単純に世代だけの問題ではない様な気もする。
だけど、近年これだけ「カスハラ」と言われるようになったのは、やっぱりZ世代が社会に入ってきて「仕事なんだから」では納得できない人が増えた証拠なのでは?と思う。
私はZ世代から遠く離れているけど。
怖いモノは怖い。
この先、自分にとっては「たいした事ない」と思う様な事も相手にとっては「たいした事」という事例も増えてくるかもしれない。
体操教室の先生に注意されただけで泣き出す我が子を見ていると、我が子がどんな社会人になるのか?と心配にもなる。
今日も有難うございました。