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しんきろう
2024年5月19日 22:09
生きていて「これは何の時間なんだろう」と思うことがたびたびある。何をするでもなく、ショートしたように固まっている時間。でも、そういう時は、整えていると思うことにした。うまく生きていくために内面外面ともに整えるための時間が必要なんだ、と。そう思うようになってから少しだけ落ち着いた。
2023年10月2日 17:52
むかしね、青い瞳の男の子と出会ったの。夏の終わりの頃だったかな。うちの近所の駅前でね。気づいたらわたしその瞳のこと、「綺麗だね」って言ってた。そしたらその子、「海の目薬を使ってるんだ」って言ったの。 わたしは驚いて(わたしが彼に声をかけたことにも、彼がふつうに応えてくれたことにも、海の目薬なんて返答にも)、驚いたんだけど咄嗟に思いついて、「わたし耳がすごく良くって、それは山の綿棒を使ってるか
2023年9月24日 11:11
「ねえ、ママ。お話しして?」布団のなかで、娘が言った。「えっと、それじゃあ……積み木の国の王子様は旅に出ました。積み木の国に、バスを誘致するため、シエーバス王国に向かったのです」「ねえ、ゆうち、ってなあに?」「うーん、来てください、ってことだよ」「どうして、来てほしいの?」「積み木の国にはバスが来ないから、遠くまで移動できなくて、とても不便だったんだよ。昔からね」「むかしっ
2023年3月25日 16:03
口ずさんでいたら「呼吸みたいな曲だね」とあなたに言われた。そうしてそのまま、後ろからするりと抱きすくめられた。 漫画を読みながら爆笑していたときもそう。後ろから抱きすくめられたのだった。しゃっくりが止まらなくなっていたときも、こうすればきっと早く治るからって。 本当はもっとたくさんあるけれど、ぜんぶ挙げたらきりがないから……。 わたしは息をしながら、あなたに想いを伝え続けよう。そして
2022年12月27日 10:47
(このnoteは小説『お話の続き』のあとがきです。本編を読んでいただいてからの方が、より楽しんでいただけるかもしれません。その旨ご了承ください。)○○○○○ ○○○○○ ○○○○○このお話は、tenさんとそのお店『tender hope town』、小川千紗さんのお名前からイメージをいただいて作ったお話でした。tenさん…数字の十tender…やわらかい、やさしいhope…希望、の
2022年12月26日 20:38
昔々、あるところにやわらかな川がありましたその川の水には千の希望が薄く透明な織物になって流れていましたその川の側にあった十の町からたくさんの希望が溢れてきていたのでしたそれぞれの町が川をはさんでお互いの町を鏡のように映しあっておりそれはそれは静やかにそれぞれに輝いてあったのでしたある日のことやわらかな川を一艘の笹舟がすらすらと音もなく進んでいましたいくつもの透き