【蒸留日記 vol.117】イングリッシュラベンダー 'ロイヤルパープル'の蒸留。
※前述注釈!
こちらは昨年度の'ロイヤルパープル'蒸留記事。蒸留実施日は7/12でした!
■Introduction -about cv. 'Royal Purple'
品種名が表すように紛れもなく英国で作出されたTheイングリッシュラベンダーと言えるコモンラベンダー品種。
品種の誕生について、「1944年に作出された品種である」と英国ダウンデリーナーサリーのページで紹介されています。
また、南仏「GAEC Scents of Quercyナーサリー&植物園」のページ解説によれば、WW2戦後ノーフォークガーデンで栽培された最初のラベンダー品種であるとも紹介されています。
「しかし精油品質の悪さからドライブーケ用に利用された」とも。
早咲き性質をもちながら花茎の背丈が高くなる品種で、英国における"4号オカムラサキ的ポジション"を持つ品種となっています。
花色は淡い紫色のガクと淡く鮮やかなパープルをしています。
(※本来はポピュラーなラベンダーパープルのようです)
品種'Royal Purple'の歴史として、1944年に作出された本種は香水香料用の採油品種として選ばれ栽培された可能性があります。
先んじて香料用品種として栽培されていたオランダ品種'Twickel Purple'(1922年導入)の代替品種として、立ち姿と香りが似ていた英国品種'Royal Purple'が選ばれました。おそらくはヤードレーロンドンのイングリッシュラベンダー(商品名-香水)に香料として利用されていたと推測しています。
現在、RHS(王立園芸協会)の園芸品種辞典には収録されておらず、おそらくは香料・産業用品種としての属性が強いことを示してるのではないかと推察しています。
■Materials&Methods
今年は開花と咲き終わりが一際早かったようで、他のコモン品種たちに比べて早くも色褪せてしまっている。
(富良野:ファーム富田の4号オカムラサキも他品種と比べて同様だった)
今年2024年は特に花の開花とBloom out(咲き終わり)が早かったように思われ、7月後半となった今日7/23時点ではかなり花が萎れてしまっています。
同様に大型の北海道品種4号オカムラサキも似たような生育状況となっていたので、ロイヤルパープルとオカムラサキは恐らく性質が同期するものと考えています。
ロイヤルパープルも他品種と同様に昨年の高温多湿ダメージを受けたためか、今年は花の収穫量が伸び悩みました。
なのでいつもより少なめの花穂収穫量となっています。
北海道品種、特に3号濃紫早咲とナナ・ナリサワは枯死株がいくらか出たのですが、枯れずに耐えた'ロイヤルパープル'ほか英国品種はまぁタフだなぁ〜と感心でした。
ボタニカル重量は385gでの蒸留となった。
■Results
ピペット計測で2.5mLでした!やはり株数のわりに収量少なめに出ましたね。収穫時期が遅かった(≒開花期に雨を受けすぎた)というのも影響しているハズです。
(昨年の収穫蒸留日は7/12でした)
1.収油率 - EO Yield
一言コメントを残すなら、昨年よりは収油率は0.05%ほど上がっています。
昨年度のデータは1128gから6.7mLで0.593%でした!
本当のTrue 'Royal Purple'とは言えないんですが、ウチの'Royal Purple'?は収油率があまり高くは出ない品種のようです。
2.香りとか - EO Scent
特筆すべきは、さすがは香料用品種であることを感じさせる癒される美しい香りが収穫時から感じられることでしょうか。
収穫して集めた時、蒸留釜に花穂を充填した時、蒸留蒸気がセパレータから溢れてきた時など…
本種'Royal Purple'の香り高さを実感できるタイミングが様々あります。
精油にしてしまう前から香りを楽しめる、見た目と実用ともに兼ね備えた優良ラベンダーだと思っています。
さてさて肝心のロイヤルパープル精油の香りについて。
うーん花の甘さというよりか、さわやかな香り成分が強いタイプのラベンダー精油に感じます。
心の底から癒されるタイプの香りではない感じですねぇ…もっといい香りのラベンダー精油/品種がたくさんある。
やっぱり正しいロイヤルパープルではないのだろうか。。。