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【写真詩集】「いつか、晴れる日」写真 野寺治孝 詩 石井ゆかり

「瞳も涙に洗われたぶんだけ輝きを増す」



「いつか、晴れる日」 写真 野寺治孝 詩 石井ゆかり



心が苦しいとき
海を見たくなります


「そういえば、最近海を見てないなぁ」
とふと思いました


時折 人の間にいると圧力に
打ちのめされるときがあります


きっと まわりは僕がそう感じて
いることには気づいていないでしょう


僕が異常に敏感だからなんです


僕もまわりには気づかれないように
うまく取り繕っているつもりです


けれども


どうしようもなく 苦しくなるときが
突如襲ってきます


海を見たくなります


そのとき


目に入った装丁が「海と空」の写真詩集


そっと頁をめくると


石井ゆかりさんのことばが
さざなみのように寄せてきました


悲しいときや辛いときは、
それがいつか終わるだろうなんて
思えない

だけど
雨のように、嵐のように
それは必ず、いつか終わる


ため息をついて、深呼吸をしました


海は波を寄せて返す
大きく息を吐いて、息を吸いこむ
生きているとは、そういうことだ


さまざまな表情の綺麗な海の写真のとなりには 涙に洗われた末にうまれた、やさしいことばが寄り添っています


道に迷わなければ
新しい道は見つからない

まちがえなければ
こたえのほんとうの意味は
わからない

ごめんなさい、とあやまるより
ありがとう、と受けとるほうが
はるかに勇気がいる

くり返し波に洗われた砂が
うつくしくまるく光ように

瞳も涙に洗われたぶんだけ
輝きを増す

自分の痛みで胸がいっぱいのとき
生きていることは苦しい

大切な人のことを考えたとき
その人が生きていることが、
なによりもうれしい


苦しいときほど
ことばに
慰められます


そのことばを支えに
一歩 踏み出したい


雲の向こうに広がる空と海。
降り続く雨も、
いつか必ず晴れるから。



【出典】

「いつか、晴れる日」 写真 野寺治孝 詩 石井ゆかり ピエ・ブックス


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