マガジンのカバー画像

書評

32
これまで読んだ本の感想とか。
運営しているクリエイター

#敏感

この本の「敏感すぎる」ってどういうことだろう?【クラウス・ベルンハルト『敏感すぎるあなたへ 緊張、不安、パニックは自分で断ち切れる』CCCメディアハウス】

この本の「敏感すぎる」ってどういうことだろう?【クラウス・ベルンハルト『敏感すぎるあなたへ 緊張、不安、パニックは自分で断ち切れる』CCCメディアハウス】

この本はドイツの臨床心理士が書いたものである。

斬新なのは、緊張や不安を自分でコントロールして対処する方法を、脳科学的に解説している点にある。たとえばポジティブな行動や望む未来を極限まで具現化して、それを映像として脳内再生することでポジティブな脳の回路を作ることを事細かく説明されている。

確かに、水泳選手のマイケル・フェルプスはオリンピックの金メダルに向けて、常に頭の中で金メダルを獲得して拳を

もっとみる
「ベストはさておき、とりあえず!」―繊細で気がつきすぎるすべての人に届けたい「ラクに生きる方法」【武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』飛鳥新社】

「ベストはさておき、とりあえず!」―繊細で気がつきすぎるすべての人に届けたい「ラクに生きる方法」【武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』飛鳥新社】

この本は、「繊細でストレスを感じやすい人が、繊細な感性を大切にしたまま、ラクに生きる方法」を書いた本です。

この書き出しが、この本のすべてを物語っている。

おそらく、「気が利く人」や「気がつきやすい人」というのは良い人であるという認識を持つ人は多いと思う。たとえば冷房がよく効いている状況下で「寒くないですか?大丈夫?」と聞かれたり、そっとブランケットを持ってきてくれるという行動に対して「不愉快

もっとみる
あまりに敏感すぎるとどうなるのか?非HSPの人にこそ読んでほしい「敏感すぎる日常」【高橋敦『敏感にもほどがある』きこ書房】

あまりに敏感すぎるとどうなるのか?非HSPの人にこそ読んでほしい「敏感すぎる日常」【高橋敦『敏感にもほどがある』きこ書房】

世の中の5人に1人はいると言われているHSP(Highly Sensitive Person:過度に敏感な特性を持つ人)。これが多いのか少ないのかというのはさておき、そのへんの職場や学校には必ず1人はいる計算にはなる。「うちにはいないけどなぁ・・・」と心当たりがなくても、それはおそらく敏感であることを悟られないようにただただひた隠しにしているだけかもしれない。

課長に怒られている同僚を見て、自分

もっとみる