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書評

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これまで読んだ本の感想とか。
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#読書記録

2019年読んだ本を、300冊読んだ中から10冊選んでみた

2019年読んだ本を、300冊読んだ中から10冊選んでみた

今年もたくさん本を読んだ。

片道1時間電車に乗る生活が週数日あるので、そういうときはもう本がないとやってられない。ずっとTwitter眺めててもiPhoneの電池と通信量の無駄だ(しかも僕は使った分だけ通信量を払う契約にしている)。

昨年もはてなブログで読んだ本の振り返りをしたが、今年も例にならって10冊選んでみた。なお、2019年に発売されたものというわけではなく、あくまでも「2019年に初

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「この本を開いたとき、偶数ページのある・ほう」が表す言葉って?想像以上にたいへんな、国語辞典を作る裏側を知れる一冊。【飯間浩明『辞書を編む』光文社新書】

「この本を開いたとき、偶数ページのある・ほう」が表す言葉って?想像以上にたいへんな、国語辞典を作る裏側を知れる一冊。【飯間浩明『辞書を編む』光文社新書】

「南を向いた時、西にあたる方」(『広辞苑』第6版)
「北を向いたとき、東にあたるほう」(『チャレンジ小学国語辞典』第3版)
「アナログ時計の文字盤に向かった時、一時から五時までの表示のある側。〔「明」という漢字の「月」が書かれている側と一致〕」(『新明解国語辞典』第7版)
「この本を開いたとき、偶数ページのある・ほう」(『三省堂国語辞典』第4版)

異なる国語辞典から引用したこの意味を表す言葉はな

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科学的側面から考える人間の過敏さとは?そして精神科医から見た「HSP」とは?自分の敏感さを違った視点で見たい人向けの一冊。【岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち』幻冬舎新書】

科学的側面から考える人間の過敏さとは?そして精神科医から見た「HSP」とは?自分の敏感さを違った視点で見たい人向けの一冊。【岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち』幻冬舎新書】

「HSP」(Highly Sensitive Person:過度に敏感な特性を持つ人)にまつわる本は、HSP研究の第一人者であるエレイン・N・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』を筆頭として、5人に1人該当する性格の一部である、生まれ持った特性である、という視点で書かれているものが多い。

この本はその「HSP」を、科学的(ここかなり重要)に考察・研究してまとめられ

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あまりにも緻密すぎる佐藤氏の京都での学びの記録。学習意欲を刺激されたい人は手にするべし。【佐藤優『同志社大学神学部』光文社】

あまりにも緻密すぎる佐藤氏の京都での学びの記録。学習意欲を刺激されたい人は手にするべし。【佐藤優『同志社大学神学部』光文社】

正直な話、この本は読みにくい。

まず、章立てが一切ない。348ページとかなり分量は多いが、目次もなく物語がいきなりはじまり、終わるまでノンストップで駆け抜けてゆく。それに本作で扱われる神学の話や、その当時の学生闘争の話も、非常に難解かつマニアックで、予備知識なしではいったい何のことかさっぱりわからない。

しかしこの本には、仮にそれらを読み飛ばしてもなお、ある魅力がある。

この本を簡単に説明す

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読み終えてレビューを見たとき、思わず「えっ!なんで!」と叫んでしまった。【菅広文『京大芸人式日本史』幻冬舎】

読み終えてレビューを見たとき、思わず「えっ!なんで!」と叫んでしまった。【菅広文『京大芸人式日本史』幻冬舎】

「自分的にはイマイチ」
「あんまりおもしろくなかった」
「つまらない」
「菅ちゃんの本はおもしろいけど、これは微妙」

え?え?
もしかして、自分の感覚がズレているのか・・・?

もちろん、レビューが全部「イマイチ」と記されていたわけではない。
「おもしろかった!」「ロザン仲良すぎ!」という肯定意見もある。
しかし、某サイトでは、「おもしろい」「つまらない」のレビューが、ほぼ半々。

正直、自分の

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大人も学生も、世界史を学びたい人は必携!現役の高校の先生が書いた「整理されすぎた世界史」の流れを刮目せよ。【山崎圭一『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』SBクリエイティブ】

大人も学生も、世界史を学びたい人は必携!現役の高校の先生が書いた「整理されすぎた世界史」の流れを刮目せよ。【山崎圭一『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』SBクリエイティブ】

高校で世界史を教えている。

世界史の教科書というものは、文章自体はわかりやすく書かれているが、「流れ」が非常にややこしい。たとえば中国文明の起こりから中国史の話が始まったかと思えば、唐が衰退するころに次のページをめくると「イスラーム世界の成立」とある。さらにゲルマン民族が大移動してフランク王国や神聖ローマ帝国が成立し、十字軍が遠征して百年戦争でジャンヌ・ダルクが処刑されて、ようやく中国史の話に戻

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