#23薬剤師の南 第4話-11 迷子(小説)
「お帰り」
スノーマリン薬局の患者入口側のシャッターはもう閉まっていた。
私が裏口から戻って調剤室に顔を出すと、當真さんが声をかけて出迎えてくれた。
「遅かったねぇ。大変だったみたいじゃない」
「ええ、本当に……赤嶺さんからの電話、取りましたか?」
「どうぞ鍛えてやってくださいってね。あ、そうそう、あの人、市内の祭にベース持って現れるから、心の準備くらいはしておいてねー」
「ベース?」
「楽器のベース。あの人バンドでベース弾いてるのよ」
「へえー」
「おお