#24薬剤師の南 第5話-1 spica de trillion[小編] (小説)
七月最初の日曜日の夜八時。時間だ。
私のパソコンからスカイプを立ち上げる。
「ハロー、オキナワンピーポー! ちゃんとご飯食べてる?」
のっけからテンションが高いのは、私の高校時代の同級生の山野井美冬。専門学校を卒業し、企業などの刊行物をデザインする仕事をしている。
「食べてるよ」
「オーケーオーケー、浪人でござるも元気?」
「うっさいわ社会人。ああ、眠い……いつも通り進行よろしく」
「そろそろ依吹に役目を譲りたいんだけどね……まあ今回はいいや」
もう一人は風間桃。こっちは私の大学での同級生で、卒業はしたものの昨年度の国家試験で残念ながら不合格となったため、予備校に通いながら国試浪人中だ。勉強疲れか、カメラの向こうの桃は姿勢がやや傾いている。
「さてさて、それじゃあ始めようか。『スピカ・デ・トリリオン』夏コミへの道、最終章!」
私を起点として集結したこの三人の趣味はマンガ描き。私達のサークル『spica de trillion』が作る同人誌の制作が大詰めに来ているのだ。
※この小説はフィクションです。実在する人物、団体等とは一切関係ありません。また、作中の医療行為等は個人によって適用が異なります。
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