#58薬剤師の南 第9話-8 隠れ家(小説)
震える親指を使って電話のボタンを押し、糸数さんと電話越しに再び対峙する。
「はい、薬剤部の糸数です」
さっきと全く同じ応答に緊張が高まる。下手をすれば私もドクターのお世話になってしまいそうなくらい胃が締まるのを感じた。
知念さんの症状を再度説明し、そこに自分が調べたことを付け加える。
「――レバーの大量の飲食をしたことによるビタミンAの過剰摂取と、約一週間前にシロアリの防除作業をしたことで、カルバメート系の物質のフェノブカルブを吸入してしまった恐れがあります。頭