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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2024年3月の記事一覧

「教育学部」が存在しない県が存在するという事実、その理由や背景と問題点

「教育学部」が存在しない県が存在するという事実、その理由や背景と問題点


「教育学部」が存在しない県昨今、全国的に問題になっている教員不足問題に関わる話題として、鳥取県緒事例が話題になっていました。

鳥取県では国立大学である鳥取大学の中に「教育学部」が存在しません。本記事において、この「教育学部」とは教員免許取得を卒業要件とする大学を指すこととします。

良く知られる話ですが、旧帝国大学に設置されている教育学部は、いわゆる教員養成系学部ではありません。あくまでも教育

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「生徒が人間として大切にされている実感」が本当に必要なのか?

「生徒が人間として大切にされている実感」が本当に必要なのか?



全国で多発する体罰問題体罰が全国的な問題になっています。かつての指導では「熱意」と捉えられていたやり方が、令和の現代においては明確に人権侵害として認識されるようになったということでしょう。

私自身の経験で言っても、小中学校時代は拳骨、びんたの類は日常茶飯事だったように記憶しています。

ところが時代は変わり、そうした教育は社会的に受け入れられないようになりました。しかし教員の中にはかつてのノ

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小中一貫校という存在に対する個人的な考えと「もやもや感」

小中一貫校という存在に対する個人的な考えと「もやもや感」


小中一貫校の増加現在、全国的に小中一貫校が増加しています。小中一貫校は小学校で行われている初等教育と中学校で行われている中等教育の前期課程を合わせた学校形態で主に過疎地域に設置される学校種別です。

地方の過疎化が進んだ地域の場合、小学校が複数あったとしてもすべての学校が複式学級になるなど、児童数の確保が難しくなっています。しかし、学校分かれている以上は校長や養護教諭などを設置する必要があり、困

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熊本市の「大学生アシスタント事業」は人気でも、教員の確保には全くつながらない

熊本市の「大学生アシスタント事業」は人気でも、教員の確保には全くつながらない


熊本市「大学生アシスタント事業」熊本市は学校現場における教員補助を大学生に呼びかける「大学生アシスタント事業」なるものを行っています。

そして先日、この事業が人気でさらに募集を拡大するというニュースが報道されていました。

これだけを聞くと熊本市の教員採用の今後の見通しは明るいように感じます。なんせ大学生たちがこぞって教員補助を希望し、その募集人数を倍近い数に増やすというのですから。

アシス

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調査書一部未記載でもお咎めなしの佐世保市と福岡県の願書提出ミスの違いとは?

調査書一部未記載でもお咎めなしの佐世保市と福岡県の願書提出ミスの違いとは?

願書提出ミス問題先日から九州だけでなく全国の教育、受験産業関係者の間で話題になっているのが、博多女子中学校の願書提出ミス問題です。

私もその件に関して一度記事化していますので参考までに。

この問題に関して簡単に説明すると以下のようなものです。

高校受験を希望する私立中学校の生徒が願書を在籍中学校に提出した

在籍中学校の職員が提出期限を誤認識していたため出願期限を過ぎた

特例扱いを高校側は

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「ウズラの卵事件」を教員側と保護者側の双方から考察して感じる対策の難しさ

「ウズラの卵事件」を教員側と保護者側の双方から考察して感じる対策の難しさ


「ウズラの卵事件」先日、福岡県において学校給食の時に出されたウズラの卵をのどに詰まらせて、小学1年生が窒息死する事件が発生したことが話題になりました。

その事件に関して、全国で対応が広がっていますが多くの一部の自治体ではすでにウズラの卵を給食のメニューから排除する動きがあるようです。

事件になった以上、危険性が存在する以上こうした動きがあるのは予想できました。

冷静に考えるとまず客観的にこ

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学校教育へのCBT導入は賛成だが、入試を変えなければ進まない

学校教育へのCBT導入は賛成だが、入試を変えなければ進まない


CBTの導入文部科学省は2025年度の全国学力学習状況調査の中学理科をCBTで行うという方針で、各地でその対応が現在行われています。

鹿児島県では24年度から学習定着度調査で先行導入を目指しているというネット記事を見かけました。

この取り組みはGIGAスクール構想に絡む内容の一つで、一人一台端末を活用して教育に生かすという目的をもって進められているものです。

こうしたCBTの導入に関しては

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中学校が願書提出ミスで高校受験ができない生徒が出た件についての雑感

中学校が願書提出ミスで高校受験ができない生徒が出た件についての雑感


願書提出ミス福岡の私立中学校、博多女子中学校の職員が公立高校入試の願書を生徒から受け取って持っていく手筈になっていたところ、出願日程を誤認して出願ができない状況になった、というニュースが上がっていました。

高校側は2時間遅れになったとして、出願届を受理しなかった、ということです。

提出期限のズレどうしてこのような誤認が発生したのかというと、今回のこの生徒が出願を希望していた高校が県立高校では

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