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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年7月の記事一覧

「引退試合と英検ブッキング」問題:日経新聞「受験考」から

「引退試合と英検ブッキング」問題:日経新聞「受験考」から

日経新聞で興味深い記事が上がっていました。

実際、こうした問題を抱えるケースに関する話を聞くことは少なくありません。

高等学校でもありますが、どちらかと言えば中学校で起こりやすいトラブルの一つかもしれません。

これは有料記事ですので、私自身もこの記事の結末を読んではいません。

あくまで記事をテーマとしたわけではなく、単純にこの手の頻繁に起こりうる問題に関しての私見をまとめたいと思います。

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子供にフィルタリング無しのスマホを渡すべきではない

子供にフィルタリング無しのスマホを渡すべきではない

中高生のスマートフォンの普及率は上昇しています。

勤務校での状況を見る限りでは、高校生で持っていない生徒はほとんどいないレベルにまで普及しているように思います。

ところが、子供にスマホを渡しているにもかかわらず、フィルタリングなどの安全対策を導入していないケースがあるようです。

近年のトラブルの原因はSNS近年、学校内のトラブルの多くはスマホでのやりとりやSNSなどを経由したものがほとんどで

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部活動「地域移行」の流れ加速に対して費用負担をあげつらって水を差す新聞という名のレガシーメディア

部活動「地域移行」の流れ加速に対して費用負担をあげつらって水を差す新聞という名のレガシーメディア

部活動の「地域移行」が全国の中学校で進んでいます。

教員の負担軽減という名目の下、この3年間を「改革推進期間」と位置づけて行政も推進を行っているようです。
(正確にはそもそも労働行為に当たらない業務を地域社会が教員に押し付けていたにすぎないのですが)

読売新聞のネット記事にはその推進状況に関しての記事がありました。

現時点では完全移行にまでは至っていないが、土日の部活動をスポーツクラブに移行

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探究学習という重荷

探究学習という重荷

探究学習の研究や実践が全国的に広がっています。

しかし、その一方で重すぎる負担に対して現場からは悲鳴が上がっています。

リンクは学生服メーカーのカンコーが行った探究学習に関する調査です。

カンコーはこうした探究学習に関して特集記事をHPに載せるなど、教育活動に関わる情報発信を行っています。

探究学習の負担の大きさ探究学習の必要性についてのアンケートに関しては、多数の教員が必要と回答していま

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「高校生がハマっているマンガは?」というニュースの裏を読む

「高校生がハマっているマンガは?」というニュースの裏を読む

LINEリサーチが「高校生がハマっているマンガは?」という調査を行った件がニュースになっていました。

これはLINEのスマートフォン専用リサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」による調査で、全国の高校生を対象にマンガを読む頻度やマンガから受けた影響など調べたということのようです。

調査結果の概要調査の結果の概要は以下のようなものです。

この書き方を見る限りでは16%の高校生がマンガを読ま

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現役高校教員の視点から見た大学入学一時金と「教育ローン」

現役高校教員の視点から見た大学入学一時金と「教育ローン」

大学への進学に際してはそれなりにまとまった金額のお金が必要です。

今回はお金の話に関して、奨学金以外の方法、「教育ローン」を取り上げてみます。

大学進学にかかる費用大学進学において最も直接的な費用は学費ですが、これは国公立大学と私立大学で、私立の場合は大学や学部によって大きく異なります。

国立大学の場合は初年度が入学金と282,000円と授業料が535,800円となり、合わせて817,800

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小中一貫校化が子育て世代を呼ぶという町おこし幻想を信用してはいけない

日本中の多くの地域では過疎化が急速に進んでいます。

そんな中、教育改革を行うことでその対策にしようとする自治体も存在するようです。

この報道では北海道の当別町が小中一貫教育を標榜した改革と、教員宿舎を改装した町営住宅をりようして若い子育て世代の移住が増加したということが報道されていました。

このニュースではこうした小中一貫教育の魅力を高めることで若い世代を呼び寄せることができる、という切り口

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ゆがんだ「偏差値信仰」で大学教育を語る恐怖

ゆがんだ「偏差値信仰」で大学教育を語る恐怖

文部科学省は政府の基金3000億円を活用し理工農系学部を拡充する支援事業について、大学や高専など111校を選出したと発表しました。

これはデジタルなどの成長分野に対応した学部再編や、人材確保を目指す計画1件につき最大約20億円を支援するもので、これによって学部増設などを行う大学があるようです。

広く浅い支援と狭く深い支援今回の支援は理系学部への支援を広く浅く行う施策です。

一方で、特定の大学

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そろそろ高校生の文理選択をさせるのを止めよう、という考え

そろそろ高校生の文理選択をさせるのを止めよう、という考え

高校のときに文系、理系のどちらに進むかを悩んだ人は少なくないでしょう。

私の勤務校では高校2年生から文系、理系に分かれて授業が行われるため、1年生の間に文理の選択を行うことになります。

現在1年生の担任をしている私は、まさに生徒に文理の選択を迫る側にいるということになります。

消極的な選択が多いこの文理選択に関しては特定の学問分野が得意というよりも、むしろ苦手から逃げるための制度として機能し

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事故が多発しても、硫化水素実験を学校で実施すべき理由

事故が多発しても、硫化水素実験を学校で実施すべき理由

理科実験の事故で生徒が救急搬送される事件が多発しています。

今回の事故は福岡県の筑前町の中学校、この6日前には飯塚市で同様の事故が発生しています。

6月には東京都の八王子市の中学校でも起こっています。

どうして最近になってこうした事故が頻発するようになったのでしょうか。

事故が増加した理由こうした事故が増加した理由として考えられるのは、この実験が新たにカリキュラムに組み込まれたことで、教員

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学校の統廃合問題を解決する手段はオンライン授業の導入

学校の統廃合問題を解決する手段はオンライン授業の導入

全国の過疎地域では小中学校の統廃合が進んでいます。

岐阜県の恵那市では5校統合が計画されており、その通学域は名古屋市よりも広い範囲になるということです。

スクールバスで往復2時間の通学時間になることも問題視する意見が出ています。

極端に無理な統廃合か?この話を聞くと、住民の意向を無視した行政サービスの悪化である、という印象を抱きます。

しかし、実際のところ、その合理性はどの程度あるのでしょ

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不登校などの学校不適合の生徒に対する支援のスタンスの違和感

不登校などの学校不適合の生徒に対する支援のスタンスの違和感

不登校などの学校に適合できない生徒がいます。

彼らの支援に関してはSC(スクールカウンセラー)などとの連携が近年は盛んになっており、教員だけの視点ではない形での投稿への促しや、新たな選択肢の創出(オルタナティブスクールへ通うなど)が可能となっています。

とはいえ、担任などの教員が関わる領域はいまだ多く、そうした不登校など生徒への支援に関しては教員が重要な役割を担っているのも事実です。

今回は

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あなたは命を賭して生徒を守ることができるか?

あなたは命を賭して生徒を守ることができるか?

昨年度、3月に埼玉県戸田市で17歳の少年が学校に侵入し男性職員を切り付ける事件が発生しました。

男性教員は命に別状はなかったということでしたが、その後も後遺症に苦しんでいる様子がニュースになっていました。

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下着泥教育委員会隠ぺいに見る教員組織の悪弊と法律意識の低さ

下着泥教育委員会隠ぺいに見る教員組織の悪弊と法律意識の低さ

先日、教員の犯罪率が低いという記事を上げたばかりです。

ところが、その結果を覆すように教員の不祥事の報道は続いています。
(定量的には間違いないのですが、印象は大きく異なります)

今度は同僚の下着を盗んだ教員が免職となった事件です。

これだけならばよくある不祥事事案の一つ(もちろん被害にあった方にとっては深刻な事件です)ですが、今回は教育委員会を中心とした組織的な隠ぺいの画策で問題となってい

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