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「高校生がハマっているマンガは?」というニュースの裏を読む
LINEリサーチが「高校生がハマっているマンガは?」という調査を行った件がニュースになっていました。
これはLINEのスマートフォン専用リサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」による調査で、全国の高校生を対象にマンガを読む頻度やマンガから受けた影響など調べたということのようです。
調査結果の概要
調査の結果の概要は以下のようなものです。
マンガを読む頻度を聞いたところ、週に1日以上マンガを読む人からほぼ毎日マンガを読む人までを合計すると約59%が週1日以上マンガを読むとしている。反対に16%の高校生がマンガはまったく読まないと答えた。
高校生がハマっているマンガは?LINEリサーチが発表
この書き方を見る限りでは16%の高校生がマンガを読まないと捉えるでしょう。
しかし、実際のグラフを見るとその印象が変わります。
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高校生がハマっているマンガは?LINEリサーチが発表
このグラフを読むと月に2~3日読むのが17%、月に1日読むのが8%となっています。果たしてこの人たちを日常的に「マンガを読む」、という分類に入れてよいのでしょうか。
最低でも週1~3日読むのが21%の集団までが、いわゆる「マンガを読む」層であり、これ以下の人達は一般的にな解釈で言えば「マンガを読まない」層と言えるのではないでしょうか。
そう考えると、16+17+8=31%となり、実に現代の高校生の1/3はマンガを日常的に読む習慣が無い、ということになります。
真の活字離れ世代
これまで「若者の活字離れ」という言葉は幾度となく大人たちが使い古してきました。
明治期には小説を読む若者を、その後は純文学以外の愛好者を、昭和の後期にはマンガを読む人々を揶揄して、常にその時代の老人たちは同じ時を生きる若者を憂いてきました。
しかし、実際にはその当時の若者は「活字」を読まなかったわけではありませんでした。
小説やマンガは依然として文字を媒介にして相手に情報を伝えるメディアの一つに過ぎないからです。
アニメーションがサブカルチャーの中で存在感をいくら増したとて、ノベライズやオリジナルアニメのマンガ化など、活字を通した表現に向かう原則はそう変わらなかったように思います。
しかし、時代は変化しました。Instagramなどの写真主体のSNS、YouTube、TikTokなどの動画メディアの隆盛により、活字表現を行わずに楽しめる、参加できるコンテンツが増加しました。
その結果、本当に動画のみを見る高校生が生まれてしまいました。
前兆は存在した
その前兆自体は感じていました。
アニメは見るが、マンガは読まないということを主張する生徒が増えてきたからです。
現代において、こうした映像系のSNSであるInstagramや動画系のYouTubeしか利用しない若者の数は決して少なくないようです。
私自身の意見としては、こうした若者に「活字を読め」という説教をするつもりはありません。
活字自体は業務上のツールとして、あるいはコアなファン層を取り込みながら生きながらえるカルチャーとして生き続けるでしょう。
その結果、おそらくは活字を利用しない若者の数は間違いなく増加するでしょう。
今回のLINEの調査はそうした状況が数字として表された代表例の一つなのかもしれません。