オキシトシンのこと|現代人にこそ知ってほしいオキシトシンの効果・効能
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
今回のテーマは【オキシトシン】です。聞いたことがある言葉かもしれませんが、今回はオキシトシンについてお伝えしていくことにいたします。
○現代人は疲れている
一言で申し上げると、これに尽きませんか?
「僕は違う、私は違う」と思っている方も、他人事だとは思わずちょっとでいいから考えて頂きたいのです。仮にあなたがそうであったとしても、あなたの周りにいる大事な人が疲れているとしたら、無視していられますか?
「そんなの知らん」と思う方は、以下の文章を読む必要すら皆無なので、これから先は読まなくて結構です。
コロナ禍により生活様式は変わり、物価だけが上昇していって国民の所得は減っていくという恐ろしい状況となっている今の日本社会。
それを埋めるべく、働けど働けどと長時間拘束を余儀なくされたり、売れる商品・サービスを作るための開発・リサーチ・マーケティングに時間や体力を奪われたりと、ゆっくりする時間、休暇の時間、趣味の時間、家族との時間すら作ることができない人たちがどんどんと増えてきています。
こんな状況では、新しいことに挑戦しよう、挑戦したいと思っていても、現状を維持することで精一杯で何もすることができない…そう思っている人たちもたくさんいるはず。
そんな中でどんどんと溜まっていくのは【ストレス】だけ。
「ストレスが溜まっている」と気づけばまだ良いんです。対策を立てることができますから。
ただ、無理な生活をしていることが当たり前のようになっていて、生活リズムが乱れ自律神経も当然のように乱れ、休む間もなく働いているからずっと交感神経が働き、気が付いたら倒れてしまった….こうなってしまうのが最も怖いです。
現代人が最も強く求めているものは
【癒し】ではないでしょうか。
では、何をすれば癒しを得ることができるのか?
この観点から「オキシトシン」というホルモンに着目していきます。この先の文章も、その視点で読み進めて頂けると嬉しいです。
○オキシトシンとは?
オキシトシンとは、脳内の視床下部で生成され下垂体から分泌されるホルモンです。語源はギリシャ語で「早い(okys)出産(tokos)」を意味するオキシトシン(Oxytocin)と名づけられました。つまり、オキシトシンは「出産を早める物質」として認識されていたのです。オキシトシンは現在でも陣痛を誘発するために使用されています。
まず、オキシトシンとはホルモンの1つなんだというのを知ってほしいです。1906年に発見されました。
当初は出産時に⼦宮を収縮させたり⺟乳の分泌を促進したりする物質として考えられていましたが、その後の研究によって⺟と⼦の絆を深める作⽤があるということも分かってきています。
○オキシトシンはどんな効果・効能があるのか?
<ポジティブな効果・効能>
●多幸感(幸せな気分になれる)
オキシトシンが増えることで「セロトニン神経」が刺激されセロトニンの分泌が活性化されます。
セロトニンは精神的な安定、安らぎ、癒しを司っているためセロトニンの分泌量が増えると、ホッと癒やされるような幸福感を得ることができます。
また、セロトニンはドーパミン・ノルアドレナリンのバランスを保つ心の司令塔的存在でもあるし、睡眠ホルモンとも呼ばれているメラトニンの原料にもなっているため、睡眠の質も向上できることが期待できます。
●抗ストレス作用
オキシトシンには、ストレス(外部からの刺激に対する防衛反応によって生じるもの)を適度に抑制する働きがあると言われています。
オキシトシンとストレスの関係について実験があって
・オキシトシンの分泌をブロックしたマウス
・オキシトシンを注入したマウス
この2つを比較したところ、前者には暴れ回ったり下痢をしたりといったストレス過多の症状が見られた一方、後者には目立ったストレス反応がなかったそうです。
●他者への信頼感向上
他人を信頼することがなかなかできずに不安に捉われがちな方は、オキシトシンが欠乏しているのかもしれません。
このような実験があります。
初対面の被験者どうしをペアにし、以下のような「信頼ゲーム」に取り組ませたのです。
被験者Aは、被験者Bに対し、10ドル以下で好きな金額を “投資” する
Bは、Aが決めた額の3倍を受け取る
お礼として、Bは好きな金額をBに返す。ゼロでも可
つまり、「相手は自分にたくさんお礼してくれるはず」と信じているほど、AがBに “投資” する額は大きくなるはず。そして、血中オキシトシン濃度を測定し、鼻から吸うオキシトシンスプレーも使用したところ、オキシトシンの値が高くなるほど相手への信頼度合いも高くなることがわかったそうです。
●記憶力向上
社会性記憶(相手のことを認識し記憶する能力)は、円滑な社会生活を営むうえで不可欠なものです。もし、これが少ないと他者への信頼感もなかなか向上していきません。
通常なら、同じ人と何度も会ううち、相手の人柄や特徴を記憶して、信頼感や好感が次第に増していくものですが、社会性記憶が弱いと、何度会っても初対面のような状態で、信頼関係が一向に深まらないからです。
このような実験があります。
「オキシトシン分泌機能がないマウス」をほかのマウスと一緒にケージに入れたところ、本来なら、マウスは別のマウスに会うと初回は40秒ほどにおいをかぎ、会う回数を重ねるごとに、かぐ秒数を減らしていきます。しかし、「オキシトシン分泌機能がないマウス」の場合、同じマウスに何度会っても、においをかぐ時間は40秒のままだったそうです。
つまり、オキシトシンの不足が原因で、相手のマウスをいつまでも記憶できなかったと考えられます。
●鎮痛作用
オキシトシンには鎮痛作用があるとも言われています。
これは例えば出産の際に、妊婦さんは陣痛と闘うことになるのですが、このオキシトシンが分泌されることによって痛みが和らぐと言われているのです。夫に出産の際に立ち会ってもらう、手を握ってもらうなどをした際にはオキシトシンが出るとも言われています。
女性が出産の際に立ち会ってほしいというのは、もしかしたらこういうところからもきているのかな?それとも本能的なものなのかな?とも思ったりします。
●自律神経調整作用
オキシトシンには、自律神経を調整する作用があるとも言われています。
先ほども申し上げた通り、現代社会はストレス過多の方が多く、交感神経が優位になっていることが多いです。オキシトシンの分泌が活性化することで、副交感神経の働きを高めてくれると言われているのです。
その結果、ストレスに対抗することもできるようになってきます。自律神経が安定することで、身体の機能も向上していきます。例えば、血流が良い方向に改善されたり、体温が上がったり、免疫機能が上がったりなどです。
●抗不安作用
上でもお伝えいたしましたが、オキシトシンが分泌されることで副交感神経の働きが活発になり、自律神経のバランスが整うと言われています。
副交感神経が優位になると血管が緩んで血圧が低下し、心身もリラックスした穏やかな状態になるので、気分が落ちつき不安な気持ちが和らぐと考えられます。
●抗うつ作用
オキシトシンには抗うつ作用があると言われています。抑制系のニューロンで知られるGABAニューロンを活性化するなどして、恐怖刺激に対するすくみ行動を抑制することが、動物実験を通じて明らかにされています。
<ネガティブな効果・効能>
ネットで検索すると、オキシトシンについては概ねポジティブなことばかり書かれています。
今回の大テーマも「もっとオキシトシンを味方につけよう」ということでポジティブなことばかりを書いていきたいところではありますが、それだけではないんだということは頭の片隅に入れておいて頂きたいところです。
●だまされやすくなる可能性がある
他者への信頼感が向上するその裏として真偽不明な情報を安易に信じてしまうリスクも高まることが懸念されています。
●攻撃性・嫉妬心が強まる
「愛情が深いゆえに」というところでしょうか。
オキシトシンは「私たちの共同体を壊さないで」「私たちの絆を断ち切ろうとすることは許さない」という感情を促進させるそうです。
例えば、学校に通う子どもの親の一部で、クレームなどを入れる親を「モンスターペアレント」とも呼ばれたりしていますが、これも我が子への愛が強くなりすぎ、他者の利益を考慮できなくなってしまっているからこそだとも考えられます。
また、産後には子どもへ愛情が深くなるゆえに、妻が夫からのアプローチを断るケースも出てきます。これは子育てを全くしない夫への不満だったり、子に対しての愛情を示さない場合などに出てくるものであり、これが原因となってレスになることもしばしばあるようです。
オキシトシンが生む誰か・何かへの強い愛着は、部外者の排斥を生じさせる恐れがあります。それが家族内(夫婦間)であっても起こりうることです。
●トラウマが消えない
上で申し上げた通り、オキシトシンは物事の記憶力向上にも関係しています。そのため、恐怖を感じたときの記憶すら強く植えつけてしまうのです。
こんな実験があります。
「オキシトシンに過剰反応するラット」にストレスを与え、6時間後に同じストレスを与えた実験では、通常より激しい恐怖反応が見られたそうです。
これは、オキシトシンによって記憶力が高まり、恐怖体験をより強く覚えていたと考えられます。人間の場合も、オキシトシンが過剰分泌されると、恐怖体験がトラウマのように強く記憶されてしまう可能性があります。
○どんな時にオキシトシンは出るのか?
デメリットについても少しだけ触れましたが、現代を生き抜く上でオキシトシンの効果を享受することは必要なことだと僕は考えます。
なので、何をすればオキシトシンの分泌を活性化することができるのかを知っておきましょう。
●スキンシップ
最も代表的なものはスキンシップです。オキシトシンは肌への「感覚刺激」によって分泌されやすいという研究結果も出ています。家族やパートナー、友人とのスキンシップ、そして子どもへのスキンシップを積極的に行っていきましょう。
オキシトシンがたくさん分泌されている⺟親から愛情を注がれて育った⼦にもオキシトシンがたくさん分泌され穏やかでコミュニケーション能⼒の⾼い⼦に育つと⾔われています。
また、ある研究結果によるとわずか 20 秒ハグするだけでオキシトシンが増加し抗ストレスホルモンのコルチゾールが減少するということが分かったそうです。
●人に親切にする
上でお伝えしたように、オキシトシンの効果として多幸感を得るというのがあります。その1つの例として、何か良い行いをした時に非常にすがすが強い気持ちになったりしませんか?
昔、東北の白神山地にハイキングに行ったことがあるのですが、通りすがる人に対して挨拶をしながら歩いた経験があります。
山の空気感もあるのでしょうが、非常に良い気持ちであったことを今でも覚えています。良い行ないをしたあとにすがすがしく感じるのは、オキシトシンによって幸福感がもたらされるためです。
●柔らかいものに触れる
花王株式会社が2020年に発表した研究結果があります。
妊娠・授乳をしていない20~50代の女性14名を被験者とし、シルクやマイクロファイバーなど5種類の生地に触ってもらうというもので、被験者は、以下に挙げる4つの項目を評価しました。
やわらかさ
なめらかさ
ふんわり感
心地よさ
実験の結果、「やわらかさ」および「心地よさ」が高く評価されたときほど、オキシトシンの増加が大きかったそうです。
つまり、「やわらかくて気持ちいいなあ」と感じたとき、オキシトシンが分泌されていると考えられます。
●食事や会話を楽しむこと
これは1人でも楽しめることです。美味しいものを食べるというのもオキシトシンが出ます。
また、仲良くしている人との会話や食事などもお勧めです。身体的な距離が近づく環境だと特に効果が高いのだそうです。
それ以外でも、温泉や銭湯で大勢の人と一緒に入浴することもおすすめで、ほかのお客さんと言葉を交わすことはなくても、無防備な姿で同じ空間にいること自体が一種のコミュニケーションになり、癒やしの効果を生むと言われています。
●サウナ×水風呂のルーティン
これは温泉や銭湯に行った時にする方でしたら共感して頂けると思うのですが、なんとも言えない快感を味わうことができます。この時はオキシトシンの他にエンドルフィンやセロトニンなどの神経伝達物質も出ていると言われています。
闇雲に何回も繰り返せばいいというわけではなくて3セットくらいまでにしておくと良いかと思います。
●音楽・映画鑑賞
これも1人で行えることです。大好きな音楽や感動できる映画、心温まる映画を観て涙を流すなどがおすすめです。音楽・映画鑑賞が趣味な方は是非実践してみてください。
●いい香りの精油を嗅ぐ
日本メナード化粧品株式会社が2009年に発表した研究によると、ローズ・オレンジフラワー・バイオレットなどの精油を含む香りを女性にかがせたところ、5分後に唾液中のオキシトシン濃度が1.8倍になったそうです。
アロマオイルやアロマスティックなどで香りを楽しむほか、エッセンシャルオイルをカバンに忍ばせておけば、外出先でも好みの匂いをかいでリラックスすることができます。
●かわいい動物を眺める
動物に触れ合う、戯れることによってオキシトシンの分泌が活性化するのはもちろんのことなのですが、それだけではなく直接触らなくても、動物を見て「かわいいな」と思うだけでオキシトシンが分泌されるそうです。
ペットを飼っている人なら、自分のペットを眺めたり、そうではない人だったらyoutubeで動画を観たり動物園に行ったりするのも良いでしょう。
上で挙げた他にもオキシトシン分泌を活性化させる方法はたくさんありますが、ポイントとしては
① 人や動物と触れ合い愛情を感じる
② 五感に対して「快」の刺激を与える
この2つではないでしょうか。
そして、1人でも分泌させることは可能なのですが、誰かと触れ合ってオキシトシンを出す場合はあなたが信頼できる対象の場合に活性化するということも頭の片隅に入れておいて頂きたいです。
○まとめ
いかがでしたでしょうか。
「現代人は疲れている」
最初に申し上げた通りなのですが、このような状況だからこそオキシトシンの分泌量が少ない人が多いです。
オンラインでできることが増えていく結果、ネット社会がこれから益々進展し、直接会話をするより、パソコンや携帯電話を通したやりとりが日常化していくでしょう。それではオキシトシンはほとんど分泌されず、癒やしは得られません。
コミュニケーションにおいても、アプリ内でのやり取りやオンラインだけでしかコミュニケーションを取っていないのだろうなという人と会話をしてみると、違いを感じることが多々あります。
この人、あまり他人を信頼していないんだろうなとか、相手の気持ちを考えず自分中心で考えているんだろうな、とか。あと、ネットは昼夜関係なく24時間稼働しているので自律神経が乱れているのだろうなというような人も多く見受けられます。
オキシトシンの分泌に不可欠な、人を信頼し、見返りを求めずに人のために役立ちたいという気持ちは簡単には持てない気がします。
現代社会で起こる数々の問題の背景には、オキシトシンの分泌量が減少しているというのは無視できないのではないかと僕は考えます。上でもお伝えいたしましたが、オキシトシンの分泌はセロトニン神経を活性化させるので、意識をしなくても人々は癒しを得ているのです。これを習慣化できているかどうかで差が生じるのは明白です。
人間の本質的欲求である3つの欲求(食・性・睡眠)についても、単一で捉えるのではなく、その根本には「癒し」があるのではないでしょうか。
オキシトシンの分泌を活性化するポイントとして
① 人や動物と触れ合い愛情を感じる
② 五感に対して「快」の刺激を与える
この2つを挙げました。
人に対して優しくなること。この想いが少しでもあることで癒しを与え受け入れやすくなると僕は考えています。人と人との繋がり、直接触れ合うコミュニケーションを大事にしていくことが、オンライン化がこれからどんどんと進んでいくであろう現代社会において必要になってくるでしょう。
今回は以上となります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。