Sonia Kim

カナダで鍼灸師をしています。 東洋医学のこと、海外生活やビジネスに関する記事を書いていきます。

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最近の記事

鍼と出産〜出産編③

エピデュラル、するでしょ 痛みはまさに耐え難いものになっている。心の中で「痛いじゃないか〜〜!」と叫んでいた。無痛分娩なのに、まったく今までの自然分娩と変わらない無念と憤り。 アマンダたちはわたしの子宮口の具合を見ながら何やら動き出している。いろんな器具やらリネンやらが乗せられたカートが運び込まれ、緊張感が走っている。なにそれ、それよりエピデュラルのほうどうなってんの…?もう私にはそれしか考えられない。 ベッドの隅に腰掛けて諭すような口調でアマンダが口を開く。 「今まで

    • 鍼と陣痛〜出産編②

      いざ入院 順調にこのまま進みそうだから、すぐに病院に入院の流れに。ミッドワイフの二人とは病院で落ちあうことに。 10分おきくらいにくる嫌なアタタに耐えながらDDの運転で病院へ。祝日だからか誰もいない。廊下を歩きながらもアタタに襲われてDDにぶら下がりながらよろよろ進む。一足先に到着していたステファニーはパリッと青のスクラブに身を包み、今までのカジュアルな雰囲気から医療従事者のモードに切り替わってる。 通された分娩室は広くて新しく、ソファーやバスタブもあって、なんなら簡素な

      • 陣痛、始まる〜出産編①

        これは破水? 早朝、じわっと下着が濡れる感触で目を覚ます。おりもの?いや、もしかして破水ってやつなのか?あわててトイレへ。 朝一だったからおしっことの区別がつかない。いったん膀胱を空にしてからもティッシュをあてるとまだ濡れる。 透明、匂いなし。これはやはり破水というやつでは。 生理パッドをあてていったん布団にもどる。 で、どうするんだっけか。 陣痛の前に破水が起こることごあるのは当然知ってたし、ミッドワイフからも注意を受けてた。でも自分には起こらないという気がしていたのか、

        • 妊娠後期〜赤ちゃんが小さい?

          超音波検査、取り直し カナダでは妊娠出産にかかる費用は基本的に全額公費負担になる。なので検診や超音波、その他もろもろの検査は必要最小限に限られる。超音波検査なんかも日本では10年前でも3Dが普及していたけど、ここではいまだ白黒の2Dが主流。要は必要な情報が得られればいいということで、贅沢は言えない。何事もなければ妊娠前期に1〜2回、中期に1回、後期に1回というミニマルさ。 中期の超音波は赤ちゃんの各臓器の発達具合を見るようなんだけど、わたしは20週から22周期かけて結局3

          結婚、そして苗字とか問題

          マリッジサーティフィケート 新しい年を迎える頃にはつわりもようやくおさまる。DDのお母さんに作ってもらった滋養たっぷり、牛だしのワカメスープをいただいてようやく肉を食べられるように。韓国では産後にワカメスープを飲むのが伝統。産前産後の母体に必要な栄養がたっぷりらしい。何よりこころ遣いが染みる。ちなみに韓国人が誕生日にワカメスープを飲むのはこのときのお母さんに敬意を表して、ということらしい。 と、実はわたしたちこの時点で結婚はしていない。わたしはバツイチ子連れでカナダに住ん

          結婚、そして苗字とか問題

          妊娠中期〜地味な不調と東洋医学

          約1ヶ月に及ぶ悲壮なつわり地獄をようやく抜け出し、妊娠中期、いわゆる安定期に入る。何をしてもしんどい、眠たい、常に頭に霧のかかったような状態から少しずつやる気や元気が戻ってきた。妊娠16週目に入ると胎動も感じるように。ミッドワイフのアポイントメントでは元気な心音も聞くことができ、お腹も気を抜くとぽっこりと出てきて赤ちゃんがいることを実感できるようになってきた。 何もしてない、というかむしろひどい栄養状態だったのに肌艶もとてもよくて、髪の毛もクセの強い剛毛だったのがなんだか艶や

          妊娠中期〜地味な不調と東洋医学

          妊娠前期〜つわりと東洋医学

          つわり、来たる 妊娠がわかった5週目、翌6週目は体になんの変化もなかった。実感ないなあ、それも不安だなあ、と思いながら中華料理を食べに行き、食べ切れなかった焼豚をお持ち帰り。脂っこくて胃にもたれたのでその日は夕飯を抜く。胃は元来丈夫な方で、翌朝にはお腹が空くかと思いきや、まだスッキリとしない。焼豚は見るのも嫌になって、そのまま肉全般を受け付けなくなった。食欲はわかず、なんとなく胃がむかつく。7週に入り、これはつわりだと確信する。 つわり、それを経験した妊婦にとってほとん

          妊娠前期〜つわりと東洋医学

          出生前診断、そのつづき

          ならない電話 アンジェラは病院に確認してくれると言ったけど、それから連絡はこない。その間少しでも安心したくていろんなサイトで情報を漁った。なんとなく見えてきたのは、偽陰性よりも偽陽性の方が起こりやすいということ。陽性と判定して実際は違ったケースよりも陰性のはずが産まれてみると障害が見つかった、という方が許されないからリスクを回避すべく、疑わしくはすべて陽性、と出す傾向にあるのではないか、とか勘繰ってしまう。むしろ実際は陰性のも関わらず陽性としてしまったことで中絶するような

          出生前診断、そのつづき

          どうする、出生前診断

          2回目のアポ、出生前診断 はじめての超音波検査を受けた翌週、2週間ぶり、2回目のミッドワイフとのアポイントメント。今回もアマンダでハキハキ、サクサク進めてくれて頼もしい。胎芽と心拍を確認できたから安心していいと言ってくれてホッとする。前回の面会ではまだ始まってなかったつわりだけど、このときにはもうけっこう辛くなっていた。それでも上の子ふたりの妊娠時よりはマシだけど…。弱音を吐くと、薬を処方できるという。え、いいの、妊娠中に薬飲んでも?ドキラミン・ピライドキシンという薬でド

          どうする、出生前診断

          ミッドワイフ、はじめての超音波検査

          はじめてのアポ 子供は3人目、といっても、カナダでの出産の経験はない。日本では妊娠がわかれば産婦人科の一択だったけど、こちらではミッドワイフという選択肢も一般的。聞いてはいたけどミッドワイフって何が違うんだろう、果たして病院に比べて安全なのかな?選ぶメリットってなんなんだろう?DDも懐疑的。自宅出産とか原始的なお産の光景を連想しているよう。自分も基本的なことから分からなくて調べてみた。 病院、というか産婦人科医(obstetrician/gynecologist, OB/

          ミッドワイフ、はじめての超音波検査

          妊娠はしたけれど…ふたたび

          生理が、こない 生理開始予定日。基礎体温は高温を保っている。相変わらず、猛烈に眠い、だるい。生理前にダラダラ続いた少量の出血も今回はなし。何かが間違いなくいつもと違う。でもこれでフライング検査して陰性だったら落ち込むなあ、と思って1日待つ。でもこの異常な倦怠感はなに。もしかしたらコロナって可能性もないではないし…。 妊活中、排卵から生理までの二週間が本当に果てしなく長い。焦るし、焦れるし、不安。とにかくどっちでもいいから早く白黒つけたくなる。今回もモヤモヤするのはもう限界

          妊娠はしたけれど…ふたたび

          果報は寝て待て〜着床サポート鍼灸

          排卵日まで 真面目に基礎体温を毎朝つけていたけれど、1ヶ月分のデータもないので排卵日特定の手がかりにはなりそうもない。せめて過去2ヶ月でもつけておけばなあ。アプリの予測でなんとなくその週の金曜日か土曜日、土曜日が少し濃厚かな、という予測を立てた。 全くの偶然だったけどちょうどその週、月曜日から1週間休みをとってアメリカのDDに会いにいく予定になっていた。このチャンスを逃すとまた次の排卵日に会えるとは限らない。今回のわたしは気合が十分だった。 週末に向けてコンディション整

          果報は寝て待て〜着床サポート鍼灸

          東洋医学と不妊治療〜実践編

          特別なホルモン治療や手術を行わない、なんだか漠然としていて不安なタイミング法。その成功確率を上げるために東洋医学に何ができるのか。今回はその実践編。 生理周期とその治療 生理周期が陰陽のサイクルというお話をしましたが、それに合わせて治療をするのが基本。 陰が増加していく卵巣期には生理後ということもあり、腎と失われた血を補う。陰がピークを迎える排卵期は血を補いその流れをアシストし、排卵後の黄体期は腎と任脈衝脈の働きを高める治療を施す。月経期は血行をよくし、月経がスムーズに起

          東洋医学と不妊治療〜実践編

          不妊治療と東洋医学〜理論編

          タイミング法と東洋医学 普通の夫婦生活を送っているのに一年もしくは二年以上授からない、あるいは妊活を始めた時点で母親が35歳以上、という場合はなるべく早く産婦人科のチェックを受けて、自分の体の状態を確認するべきでしょう。そこで原因が判明した場合、適切な治療を受けてから妊活を再開したり、あるいは人工授精のステップへ進んでいく。しかしながら女性の年齢が上がるにつれ、不妊の原因は不明、といったケースがものすごく多くなる。その場合、とりあえずタイミング法をしばらく続けましょう、とい

          不妊治療と東洋医学〜理論編

          妊活、ふたたび

          生理が戻るまで 流産が分かってからまず精神的なショックを受け、それから肉体的ショックを経験してそれがまた精神的なダメージをうむということが続き、それはそれはつらい日々だった。妊娠ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、hCG)が順調に下がっているかどうか毎週血液検査に通い、自然流産だったために子宮内に残留物がないかを確認するため超音波検査にも行った。待合室には妊婦さんばっかり。ウキウキと順番を待つカップルをどんよりとした目で見ながら、みんな自分の幸せで心がいっぱいで、誰もわた

          妊活、ふたたび

          流産と東洋医学

          流産ってなに? それでは流産はどうして起こるのか。どうしてわたしは流産してしまったのか。 研修医に言われたとおり、流産のほとんどは12週までに起こり、そのほとんどが染色体の異常が原因と考えられている。それは自然淘汰で、生存の難しいいのちの誕生を未然に防ぐメカニズムであるから、辛いけれども未然に防ぐことはできない。 東洋医学では流産の原因、特に3ヶ月までの初期に起こる場合は腎虚を疑うのが基本。腎は染色体やDNAの働きを含んでいるから西洋医学の知見にも一致する。他にも3か月を

          流産と東洋医学