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妊娠中期〜地味な不調と東洋医学

約1ヶ月に及ぶ悲壮なつわり地獄をようやく抜け出し、妊娠中期、いわゆる安定期に入る。何をしてもしんどい、眠たい、常に頭に霧のかかったような状態から少しずつやる気や元気が戻ってきた。妊娠16週目に入ると胎動も感じるように。ミッドワイフのアポイントメントでは元気な心音も聞くことができ、お腹も気を抜くとぽっこりと出てきて赤ちゃんがいることを実感できるようになってきた。
何もしてない、というかむしろひどい栄養状態だったのに肌艶もとてもよくて、髪の毛もクセの強い剛毛だったのがなんだか艶やかでまとまりやすくなってる。ああ、これぞ黄金の妊娠中期だわ。
と、思いきや。この1ヶ月の間、肉を一切受け付けずタンパク質はほぼほぼ取ってない上、横になってばかりで筋肉も目に見えて衰えた。さあできるぞ、動けるぞ、と思っても息がすぐにぜいぜいぜい。それに加えて妊娠前期のつわりのような圧倒的不調はないものの、この時期まさかこんな、というような地味〜な不調に次々と襲われることになる。それもアラフォーということが影響しているのは間違いない、というのが憂鬱にさせる。


陰部静脈瘤


ある日お風呂で体を洗っているとき、股のあたりでボコッとした異様な感触に気づきギョッとする。ボコボコと何かが皮膚の下で波打っている。こんなものは確かに前は存在しなかった。場所が場所だけにまさかの性病?先月出生前診断を受ける際にした血液検査で異常はなかったはずだけど…。
とにかくググる。妊娠中、というキーワードも入れて検索するとヒットしたのが陰部静脈瘤。そういえば左足の腿やふくらはぎに細いみみずのような静脈の膨らみがある。英語のサイトでは躊躇ない詳細なイラストも添えて説明してあって確信。これだわ、これ。妊娠中に起こりやすいとは書いてあるけど、足も含め静脈瘤なんて過去2回の妊娠でなったことなかったよ。なんでなんで、と思ったらリスクファクターの項目を読んで納得。加齢。経産婦。

妊娠中の下肢静脈瘤(かりゅう)は、妊娠によって引き起こされる静脈の拡張や弁の機能不全によって生じる状態です。妊娠によるホルモンの変化や子宮の成長によって、下肢の静脈にかかる圧力が増加し、静脈瘤が発生するリスクが高まります。

下肢静脈瘤は、通常、静脈の表面に青紫色の腫れや隆起が現れることで特徴付けられます。その他の症状には、痛み、痒み、脚の重さや疲労感、ふくらはぎや太ももの痙攣、腫れ、浮腫(むくみ)などがあります。ただし、症状の程度は個人によって異なる場合があります。

加齢によって血管に弾力が失われ、弁の機能も弱まった。若い頃から元気はつらつでもなかったために日常で年齢を感じることってなかったんだけど、血管は確実に劣化している。地味にショック…。この1ヶ月運動らしい運動もまったくしてこなかったからポンプ役を果たすふくらはぎの筋肉が衰えてるのも一因かも。これはいい加減運動を始めないと…。

ちなみに東洋医学的な解決法はあるのか。
東洋医学では静脈瘤の根本的な原因は脾のはたらきが弱っていることと考えられる。脾の気は上向きに流れていて、臓器を支えたり血管内に血液をとどめる大事な役割を果たしている。この支える力が弱まると内臓下垂や出血が止まらない、内出血ができやすい、などの症状として現れる。わたしがずっと月経過多だったのも体質的に脾が弱いからと考えられる。

わたしの場合ボコボコと静脈が浮かび上がるだけだったけど、これが紫色をしていたり痛みまで感じるまで悪化している場合は瘀血と診断される。瘀血、つまり血の流れが滞っていること。これは血液がドロドロだったり気の流れがそもそも悪かったりすると起こる。

施術のツボとしては脾系のツボが中心で

百会 上向きの気の流れを助ける
隠白 出血を止める
太白 脾のはたらきを助ける
血海 瘀血を改善する

ちなみにミッドワイフに相談すると、ブラックペッパーを一回6粒、朝夕2回飲むよう勧められる。漢方では聞かないけど西洋家庭医学?では黒胡椒に血行改善のはたらきがあるとか。しばらく試してみるけどただの気休めか…という気がしてやめてしまった。鍼も同じで、進行を遅めることができないこともないのか、とは思うけど改善、ましてや全快というのはやっぱり無理。
なんにせよ産後自然と血流が改善されて治るから、とにかく悪化させないことが大事よ、ミッドワイフに言われた通り。実感として一番効いたのは、目新しくもないけどちょっと強めの腿までの着圧ソックス(アマゾンでは陰部静脈瘤専用のパンツと一体になった着圧ソックスも売っていていたけど物凄い仰々しさだった)と寝る前に足を壁に立てかけるといった基本的なこと。
目立たないし痛みもないけど気味が悪い。どうか産後きれいになくなってくれますように…。

偏頭痛

わたしは偏頭痛持ちの家系。小学校高学年の頃初めてなって以来、ピークの中学生の頃には月に一回(今思うと月経周期に関連していたのだろう)偏頭痛に襲われていた。症状は典型的で、まず視界にチラチラと光が見え、それがだんだんと大きくなっていき視界を覆うように視野が狭くなる。だんだん視野は回復するものの同時にだいたい片方の側頭部あたりに激しい痛みに襲われる。それから1時間ほどで何もせずとも痛みは治るのだけど、いったん痛みが始まると吐き気を催すほどの苦痛になるので、予兆(オーラ)が見え始めた段階で痛み止めであるアセタミノフェン(バファリンとか)を飲んで保健室で寝る。目が覚めた頃には発作は治まっている、というのが長年の対処法だった。

偏頭痛(へんとうつう)は、頭部の一側または両側に発生する激しい頭痛のことを指します。通常、一側の頭部に強い痛みがあり、脈動するような感じや圧迫感が伴います。偏頭痛は、痛みを伴うだけでなく、吐き気、嘔吐、光や音への過敏症(光過敏症や音過敏症)、または運動時の増悪などの症状も引き起こすことがあります。

偏頭痛は、発作性の特徴があり、通常は数時間から数日間続くことがあります。一部の人にとっては、特定のトリガー(例:ストレス、食品、睡眠不足、特定の匂いや光)が偏頭痛の発作を引き起こすことがありますが、トリガーは個人によって異なる場合があります。

偏頭痛の原因は完全には解明されていませんが、血管の拡張や神経系の異常活動が関与していると考えられています。遺伝的な要素も関与しているとされ、家族歴がある場合には発症リスクが高まることがあります。

中学二年生ごろをピークに発作の回数は減っていき、二十代になってからはほとんど起こらなくなっていた。それが前回、前々回の妊娠のとき突然戻ってきた。それぞれ1、2回で済んだけど、やはり高くなったエストロゲン、プロゲステロンレベルが関係しているのだと思う。偏頭痛は一部の脳血管が拡張し、その後収縮することで起こるとされ、この血管の拡張と収縮が周囲の神経組織に刺激を与え、痛みを引き起こす可能性があると考えられていてる。妊娠中は血管が拡張しやすくなることも影響しているのだろう。
ところで思いがけず、というのもあれだけど、この偏頭痛に鍼がものすごく効いたのである。

あれ?なんだか視界が変だな。これはまさか…。数分後には明らかに視野の端にチカチカと歯車のような光が現れだんだん大きくなってくる。間違いない、始まった。偏頭痛と鍼治療は即効性が命。ただちに横になり施鍼。

生理周期、ホルモンバランスが原因の頭痛は肝の血が関連すると考えられる。妊娠中は血が胎児に流れるため、母体は血虚の状態になりやすい。気のアンカー作用を持つ血が不足すると、肝の陽の気が上にのぼりやすくなる。肝のペアである胆は耳の周りををぐるりと囲む経路を持ち、ここをに気が流れ込むことで側頭部がズキンズキンと痛むことになる。そこで上にのぼった陽の気をしずめる治療が有効。取るツボは

率谷 
足竅陰 
風池
外関

通常予兆が現れてから30分くらいで視野が晴れると同時に痛みが始まる。だんだん見えるようになってきた。でも痛みが始まる気配はない。あら、このままいくのか?驚くべきことに本当にそのまま治まってしまった。以前も自分で治療したことがあり、そのときも同様に痛みが発生することはなかった。これをもって確信。適切なタイミングで治療すれば頭痛は治る!ただ痛みが始まってしまってからでは効果は限定的。少し紛れる、といったところか。即効性には感動するけれど、予兆を感じたタイミングで速攻鍼治療を受けるのは現実的には難しいよなあ。

腰痛

過去2回の妊娠では腰が痛くて痛くて仕方がなかった。妊娠中の体重の増加やリラクシンという靭帯を緩めるホルモンの分泌も影響されていると考えられるけど、やはり姿勢の変化が大きい。お腹が出てくることによって体の重心が移動し、反り腰になってしまう結果、腰に負担がかかることで腰痛が引き起こされる。前、前回の妊娠時は座りっぱなしでほとんど運動もせず、万年腰痛だったから特に妊娠が原因だったのか悪化したのかはわからないけど、妊婦は腰が痛くて当たり前、と言われて納得していた。

今回の妊娠ではなんと!腰が痛くない!そりゃちょっとしんどいな、という日もあるけど、基本的に平気。何が違うかというと鍼、ではなくて。運動!やはりこれが一番効くみたい。
つわりで1ヶ月ほど寝込んで、腰も肩もあちこちガチガチに。さらに例の陰部静脈瘤のショックもあって中期に入り、ついに重い腰をあげて運動を開始した。

長女を出産したときは産休に入って里帰りした地元の産院にエクササイズスタジオがあり、できるだけヨガやらエクササイズやらに通っていたけど、それも後期に入ってから、せいぜい1ヶ月半くらい。それから10年、YouTubeの発展の目覚ましさよ。どんな運動もインストラクターがついていつでもどこでも無料で教えてくれるんだからテクノロジーの発展は偉大だ。

わたしが妊娠中期からサブスクしてるのはPregnancy and Postpartum TVという管理栄養士、マタニティヨガ&エクササイズ講師のアメリカ人女性のチャンネル。動画が豊富でエクササイズ、カーディオ、ヨガ、ピラティス、そのコンボだったり、長さも5分から60分と気分や体力、持ち時間にピッタリはまる一本が必ず見つかる。最初はしんどくて体力つくどころか疲労が蓄積してしまうんじゃ…と挫けそうに。それでも毎日時間を見つけて30分続けるうち、やらない方が気持ち悪いような気分に。
この人のエクササイズはとにかくお尻をよく鍛える。このお尻、そして腿の筋肉、特に内転筋は座ってばかりだと衰えやすいのだけど、骨盤を支える重要な筋肉。お尻まわりの筋肉を鍛えることで骨盤がホールドされ、妊娠で重心が変わっても反り腰にならず結果腰痛予防になるのだ。そしてお尻って目に見えて形が変わる。油断するとピーマンみたいになってしまうお尻がいつの間にかキュッと上向きになってるのを鏡で確認するとモチベーションも上がるもの。結果として妊娠中、これまでで一番継続して運動したわ。

そのほかにも油断してまさかの虫歯になったり、血液検査で貧血と言われて鉄剤飲んだり転んだりといろいろあった。それでもやっぱり体が動いて気分もよくなんでも食べられるようになる妊娠中期は初期のしんどさを思うとやはり黄金期。まだまだ先は長いけどこの時期に運動したり旅行したり、後悔のない過ごし方をしたいですね。




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