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わたしの推し映画

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特に人にお薦めしたい映画作品をまとめたマガジンです。 「#私の推し映画」でタグをつけています。 好き=推したいとは微妙に違ったりします。このマガジンを読んでもらえば、私の趣向が…
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【この復讐は己のために】映画『悪魔を見た』感想

【この復讐は己のために】映画『悪魔を見た』感想

「人を呪わば穴2つ」という言葉があるけど、この映画はある意味そうなのかもしれない。

韓国映画『悪魔を見た』。
日本での公開は2010年と15年前の作品なんだけど、去年観た旧作映画で1番好きだった。

物語は殺人鬼に婚約者を殺された刑事の壮絶な復讐劇。
復讐者である刑事スヒョンを演じるのはイ・ビョンホン。復讐相手の殺人鬼ギョンチョルを演じるのはチェ・ミンシク。監督は『箪笥 たんす』、『甘い人生』な

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【最高なハチャメチャ復讐劇!】映画『私にふさわしいホテル』感想

【最高なハチャメチャ復讐劇!】映画『私にふさわしいホテル』感想

文学の世界を舞台に不遇な扱いを受けた新人作家の逆襲と奮闘を描いた映画『私にふさわしいホテル』。『BUTTER』などで知られる柚木麻子の同名小説が原作となっている。

監督は『池袋ウエストゲートパーク』、『トリック』などの人気ドラマシリーズで知られる堤幸彦。主演は『さかなのこ』ののん、共演には滝藤賢一、田中圭、田中みな実などがそうそうたる面子が名を連ねる。

正直、堤幸彦はドラマは好きだけど映画はそ

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【生きるのも死ぬのも上手くできない私たちは】映画『地獄でも大丈夫』感想

【生きるのも死ぬのも上手くできない私たちは】映画『地獄でも大丈夫』感想

何とも奇妙でポップなバディ・ムービーだった。

物語の舞台は韓国。イジメにあっているナミとソヌ。彼女たちは自殺を考えているが、その前に自分たちをイジメた元凶に復讐しに行くことにする。
だが、そのイジメっ子は新興宗教に入信しすっかり改心していた…

こんなクソみたいな世の中では死ぬことも生きることも上手くできない。
それでも相棒のような、この世を一緒に生き抜いてくれる誰かが傍にいるなら生きていけるか

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【可愛いは最強だ!!】映画『リトル・ワンダーズ』感想

【可愛いは最強だ!!】映画『リトル・ワンダーズ』感想

可愛い、とにかく可愛い、ひたすら可愛い。
『可愛いは最強』ということを思い知らされる映画だった。

映画『リトル・ワンダーズ』は子供が主人公の映画だ。
舞台はアメリカ西部のワイオミング州。山で暮らす3人の悪ガキは病気になった母親の頼みでブルーベリーパイを買いに行く。

お店が休みだったため自分たちでパイを作ろうとするものの、材料の卵を巡って「魔法の剣一味」という謎の集団の企みに巻き込まれていくこと

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【今年No.1の癖つよ映画!】『エストニアの聖なるカンフーマスター』感想

【今年No.1の癖つよ映画!】『エストニアの聖なるカンフーマスター』感想

『エストニアの聖なるカンフーマスター』。
まさに名は体を表すという言葉に相応しくタイトル通り何とも奇妙で癖の強い映画だった。

物語の舞台は1970年代、ポップカルチャーが禁じられたソ連占領下のエストニア。ある男が"ブッラクメタルカンフー"を極めるために修道士になろうとする話。あらすじからして癖が強い!

監督は同じくエストニアを舞台にした『ノベンバー』のライナル・サルネット。モノクロだった前作『

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『ダークナイト』の35mmフィルム上映を観てきた。

『ダークナイト』の35mmフィルム上映を観てきた。

2024年、今年はバットマンの生誕85周年にあたる年らしい。
それを記念してクリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト トリロジー』3部作の35mmフィルム特別上映が開催されている。

今回はトリロジー2作目にあたる『ダークナイト』を友達に誘われて鑑賞してきました。

『ダークナイト』といえば、ヒーロー映画としてだけでなくアクション映画史に燦然と輝く傑作。大好きな作品だしオールタイムベストに

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【怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!】映画『ポライト・ソサエティ』感想

【怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!】映画『ポライト・ソサエティ』感想

凄く好きな映画だった。

最初、ボリウッド映画と勘違いしてたけど、物語の舞台はロンドン、南系アジアの移民コミュニティが題材となっている。

製作をつとめたのは『イエスタデイ』、『ラブ・アクチュアリー』など有名作品で知られるワーキング・タイトル社。
本作もこうした映画と同じ質感、良い意味でライトで明るい。
こうした作品が好きな人にこそ本作を観て欲しい。

物語は姉の結婚を阻止するために奔走する妹が婚

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【狂気はアナタのすぐ傍に】映画『Chime』感想

【狂気はアナタのすぐ傍に】映画『Chime』感想

これは怖い!!

映画『Chime』は『蛇の道』、『スパイの妻』、『散歩する侵略者』など幅広いジャンルの作品で知られる黒沢清監督が手がけた中編作品だ。

「チャイムの音がきこえませんか?」
料理教室で講師を務める主人公はある時、生徒にそんな質問を投げかけられる。耳を澄ますがそんな音は聴こえない。

しかし、その日を境に主人公の周辺は徐々に不穏な出来事に侵食されていき…というあらすじ。

SNSでも

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【都会女子生態観察】映画『ナミビアの砂漠』感想

【都会女子生態観察】映画『ナミビアの砂漠』感想

何はともあれ河合優実に尽きる。

可愛さ、格好良さだけじゃない。
強かさや無邪気さ、弱さを含めた人間味ある人物として魅力に溢れていた。劇中、何かが起きる訳でないけど彼女の動きに見入っていた。

映画は都会に生きる女性の日常を通じて現代に生きる若者たちの姿を描いていく。

タイトルの『ナミビアの砂漠』の由来は、劇中にも登場するナミビアの砂漠に設置された定点カメラの映像からきているらしく、本作は「都会

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【今年の台風の目はこの作品で決まり!!】映画『侍タイムスリッパー』感想

【今年の台風の目はこの作品で決まり!!】映画『侍タイムスリッパー』感想

『侍タイムスリッパー』という映画を知っているだろうか。
監督、脚本をつとめる安田淳一はじめ10数名の有志によって製作された自主映画だ。今一番話題になっていると映画といっても過言ではないだろう。

この映画、もともとは全国で1館だけの上映だったが作品内容の素晴らしさが話題を呼んでSNSを中心に絶賛の嵐となっている。

さらに9月13日からはギャガが共同配給につき新宿ピカデリーほか全国50館以上で順次

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【はちどりの前日譚】映画『リコーダーのテスト』感想

【はちどりの前日譚】映画『リコーダーのテスト』感想

1980年代の韓国、ソウルの団地に住むある少女の日常を描いた短編映画『リコーダーのテスト』。2018年に公開された『はちどり』の前日譚に当たる作品である。

映画配信サービス『JAIHO』にて先日まで配信されており配信終了ギリギリに何とか鑑賞することができた。この作品を観るのはこれが2回目なのだが、改めて素晴らしい作品だと思ったので感想を挙げておきたい。

家父長制、社会格差、男女格差…『はちどり

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【ちゃんと生きるのって難しい】映画「時々、私はかんがえる」感想

【ちゃんと生きるのって難しい】映画「時々、私はかんがえる」感想

何で自分は皆のように振る舞えないんだろう

そう思ったことがある人には何かしら刺さるかもしれない。そんな映画だった。

『時々、私はかんがえる』はオレゴン州のアストリアを舞台に1人の女性の成長を描いた人間ドラマだ。

「スター・ウォーズ」シリーズのデイジー・リドリーが主演、プロデュースをつとめる。監督は2023年インディワイヤー誌が発表した注目の女性監督28人にも選出されたレイチェル・ランバート。

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【キュート×残酷=混沌?】映画『ユニコーン・ウォーズ』感想

【キュート×残酷=混沌?】映画『ユニコーン・ウォーズ』感想

魔法の森を舞台に繰り広げられるテディベアとユニコーンの仁義なき戦い。
「キュートな見た目に騙されるな」というキャッチコピーに偽りなし。可愛い見た目とは裏腹に繰り広げられる残酷絵巻。

監督はスペイン出身の漫画、アニメーション作家のアルベルト・バスケス。
自らが2013年に手掛けた短編アニメ『Unicorn Blood』を長編アニメーション化したものとなる。本作は第37回ゴヤ賞で最優秀長編アニメーシ

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【思い出は美しい、それが後悔だとしても】映画『美しき仕事』感想

【思い出は美しい、それが後悔だとしても】映画『美しき仕事』感想

話の内容よりビジュアルに浸る…

舞台はアフリカのジブチに駐留する外国人部隊。
主人公ガルーはその舞台の上級曹長。話自体はとてもシンプル。
「上官に強い憧れを持つガルーが上官に気に入られた新兵に嫉妬し彼を破滅させようとする」

ただ映画はガルーの回想視点で時間も場所もバラバラ。「物語る」というよりガルーの回想に浸るといった印象を受けた。

本作が撮られたのは1998年、監督は『ショコラ』、『パリ、

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