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よく生きるために / 今月読んだ本(2024年7月)

7月。とんでもなく暑かったですね。いや暑いですね。来月も暑そうです。

今月読み終わった本をいくつかご紹介します。今月は研修期間のため毎日定時で帰ることができ、かつこの暑さと前半の鬱陶しい梅雨ですからね、どこに行く気力が出なかったおかげで、本を比較的読めたかなと思います。
それにInstagramとYouTubeをスマホから消し、かわりにkindleを開く回数が増えたのもよかったです。みなさんもぜひ。

漫画を除くと、今月は以下に紹介する7冊に加えて、仕事に関わる技術書を2冊読みました。読書家と言えるほどは読めていませんが、それなりに骨太な読書はできたかと思います。



1. ジル・ドゥルーズ『批評と臨床』(河出文庫)

フランス現代思想のスター、ドゥルーズの短い論集。文学関連多め。晩年に書かれたもの。私たちにとっての「普通」は病んでいて、そこからの逃走をさせる機械としての文学=治療。最後に収録されたスピノザ『エチカ』に関する短い文章が印象深いです。いつも通り文章がかっこいい。


2. ニーチェ『人間的、あまりに人間的 1』(ちくま学芸文庫)

なんとなく古本屋で手に取り読み始めたのはおそらく3年ぐらい前(!)。前職が激務なのもあり、なかなか読み進められていなかったです。翻訳が少し古いのも原因かも。ニーチェ中期のアフォリズム集。前職を退職後、発起して読み終えました。最後の「ひとりでいる人」という章が勇気をくれます。


3. 青木厚『新版 「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)

数ヶ月前からいわゆる「16時間断食」をちょくちょく実践しています。前職のストレスでドカ食い気絶睡眠を毎日繰り返していたらとんでもない内臓脂肪を成長させてしまったもので。
16時間食事を空けることで、オートファジーにより細胞が勝手に生き返ってくれるらしいのですが、正直感覚としては眉唾もの。ただ、人類はもともと一日3食も摂取する必要がなかったのは事実であり、また空腹のときのあの頭が冴えわたっている感覚が好きなので、しばらく続けてみます。最近は空腹にも慣れ、胃も小さくでき、過度な食欲自体が抑制されてきました。


4. 上野修『スピノザの世界』(講談社現代新書)

今年はスピノザとプルーストを読む一年と決めています。これはスピノザの入門書。上野は現在岩波書店から刊行されている『スピノザ全集』の翻訳も担当されている、日本のスピノザ研究の代表者のひとり。なので難解を覚悟で読み始めてみたのですが、これが予想に反して軽妙な語り口でとてもわかりやすく、そして面白くスピノザの主著『エチカ』のエッセンスを解説してくれます。スピノザへの入門の第一歩として最善の一冊です。


5. マルセル・プルースト『失われた時を求めて 9』(岩波文庫)

今年はスピノザとプルーストを読む一年と決めています。全14巻ある中でやっと9巻まで読み終えました。『失われた時を求めて』自体を読み始めたのは今年に入ってからではなく、もっと何年も前から。断続的に読み進め、やっとここまできました。8巻を読み終わったのはなんと2022年の10月!(笑) 今年中に読み終えます。
社交界の描写が退屈で何度も放り投げましたが、シャルリュス男爵とアルベルチーヌ、つまりはソドムとゴモラの描写がとても面白い。


6. pha『パーティーが終わって、中年が始まる』(幻冬舎)

著者については詳しくないのですが(有名な方のようですが)、Twitterで絶賛のコメントを見たので読んでみました。著者のファンならまだしも、そうでないなら書かれている思考に特に新鮮さはなかったかな。なんとなく芸人のオードリー若林のエッセイに近いです。


7. スピノザ『エチカ (スピノザ全集第3巻)』(岩波書店)

最後はなんと言ってもこれ。『エチカ』を読み終えました。最後の方は読みながら涙ぐみました。『エチカ』を読んだ生と読んでいない生、そこには大きな隔たりがあるはずです。それくらいの本。このひどい世界で、自由に、喜び、愛を持って、他の人間とともに生きる。私ももう少し頑張ってみます。
論の運びは最高にスリリングで、一度最後まで読み終えたのなら、知らず知らずのうちにスピノザの中に包まれ、これまでと全く異なる視界が広がります。あなたがもし生きているのなら、必ず読みましょう。




読みながら普段考えたことなどは日記に書いています。一つでもお読みいただけると嬉しいです。


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