縷々

故永しほる(ゆえなが・しほる)。詩作者。Twitter:@OOE_Naka

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故永しほる(ゆえなが・しほる)。詩作者。Twitter:@OOE_Naka

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    気になった詩や詩集の自分なりの楽しみ方を紹介します。詩を読みたいと思っている人の一つのきっかけに。

  • 『ココア共和国』感想

記事一覧

20240928

個人的に似ていると思う誤謬がある。ぼーっとしながら地下鉄でエレベーターに乗ると、改札にいるのに改札階のボタンを押して、エレベーターが動かないことに違和感を覚える…

縷々
16時間前
4

20240905

書きかけの「20240805」を上書きしてこれを書き始める。 〈日付〉を書くのは久々だ。忙しかった六月、七月が終わり、次を見据えた制作をしたいと思っていた八月は、それま…

縷々
3週間前
6

【募集終了】詩集『占球儀』(せんきゅうぎ)に参加してくださる方を募集します

はじめに詩作者の故永しほる(ゆえなが・しほる)と申します。 このたび、詩集『占球儀』(せんきゅうぎ)に参加してくださる書き手を募集します。 私については以下を…

縷々
2か月前
24

誤読#7 『現代詩手帖』「新人作品」欄 柳本々々

詩の投稿欄と現代詩手帖賞これまでは書籍化された詩を扱ってきました。それは本文へのアクセスしやすさを意識してのことです(初回はインターネット上に公開された作品で…

縷々
4か月前
20

20240419

(広義の)散文を書く企画がひと段落したので、中断していた〈日付〉を再開する。 基本的に制作をするのは夜なのだけれど、最近、気が向いたら朝に作業をするようになった…

縷々
5か月前
4

20240228

風邪をひいてしばらく寝込んでいた。高熱に悩まされるというよりも熱がなかなか下がらないのが大変だった。あとは鼻詰まりと鼻水が酷かった。自分の詩集のイベントが終わっ…

縷々
7か月前
4

20240217

前回僕はこう書いたのだけれど、よくよく考えてみるとあまり正確ではなかった。 詳しい文脈は読んでもらうとして、ある言葉の質感、というこの発想は「収穫したもの」とい…

縷々
7か月前
1

20240213

二日くらい前にある発想があった。さらに出勤中に読んでいた小説に感覚を磨かれたような感じがあって、今日は一日中半分くらい夢心地だった。良い意味で、うつつを抜かして…

縷々
7か月前
4

20240208

スマホケースに満足したことがない。次こそは長く、なんならこのスマホを使っている間はずっとこれでいいと思えるくらいのものを買おうと意気込んで、店や通販サイトを巡り…

縷々
7か月前
3

20240123

年末年始も詩を書いたり、色々な依頼を進めたりと、平常運転のつもりだったのだが、仕事始めあたりから違和感を抱き始めて、数日前までもやもやしていた。 四月あたりが締…

縷々
8か月前
1

20231230

年末なのと、これがちょうど十回目なので、まとめ的にこの〈日付〉という試みを続けてきた所感を書いていくことにする。 そもそも〈日付〉は、僕が散文と和解するための試…

縷々
9か月前
3

20231223

昨日、仕事中にメモをとっていて、茨城県に「茨」という字が含まれていることに改めて気づいて、一人で静かに驚いていた。何度も見たことがあるし、少なくない回数書いたり…

縷々
9か月前
1

20231211

昨日、大勢で海に近い温泉に泊まって、サンダルと水着、あと一つ大切な何か(覚えていない)を持ってくるのを忘れて、てんやわんやしたという夢を見た。 その夢から覚めて…

縷々
9か月前
3

誤読#6『とある日 詩と出会うためのアンソロジー』、『そだつのをやめる』青柳菜摘、『ひかりのそう』山腰亮介

今回も、最近読んだ詩集の中から気になったものを取り上げていきます。これまでよりもテンポよく書くというか、軽やかに書けたら良いなと思っています。 この企画の意図や…

縷々
9か月前
8

20231126

インフルエンザワクチンの接種に行った。なかなか予約がとれず、訪れた病院は小児科院だった。事前にその情報は手に入れていたのだけれど、そこは予想以上に小児科だった。…

縷々
10か月前
5

20231117

とある詩のネプリを印刷したのだけれど、相も変わらずぼーっとしていたので、取り忘れたまま別の買い物を済ませてコンビニを出てしまって、気づいてから慌てて戻ったのけれ…

縷々
10か月前
2

20240928

個人的に似ていると思う誤謬がある。ぼーっとしながら地下鉄でエレベーターに乗ると、改札にいるのに改札階のボタンを押して、エレベーターが動かないことに違和感を覚えるまでエレベーター内に突っ立っていることがよくある。気づいたら慌てて「ホーム」ボタンを押して、動き出すエレベーターのなかで動くはずのない箱の中にいる間抜けな自分の姿を思う。

少し考えたらわかるのだけれど、なぜか改札とホームの区別が曖昧なのだ

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20240905

書きかけの「20240805」を上書きしてこれを書き始める。

〈日付〉を書くのは久々だ。忙しかった六月、七月が終わり、次を見据えた制作をしたいと思っていた八月は、それまでの原稿の直しとインプットで使い切った。何かを一から書こうとしたら自分が迷子であることに気づいてしまう予感があった。

『占球儀』の取りまとめ(と、まだ秘密の企画の制作)は定期的にあって、それが生命線になっているんだけど、一方でぼ

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【募集終了】詩集『占球儀』(せんきゅうぎ)に参加してくださる方を募集します


はじめに詩作者の故永しほる(ゆえなが・しほる)と申します。

このたび、詩集『占球儀』(せんきゅうぎ)に参加してくださる書き手を募集します。

私については以下をお読みください。

『占球儀』は、ルーレット式おみくじ器に59人の書き手による一行詩を収録した「詩集」です。

一篇一篇の詩がおみくじの一枚にあたり、読者は、自分の星座が記された投入口に100円を入れ、レバーを押すことで、一篇の詩を手に

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誤読#7 『現代詩手帖』「新人作品」欄 柳本々々

誤読#7 『現代詩手帖』「新人作品」欄 柳本々々


詩の投稿欄と現代詩手帖賞これまでは書籍化された詩を扱ってきました。それは本文へのアクセスしやすさを意識してのことです(初回はインターネット上に公開された作品でした)。その後、絶版本を扱うなど、徐々にその縛りは緩んでいくわけですが、タイトルにもある通り、今回はついに書籍化されていない詩を扱います。書き手は柳本々々です。

この企画の意図や目的などをまとめた#0は以下のリンクから。

今回扱う柳本の

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20240419

(広義の)散文を書く企画がひと段落したので、中断していた〈日付〉を再開する。

基本的に制作をするのは夜なのだけれど、最近、気が向いたら朝に作業をするようになった。前日に早寝をして早朝に起き、歯磨きだけ済ませてまだ少しぼんやりした頭で机に座る。

何度か朝作業をして、朝には朝の良さがあることがわかってきた。結論から言うと、朝と夜では得意な作業が異なる。

朝には散文のドラフトを書いたりと、勢いが必

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20240228

風邪をひいてしばらく寝込んでいた。高熱に悩まされるというよりも熱がなかなか下がらないのが大変だった。あとは鼻詰まりと鼻水が酷かった。自分の詩集のイベントが終わって、自覚こそなかったものの張り詰めていたものが緩んだところをやられたのだと思う。ものを書くことはおろか、読書もできなかったし、想像を巡らせることも難しかった。ずっとYouTubeのラジオ動画を聴いていて、内容はほとんど記憶に残っていないのだ

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20240217

前回僕はこう書いたのだけれど、よくよく考えてみるとあまり正確ではなかった。

詳しい文脈は読んでもらうとして、ある言葉の質感、というこの発想は「収穫したもの」というよりも「実っている状態」と表現した方が相応しいような気がする。「収穫」してしまうと、その果実はあり方が変化してしまう。つまり、「収穫」とはそのまま言語化・具体化のことなのではないか。そう思ったわけだ。

では、「実っている状態」はどのよ

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20240213

二日くらい前にある発想があった。さらに出勤中に読んでいた小説に感覚を磨かれたような感じがあって、今日は一日中半分くらい夢心地だった。良い意味で、うつつを抜かしていた。

その発想というのは具体的な詩句でもなく、ましてやテーマやモチーフでもなかった。強いていうなら、言葉の質感のようなものだろうか。完成前の陶器の、その手触りだけを思いついたのだった。読んでいた小説もそうで、ストーリーがどうとかというよ

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20240208

スマホケースに満足したことがない。次こそは長く、なんならこのスマホを使っている間はずっとこれでいいと思えるくらいのものを買おうと意気込んで、店や通販サイトを巡り、やっと出会えた気に入ったものを購入する。たとえば、好きなイラストレーターがデザインしたスマホケースを買ったりする。しかし実際にスマホにつけると、数日も保たずに不満を抱いてしまう。

飽きるのとは違う。そのデザイン自体はまだ気に入っている。

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20240123

年末年始も詩を書いたり、色々な依頼を進めたりと、平常運転のつもりだったのだが、仕事始めあたりから違和感を抱き始めて、数日前までもやもやしていた。

四月あたりが締切の原稿を進めたり、こつこつ積み重ねるタイプの原稿をメインでやっていて、スケジュール的にもかなり余裕があり、それぞれの進捗も悪くない。締切が近くなってから苦しまないように、書けるものから動き始めているのだけれど、流れ作業的にこなしているわ

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20231230

年末なのと、これがちょうど十回目なので、まとめ的にこの〈日付〉という試みを続けてきた所感を書いていくことにする。

そもそも〈日付〉は、僕が散文と和解するための試みであり、同時に日記を書くこと、そしてそれを読み返すということへの興味が起点としてある。これまで日記を書き続けることができなかったため、だいたい一、二週間に一度のペースで投稿することをなんとなく定め、継続のハードルを下げた形だ。今後も柔軟

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20231223

昨日、仕事中にメモをとっていて、茨城県に「茨」という字が含まれていることに改めて気づいて、一人で静かに驚いていた。何度も見たことがあるし、少なくない回数書いたり、キーボードで入力したことがあるのに、意識したのはこれがはじめてだった。

たとえば「茨木のり子」の場合はそうではなくて、「茨」の印象はほとんどそのままの形で人名の中に存在している。「茨城」はそうではなくて、「茨」という文字の印象は完全に埋

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20231211

昨日、大勢で海に近い温泉に泊まって、サンダルと水着、あと一つ大切な何か(覚えていない)を持ってくるのを忘れて、てんやわんやしたという夢を見た。

その夢から覚めて、僕は「実際にあった出来事を夢に見ることってあるんだなー」と思ったのだけれど、実はそう思ったのも夢の中の話だった。目を覚ました僕は寝起きとは思えないくらい心拍数が早くて、もしかしたら悪夢だったのかもしれない。

落ちついてから、多重構造の

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誤読#6『とある日 詩と出会うためのアンソロジー』、『そだつのをやめる』青柳菜摘、『ひかりのそう』山腰亮介

誤読#6『とある日 詩と出会うためのアンソロジー』、『そだつのをやめる』青柳菜摘、『ひかりのそう』山腰亮介

今回も、最近読んだ詩集の中から気になったものを取り上げていきます。これまでよりもテンポよく書くというか、軽やかに書けたら良いなと思っています。

この企画の意図や目的などをまとめた#0は以下のリンクから。

『とある日 詩と出会うためのアンソロジー』最初は、「詩と出会うための」と副題がつけられた詩のアンソロジーです。

責任編集は川上雨季。メンバーはインカレポエトリというサークルのメンバーから構成

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20231126

インフルエンザワクチンの接種に行った。なかなか予約がとれず、訪れた病院は小児科院だった。事前にその情報は手に入れていたのだけれど、そこは予想以上に小児科だった。

待合室はファンシーな雰囲気で、誰が設計したらそんなに不自然に口が大きくなるのだろうと哀れに思うほどのドラえもんの壁掛け時計が妙に印象的だった。絵柄もふた時代くらい古い。テレビではトムとジェリーが流れていた。こういうときのトムジェリには一

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20231117

とある詩のネプリを印刷したのだけれど、相も変わらずぼーっとしていたので、取り忘れたまま別の買い物を済ませてコンビニを出てしまって、気づいてから慌てて戻ったのけれどプリンターのところにネプリはなく、店員さんに確認してもわからないとのこと。

諦めてもう一度印刷しながら、最初に印刷したネプリは、たまたま見つけてその詩に魅入られた人にもらわれたのだと思うことにした。達者でな、と心の中で呟いて、(おそらく

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