蒼のカリスト@執筆アカウント

こちらでは、小説のことしか書かない予定です。 投稿時間は不定期ですが、応援宜しくお願いします。

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あんたとシャニムニ踊りたい プロローグ‐①

0  「私はあなたと友達になりたい。あなたの顔を私は知らないけど、いつか、あなたと踊りたい。今は元気が無くても、いつか、元気になったら、あたしと踊ろう。そしたら、きっと、こんな世界も悪くないと思えるから」  中学一年の夏、トイレで独り苦しむ私にそう言ってくれた人がいた。  こんな汚れた私でも、愛してくれる人はいるのだろうか?  最初は腹も立ったし、むかついたけれど、こんな私でも救われて良いんだとそう思えた気がした。  1年後 6月某日 〇〇中学校 2年1組教室内。  朝

    • あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー⑤「ヒーロー」

       前回はこちらです。   5  昼休み前、いつものように、弁当を食べようとすると制服姿の暁が私の前の席の生徒から、許可を貰い、一緒にご飯を食べようとしていた。  「さも平然とご飯を食べようとしないで」  「だって、妃夜と最近、全然会話してないからさ」  「あんたが〇INEすればいいだけじゃない」  「あんなもんで、気持ちは乗らないよ。やっぱり、言葉は近くでないと伝わらないよ」  「本当にあんた、今時の人?」  私は弁当に入った卵焼きに手を伸ばした。  「そ

      • あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー④「ヒーロー」

         前回はこちらです。 4  7月のある日、その日は私が最も苦手とする体育で、水泳の授業の日だった。  泳ぐことが出来ないわけでは無い。取り立てて、得意という訳ではない。   問題は着替えの時間だった。この時間になると気持ち悪くなってしまい、着替え終わる頃には、いつもグロッキーで全力が出せない。   原因は未だに分かっていない。自分より、プロポーションが良くて、スタイルのいい同級生に辟易しているのか?  「今日は着て来たんだよ?賢いだろ、私!」  「それって、下着忘れ

        • あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー③「ヒーロー」

          前回はこちらです。 5  こんばんは 宜しくお願いします    初めてのメッセージアプリでの連絡は、既読が付くことは無く、一夜が明けた。   最初から、分かっていたはずだ。この女は、ネットが無くても、生きていける人種であることは。   だからこそ、折れてはいけない。私はそう思っていた。  翌日   「妃夜、佐野っち、おはよー!」   クラスメイトからの動揺が一気に走った。 無理もない、あの暁晴那が、あのクソ陰キャを呼び捨てにしたのだ。  何で、何でと言う雑音が

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        あんたとシャニムニ踊りたい プロローグ‐①

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        • あんたとシャニムニ踊りたい
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          あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー②「ヒーロー」

          前回はこちらです。 2  よかったね、妃夜ちゃん。お友達が出来て、本当に良かったね。  だけど、いいの?お友達が出来たら、また裏切られるよ?  ーうるさい  あの時みたいに、人は裏切るよ?簡単に、すぐに代わりを見つけて、何事も無かったかのように?  ーうるさい  勉強も出来なくなるよ?勉強をしているのは、何の為?  ーだまれ  人を信じない方がいいわ、一人になりなさい。  ーあんたは、何なんだ  この先は地獄よ?天国なんてものは創作者の作った架空の産物。

          あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー②「ヒーロー」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー①「ヒーロー」

           6月も終わりが近づいた月曜日。期末テストが返却され、私は学年で一位になった。   正直、どうでもよかった。夢も希望も無く、ただ、漫然とやることをやっただけの私にとって、こんなこと、何の役にも立つわけでもない。   それ以上に私は暁がこんなに頑張ってくれたが、何よりも嬉しかった。  これから、陸上大会が忙しくなるので、私は暁に話があると昼休みに、呼び出され、校舎を歩いていた。  「未だに信じられないわ。まさか、暁がここまでやるなんて」  「へっへへ~、どんなもんだい!」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第3話ー①「ヒーロー」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐⑥「どうにかなるさ」

          6  あたしと茜が知り合ったきっかけは、同じクラスだったからということ位で、ドラマも無ければ、友情を分かち合うエピソードも無い。   今思えば、茜はいつも必死だった。必死で食らいつき、必死で相槌を打って、話もちゃんと聞いてくれていたと思う。   それがウザいと言われたら、それまでなんだけど、それまでの一人称の朱音じゃなくて、アタシと言った彼女の言葉に私は何も言えなかった。   家に帰るといつものように、にーちゃんがあたしを台所で出迎えてくれた。  「どうした?詩羽に

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐⑥「どうにかなるさ」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐⑤「どうにかなるさ」

          5  独りでとぼとぼと歩いて、下校しようしていると近くにいた女子が何か、騒いでいた。  「おいおい、宮本が秀才様に絡んでるんだって」  「マッ?、あいつ、何やってんだか」  「どうせ、勉強出来ない腹いせにリンチするつもりだよ。だっせぇ」  あたしは近くにいた女子を睨み、唐突に話しかけた。  「2人はどこ?」  そいつらから、自転車小屋にいることを聞きつけ、あたしは校舎を走っていた。 茜が最近、辛そうなのは知っていた。あたしはその原因が羽月と知らなかった。本当は分

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐⑤「どうにかなるさ」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐④「どうにかなるさ」

           前回はこちらです。 4  羽月はこんなあたしの為に一生懸命勉強に付き合ってくれた。   ノートを書き写したりしながら、分からない所は教えてくれたし、無理そなのは、捨てろと言われたりと合理的であたしのことを熟知した教え方にはムダな要素が一つもないように思われた。  授業終わりでも、昼休みも、放課後も羽月はあたしの為に時間を割いてくれた。   練習が終わった後でも、あたしのことを待ってくれる彼女にあたしはどうしても、申し訳なさが生まれた。  「待たなくてもいいって、言っ

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐④「どうにかなるさ」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐③「どうにかなるさ」

          3   PM7時30分   あたしは抜け殻のような体で、食堂に訪れた。  「絞られたな。天ちゃんの時は彼女が匙投げだしてたけど、彼女、根性あるなぁ」  「そう・・・なんだ・・・け・・どね」  あたしは自分のレベルの低さを思い知った。   羽月にとっての勉強とは、記憶であり、どれだけ、効率的に暗記するかに掛かっていた。   当然、暗記だけでテストは乗り切れないが、彼女には応用に活かせる機転がある。それはきっと、様々な勉強による研鑽による物なのだろう。    「あたし、

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐③「どうにかなるさ」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐②「どうにかなるさ」

          2  あたしの自宅に到着すると羽月は少し落ち着かない様子だ。   無理もない。友達の家に来るなんて、初めてかもしれないのだから。   あたしは扉を開け、いつものようにただいまと叫んだ。  「お邪魔します」  「どうぞどうぞ、狭い家だけど、ゆっくりしてって!」  下駄箱に靴を綺麗に並べ、家に上がる羽月の姿は何処か、儚げで何処か、今にも崩れてしまいそうに思えた。  「おかえり、晴那」   いつものように、あたしの兄こと、旭にーちゃん(高1)が現れた。  「ただいま、に

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐②「どうにかなるさ」

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話ー①「どうにかなるさ」

          1  6月の某日。  あたしと羽月の2人は、夕刻の公園で泣き合った帰り道での出来事。   羽月はあたしに質問をして来た。  「ねぇー、点数教えて。勉強するには、どれ位か知りたいんだけど」  「あっ、それはそうなんだけど、そのあれが、そのぉ」  「ハッキリ言って」  「分かんない。過去は振り返らないタチなんで」   羽月の表情は険しく、あたしを睨んでいた。  「嘘じゃないでしょうね?」  「本当だよ、信じてよ」   テストの点をいちいち覚えている程、あたしの容量は

          キミとシャニムニ踊れたら 第2話ー①「どうにかなるさ」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー⑥「どうにかなるさ」

          6  それから、日が明けても、暁はいつものように、挨拶は交わしても、それ以上の行動を取ることは無かった。   期末テストが始まっても、それは変わらなかった。彼女は私に教えを乞うことも無ければ、しつこく付きまとう行動も起こさなかった。   暁と宮本さんは、仲直りしたようだが、どうにも、ぎこちなく見えた。  期末テストは保健体育の時、気分が悪くなった位で、それ以上のことは何も起きなかった。   いつの間にか、テストは終わり、週末を超え、翌々日には全てのテストが返却されていた。

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー⑥「どうにかなるさ」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー⑤「どうにかなるさ」

           前回の話はこちらから。 5  下駄箱まで走り切り、息も絶え絶えの私には後悔しかなかった。   気を遣うなと言っておきながら、これじゃあ、立つ瀬がない。  連絡先を交換したくないわけじゃないが、そのタイミングが今と分かって、私は焦っていた。 未だに彼女に心を許していない自分と本当はどうしたいか、分からない。  仕方なく、家に帰ろうと校舎を後にした私はいつものように、自転車置き場に向かっていた時のこと。  モブ女が私の目の前に立っていた。  「待ってたんだよ」  

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー⑤「どうにかなるさ」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー④「どうにかなるさ」

           前回の続きはこちらから。 4  それから、二日掛けて、暁は全てのノートを書き終え、テスト勉強に励んでいた。   数学だけに限れば、基礎が出来てなかったので、その部分を補いながら、私と暁は図書室でテスト勉強を行っていた。  「とりあえず、連立方程式やBe動詞の過去形は覚えたわね」  「頭がパンクしそう・・・・」  「パンクする位が丁度いいわ。後はそれをちゃんと活かせるようにしなきゃね」  「一つ聴いても良い?」   「何よ?」  「何で、羽月は頑張れるの?」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー④「どうにかなるさ」

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー③「どうにかなるさ」

           前回はこちらです。 3  私には疑問があった。暁の涙を自然に拭いていたことだ。   私にとって、人の体温は不快の象徴であるはずなのに、どうして、あの時は気分が悪くならなかったのか?   一度はちゃんと考えようとしたが、それを記憶は許してくれなかった。  もしかして、私は彼女を求めているのか?  私は私が分からない。私は一体、どうしてこうなってしまったのか。  「羽月?羽月?ひよっち?ひよさん?ひー」  「やめろ、その呼び方。私はあんたを許したわけじゃないんだ

          あんたとシャニムニ踊りたい 第2話ー③「どうにかなるさ」