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キミとシャニムニ踊れたら 第2話‐⑤「どうにかなるさ」


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 独りでとぼとぼと歩いて、下校しようしていると近くにいた女子が何か、騒いでいた。

 「おいおい、宮本が秀才様に絡んでるんだって」

 「マッ?、あいつ、何やってんだか」

 「どうせ、勉強出来ない腹いせにリンチするつもりだよ。だっせぇ」

 あたしは近くにいた女子を睨み、唐突に話しかけた。

 「2人はどこ?」

 そいつらから、自転車小屋にいることを聞きつけ、あたしは校舎を走っていた。 茜が最近、辛そうなのは知っていた。あたしはその原因が羽月と知らなかった。本当は分かっていたのかもしれないが、観て見ぬふりをしていたのかもしれない。 

 友達だから、分かってくれると思っていた。けれど、そういうのは態度ではなく、言葉ではきゃ、伝わらない。 

 下駄箱から、靴に履き替え、大急ぎでその場に向かい、近くから茜のキレる大声が聴こえて来た。

 「何で、あんたばっかり、勉強教えて貰ったりして、ズルいよ。茜なんて、一度もあんな笑顔の晴那見たことないのに。あんなことするヤツじゃないのに、何であんたなわけ?こんなゲロ吐いて、髪引っ張られて、気絶するような女の何処がいいの?メンヘラ女のあんたが茜は大嫌い!人に好かれる努力もしてないあんたに茜の・・・・アタシの何が分かんのよ・・・。晴那の気持ちも知らないクセに」

 あたしは目の前のことばかりで、何も見えていなかった。 
 大切な友達が傷ついていることに何も気づけなかった。

 「あんたは必ず後悔するよ。暁と付き合うってことがどんだけ、大変かってことが」

 「聞いて、私は暁さんと付き合うつもりなんて」

 「うそをつくな。だったら、何で晴那の誘いをあんなに断るんだよ?晴那の思いを無駄にして、あんた本当に何なの?そういう態度が晴那を苦しめてるの分かってんの?楽しんでるの?晴那を傷つけて、楽しんでるとしたら、アタシはあんたを許さない。アタシはあんたを絶対に」

 「茜、もうやめて」 

 あたしは2人の下に辿り着いた。 
 あの時の彼女の表情をあたしは生涯忘れることは無いんだろうな。

 「晴那・・・」

 「茜、ごめんね。あたしの所為だね。本当にごめん」

 「違う、そんなつもりじゃ・・・」

 「茜、あたしは羽月が好き」 

 急に出て来た言葉で、羽月が止めようとしたが、あたしはもう止まれなかった。

 「茜だって、同じだよ。同じようにあたしは皆が大好きだよ」

 「嘘だ、晴那。最近の晴那はうそつきだ。本当は羽月を愛してるんだろ?そうじゃなきゃ、何でこんなメンヘラ女の何処が」

 「茜、取り消して」

 茜の言葉にあたしはつい激昂してしまった。

 「あたしはあたしの見た物だけを信じる。羽月はメンヘラでもゲロ女でもない。あたしの友達だ」  

 茜は目線を逸らし、自転車の方向に足を向けていた。

 「だから、取り消して。茜、お願いだから」

 茜は近くに置いてあった自転車に乗り込み、無言のまま、その場を過ぎ去っていった。

 「お前等、とっくにって、コラ、宮本!転倒したらどうするんだ、コラ」

 先生が駆け付けて来た。どうやら、この騒ぎを聞きつけたようだ。

 「宮本が羽月に絡んでるって、聴いたんだけど、無事か?」

 「無事です。何もされていません」

 あたしは先生の説教を話半分のまま、その場を後にした。 

 あたしは最低だ。羽月ばかりに気を取られ、挙句あんなことを言ってしまった。 
 平等のつもりが、とんでもない矛盾を抱えた自分が嫌になった。 

 「くっそがぁぁぁぁぁ」 

 わがままで自分勝手なあたしは手を放し、自転車で1人叫びながら、校舎を後にした。

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