せんさつくん

本を千冊紹介しています。

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  • シェイクスピ37全作品の紹介

    シェイクスピアの戯曲37全作品を紹介します。詩作6つを加えると43作品になります。

最近の記事

56/1,000冊目 林 芙美子 (著) 『浮雲』

相良 奈美香 (著) 『浮雲』 感想リアル。人を夢中にさせるギミックを使った空想フィクションではなくて、現実にあった感情をフィクションというフレームをつかって換言したように感じた。 触感のある機微。 概要第二次大戦下、義弟との不倫な関係を逃れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。一見冷酷な富岡は女を引きつける男だった。本国の戦況をよそに豊かな南国で共有した時間は、二人にとって生涯忘れえぬ蜜の味であった。そして終戦。焦土と化した東京の非情な現実に弄ばれ、ボロ布のよ

    • 55/1,000冊目 相良 奈美香 (著) 『行動経済学が最強の学問である』

      相良 奈美香 (著) 『行動経済学が最強の学問である』 感想行動経済学の体系化が、本書の目的。 カーネマンやセイラーらの説く説をそれぞれ見知ってみてもどう活用していいかわからない……。わたし自身、そのように感じていましたが、その課題に取り組もうとしたのが本書でした。 体系化、はともかく、とても良くまとまっているので、行動経済学を俯瞰するにはとても役立ったように感じます。 相良 奈美香(さがら なみか)オレゴン大学卒業、同大大学院 心理学「行動経済学専門」修士課程および、

      • 54/1,000冊目 本谷 有希子 (著) 『生きてるだけで、愛。』

        本谷 有希子 (著) 『生きてるだけで、愛。』 概要あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが……。 誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛"の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編『あの明け方の』を収録。 感想短編の『あの明け方の』も含めて、主人公の女の子は、ば

        • 53/1,000冊目 デビッド・ロブソン (著) 『The Intelligence Trap』

          デビッド・ロブソン (著) 『The Intelligence Trap』 概要質問「モーゼは方舟に1つの種から何匹の動物を乗せましたか?」 コナン・ドイル、ノーベル賞受賞者、アインシュタイン、スティーブ・ジョブス……誰もが尊敬する、知の巨匠たち、エポックメイキングな起業家やクリエイターたち、も陥る、いやむしろ頭の良い人ほど陥る罠「インテリジェンストラップ」とは? IQという発明が如何にして人々の才能を潰してきたのか。それは当時はまだ図り難かった「知的謙虚さ」「好奇心」

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        • シェイクスピ37全作品の紹介
          9本

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          52/1,000冊目 村田 沙耶香 (著) 『コンビニ人間』

          村田 沙耶香 (著) 『コンビニ人間』 概要英語でのタイトルは“Convenience Store Woman”。日本の作家、村田沙耶香による2016年の小説。 日本の生活に密着した身近なコンビニエンスストアの雰囲気を表現している。 同作は2016年に芥川賞を受賞した。村田は執筆の傍ら、週3回コンビニで働き、その経験から小説の着想を得た。 この小説は「文学界」2016年6月号に掲載され、その後2016年7月に文藝春秋から単行本として刊行された。 この小説は日本で150万部以

          52/1,000冊目 村田 沙耶香 (著) 『コンビニ人間』

          51/1,000冊目 菊水 健史 (著) 『犬の生態学』

          菊水 健史 (著) 『犬の生態学』 概要知れば知るほど愛おしい! 人類の最古にして最高のパートナー 犬の行動のワケがすべてわかる! 動物の中でもっとも身近なパートナー、犬の行動や生態について 動物行動学の見地から読み解いた1冊です。 最新の研究によりわかった犬の驚くべき能力から 長く深い共生の歴史、犬が扱うボディランゲージ、 おかしな行動にあらわれる複雑な心理まで。 犬の愛おしさの秘密を知り、絆をより深めるためのヒント集 (Amazon.co.jpより) 感想見開きごと

          51/1,000冊目 菊水 健史 (著) 『犬の生態学』

          50/1,000冊目 阿刀田 高 (著) 『やさしいダンテ<神曲>』

          阿刀田 高 (著) 『やさしいダンテ<神曲>』 概要腐った役人、裏切り者のお金持ち、嘘つきの宗教者。みんなそろって地獄堕ち。迷える中年ダンテ。詩人ウェルギリウスの案内で地獄を巡り、考えた。死んだらどうなるの? 地獄に堕ちるのはどんな人? 地獄の底には誰がいる? 暴食、吝嗇、浪費、自殺、賭博、偽善、追従、魔術、エトセトラ。キリスト教は悪をどう捉えるか? ダ・ヴィンチもミケランジェロも読んで学んだヨーロッパの大著を、やさしくユーモラスに読み解く。 (Amazon.co.jpより

          50/1,000冊目 阿刀田 高 (著) 『やさしいダンテ<神曲>』

          49/1,000冊目 塚原 直樹 (著) 『カラスをだます』

          塚原 直樹 (著) 『カラスをだます』 概要著者は「カラスの鳴き声」の研究で博士号を取った研究者であり、長年の研究成果である「鳴き声でカラスを操る技術」を駆使してカラス被害に対し科学的な対策を提案する「株式会社CrowLab」の創業者。 本書は、 カラスはなぜ黒い? 襲われないためにはどうすればいい? などの基礎的な問いから、肉はおいしい? どうすれば食べられる?などの興味にも、そして、どうすれば追い払える?という切実な問いにも、自ら確かめた事実だけをもとに答えていく。1

          49/1,000冊目 塚原 直樹 (著) 『カラスをだます』

          48/1,000冊目 アレクサンドラ・ホロウィッツ(著) 『犬から見た世界: その目で耳で鼻で感じていること 』

          アレクサンドラ・ホロウィッツ(著) 『犬から見た世界: その目で耳で鼻で感じていること 』 概要犬はその鼻で何を嗅ぎ、その目でどんな風景を見、その耳で音をどのようにとらえるのだろう?そんな素朴な疑問に応えるべく書かれた本。 感想翻訳のみならず、おそらく原文も読みにくい。それでもなお、科学という、バイアスをできるだけ排除しようと努めた視点から見る「犬の世界」を知る喜びと驚きを得ることができました。 多くの犬のしつけに関する著名な言説にある、ちょっとした盲点(ときにはクリテ

          48/1,000冊目 アレクサンドラ・ホロウィッツ(著) 『犬から見た世界: その目で耳で鼻で感じていること 』

          47/1,000冊目 北村 紋義(著) 『どんな困った犬もこれで大丈夫! 体罰ゼロのポチパパ流 犬のしつけ大全』

          北村 紋義 『どんな困った犬もこれで大丈夫! 体罰ゼロのポチパパ流 犬のしつけ大全』 感想読みやすい。2時間もあればざっくり読めます。犬主体に考え続けた試行錯誤を知ることができました。 実践して確かめつつ、他の本も読んで、できれば科学的なエビデンスや知見も得て、検証したい。 北村 紋義きたむら あやのり。大阪府富田林市にて、保護犬のシェルターと犬の問題となる行動(吠える、噛むなど)を犬の心理と行動からのリハビリトレーニングセンターを運営している。 ドッグメンタリスト(

          47/1,000冊目 北村 紋義(著) 『どんな困った犬もこれで大丈夫! 体罰ゼロのポチパパ流 犬のしつけ大全』

          46/1,000冊目 村松 友視(著) 『百合子さんは何色: 武田百合子への旅』

          村松 友視(著) 『百合子さんは何色: 武田百合子への旅』著者:村松 友視 出版年:1994年9月 出版社:筑摩書房 概要作家・武田泰淳の妻であり、自らも数少ない珠玉の日記、エッセイをのこし、昨年死去した武田百合子。不思議な謎を秘めた彼女の人生に色をそえるために作家、村松友視が書き下ろした鎮魂の書。 感想武田百合子や武田泰淳の文才を相対的に体感できました。「色」という比喩がそもそもすっと入ってこず、いちいち思考が止まるのですが、それでも真摯に武田百合子さんという存在がど

          46/1,000冊目 村松 友視(著) 『百合子さんは何色: 武田百合子への旅』

          45/1,000冊目 鈴木祐(著) 『進化論マーケティング』

          鈴木祐(著) 『進化論マーケティング』著者:鈴木 祐 出版年:2022年8月 出版社:すばる舎 感想ソーシャルメディアの戦略を含めてマーケティング指南の著書のほとんどが「経験から得た、こうなんじゃね?」という理論であるのに対して、本書はできるだけエビデンスベースであろうとする姿勢で書かれたものでした。 ビジネスというのは、佐藤航陽氏も「経済とは欲望のネットワーク」と表現していた通りに、人間の欲望を最適化しようとする活動で、ならば人間の欲望を理解しないでビジネスを発展させる

          45/1,000冊目 鈴木祐(著) 『進化論マーケティング』

          44/1,000冊目 ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』

          ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。 出版:1919年(ヘルマン・ヘッセ42歳) 『デミアン-エーミール・シンクレールの少年時代の物

          44/1,000冊目 ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』

          43/1,000冊目 佐藤航陽 『お金2.0』

          佐藤航陽 『お金2.0』著者:佐藤航陽 出版年:2017年 感想佐藤航陽氏のトライアルアンドエラーをトレースするような本。わたしも真似したい生き方を発見。 得たもの経済システムの要件定義 中央集権化→分散化という時代の流れ 飢えをしらない世代が形成する「生きがいを求める」世界。生きがい主義。お金の価値は相対的に減少。高級車、ジュエリーの相対的な価値の減少(生きがいじゃないから)。 経済とは人間の欲望を最適化する活動 疑問→調査→仮説→試行→疑問というループ。理想。

          43/1,000冊目 佐藤航陽 『お金2.0』

          42/1,000冊目 武田百合子 『日日雑記』

          武田百合子 『日日雑記』武田百合子さん(1925–1993)の日々の雑記。 正月の百貨店、美空ひばり、映画館の三本立て、小旅行、富士山荘での日日……。見たもの、食べたもの、出会った人々のことなど、身辺のできごとや思い出を簡潔で少しユニークな文章で綴られたエッセイ集。 表紙は、娘で写真家の武田花さんの写真。花さんによるあとがき 「エッセイなんて、それがどうしたと言われれば、何でもないもんだ。へへ」 と武田百合子さんはおっしゃっていながらも、ちょっとした表現を直すのに朝

          42/1,000冊目 武田百合子 『日日雑記』

          41/1,000冊目 ゲーテ 『ゲーテ詩集』

          ゲーテ 『ゲーテ詩集』 感想82歳までの生涯をたどるように読めて良い。 長きに渡って恋愛への関心がとても高い。それがゆえに元気なのかもしれない。現代においては大御所感がすごいが、ヴァイマルでの政治的な仕事をずっとやってきていたのに11年目にして全て放棄して(放棄したと言っても「無期限休暇」とか言って帰ってきたら仕事があるようにはしている)、イタリアに行っているゲーテ。自由。 音楽家たちとのつながりがあつい。 18世紀にしては長生き(現代でもまあまあ長生きかも)だったた

          41/1,000冊目 ゲーテ 『ゲーテ詩集』