幸せってなんだろう
そもそも「幸せ」ってなんでしょう?
お金だったり、家族と仲良く暮らすことだったり、自由で自立した生活だったり、愛し愛されることだったり…100人いれば100人違うことばが返ってくると思います。
でも、「あー、これで私もやっと幸せになった!」と思っても、また問題や不平不満がでてきて、「もっと幸せにならないと」という状態になることが多いのでは。
私は「幸せとは恒常的に心が平穏な状態」だと思います。
めちゃくちゃ難しいです。
いくらお金持ちでも、周りを信じることができなかったり、子どもだったら両親が忙しくて寂しい思いからほかの子への嫉妬にかられたり。その逆もあるでしょう。
外から見たら「理想の家族」でも、内情は子どもには本人の望まない形でもプレッシャーをかけ続け、実は夫婦喧嘩も絶えなかったり、子どもは常に親の顔色を伺いながら生活していたり。
あるいは会社でバリバリ仕事ができて、イケメン、優しい、周囲から羨ましがられ、女性からはモテモテでも、実はそのイメージに囚われて本来の自分をなかなか出せなずに、辛い思いを抱えてたり。
「あー、幸せだなあ」と感じる瞬間が、子どもと一緒に遊んでいるとき、趣味に没頭しているとき、ずっと行きたかった場所へ旅行できたとき、なんらかの「夢」が叶ったとき。あるいは、好きな音楽を聴く、友達と過ごす、好きな映画を見る、という場合もあるでしょう。
でもそういった一時的な幸せな時間は長続きしないので、それだけで精神的なゆとりや穏やかさを保ち続けるのは、ほぼ不可能です。
複雑な問題を解決するのは時間もかかるし、解決しないかもしれません。
家庭や仕事の問題は、自分ひとりでどうにかなるものではないので、
努力してもなかなか思うようにいかず、心の平穏は訪れない。
ではどうするのか。
1. 自分の感情を吐き出して受け止める
自分だけではどうしようもない問題にどっぷりハマらないこと。
どういうことかというと、何か一つ問題が起こって精神が乱されると、連鎖的にほかのこともうまくいかなくなることが多くなる、この連鎖を断ち切ることです。
ケースバイケースですが、「私はできる限りの努力をした」と思った時点で、
悩むのはやめる。でもこれってすごく難しいですよね。特に感情を揺り動かされるような問題の場合は。
そんなときは、一歩下がって自分を客観的に見つめるような感じで、自分の感情をそのままの形で受け入れてあげてください。なんだろう、自分の感情を吐き出して、自分が自分の親友になった気持ちで「それでいいんだよ」と受け入れてあげる感じ。
慣れないと、頭で思っているだけではなかなかスッキリしないので、紙にバーっととにかく思うことを書くこともオススメ。
ほかに連鎖しそうな、影響しそうな感情はそのたびに、こうやって吐き出して、受け止めて、自分の中で消化していく。
この繰り返しで、ある程度心の平穏を保つことができるようになります。
ネガティブ気分を打ち消すような幸せを感じることも心の安定に繋がります。
次の2つは、どんなときでも幸せな気分にすぐなれる、しかも幸せ気分がわりと長く継続する方法です。個人的な経験を交えてお話しますね。
2. Pay It Forward
困っている人に手を差し伸べましょう。見知らぬ人の笑顔は幸せな気分にさせてくれます。
見ず知らずの人へ声をかけるのって、けっこう勇気がいることです。「声をかけないと」と思っていても、悩んでいるうちにチャンスがなくなってしまったり、「ほかの人が声をかけてくれるだろう」と他力本願になってしまったり。
私も若いときは、「知らない人に声をかけるのは恥ずかしい」という思いが強くて、なかなか声をかけられずモヤモヤした気分になることが多かったのですが、いくつかのできごとをきっかけに、「助けが必要かな」と思う方には積極的に声をかけるようにしています。
実は昨日もそんなことがあって。毎日夕方5時以降に散歩をするようにしているのですが、その時間帯は年配者の散歩時間でもあるんですね。中には散歩ではなく、買い物帰りの方もいらっしゃいます。
昨日は片手に杖、片手を手すりに添えて階段を上っている年配のご婦人に遭遇しました。
一段一段楽に登っているのではなく、つま先の感覚を確かめながらゆっくり上る感じ。
そこで「大丈夫ですか?お手伝いしましょうか?」とお声がけしました。最初は「大丈夫よ」とおっしゃっていましたが、「ありがとう、やっぱりお願いするわ」と。
手をつないで一緒に上まで上りました。
最初に声をかけたとき、上り終わったときの笑顔!感謝されるために声をかけたわけではないですが、そんな笑顔を見てるとすごく幸せな気分になりました。
その気分は寝るまで持続して、普段ならイラッとする夫の行動にもそんなこともなく(笑)
手助けを必要とせず、断られることももちろんあります。それでも、みなさん「ありがとう、でも大丈夫よ」と満面の笑顔で応えてくれます。「自分に気づいてくれる人がいる」ということに気づいてもらえ、自分も笑顔が見れてうれしい。一石二鳥ですね。
私自身も過去に見知らぬ人に声をかけていただいて、本当に何度救われたか。
「声をかけていただいた側」としての、自分の例をいくつか。
・スキー場で
凍ってツルツルの斜面を登らないとリフトまで行けない場所があったときのことです。夫と息子たちはさっさと先に行ってしまい、スキー板を抱えてるのもあって私だけなかなか上がれず。近くにいた若い男性(学生さんかな?)が「手を貸しましょうか」と声をかけてくださり。上まで手を引いて一緒に上ってくれました。
彼にとっては困っている人を助けるのは自然で些細なことだったかもしれません。でも私にとっては、夫たちに見捨てられた悔しさと「早く追いつかなくては」という焦りとがあった中で、本当にありがたいことでした。
・魔の2歳児と新生児抱えて育児ノイローゼのとき
区役所に相談するほど精神的にボロボロでした。長男はどこでも寝転がってイヤイヤ泣き喚くし、次男はその声を怯えて泣くし。何度も道端で一緒に私も泣きました。
そんなとき、たくさんの、特に年配の女性に声をかけていただいたんですね。
息子には
「ママのいうこと聞かないとダメよ。ママがかわいそうでしょ」
とか
私には
「うちにも同じくらいの孫がいるけど、大変よね。もう少しの辛抱だから、がんばってね」
とか、いろいろと。そういう何気ない声がけで、頑張ろうという気にもなったし、イライラして子どもにあたる、ということもなくて済んだと思っています。
ある日、電車を待っていたときのこと。なかなか電車が来なくて退屈になったのか、叱っても何度も手を振り解いて走り回っていた息子。赤ちゃんが一緒だから強い力で引っ張られると、とっさに動けないこともあったり。これは口で叱っただけはダメだと、ついにホームの端に連れていき、お尻ペンペン!
かれこれ15年ほど前の話ですが、今なら速攻SNSにあげられて、バッシングの嵐でしょうね。虐待で通報する人もいるかもしれない。
でも、周りを気にしている余裕なんてありませんでした。もしホームから落ちたら?事故があったら?誰かに連れ去られたら?なんて考えたら、最悪の事態を避けることに必死でした。
そんなときに、一人の年配の女性が声をかけてくださり。
「見てて危ないと思っていたのよ。最近は叱らない子育てが流行っているみたいで、うちの娘も孫が何しても怒らない。あなたは怒れてえらいわね。
何かあって後悔しても遅いし。大変だと思うけど、応援してるわ。がんばってね。今日はいいものを見せてもらえたわ。ありがとう」
と。涙出ました。息子に怒鳴りたくもないし、ましてやお尻ぺんぺんもしたくなかった。罪悪感でいっぱいです。周囲が奇異の目で見る中、わざわざ声をかけて励ましてくださったご婦人に本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
子育て中って周りが思う以上に、精神的に辛いことが多いんですよ。
もちろん楽しいこと、嬉しいこともたくさんありますが、特に初めての子育ては親としても赤ちゃんみたいなもの。全てが初めての経験なので、とにかく余裕がありません。
ふたりめ以降は余裕が出てくるので、ちょっとしたことで心配したり、イライラしたりというのはなくなりますが。
最近は下手に声をかけると、疑われたり嫌がられたり、ということもあるようですが、それでも「このママ大変そうだな」と思うときには、できるだけ声をかけるようにしています。
私がちょっとした声がけで助けられたように、恩返しをしている気持ちで。これこそまさに「Pay It Forward」ですね。
・乗り継ぎ便に乗れず途方にくれていたとき
北京経由で子どもを連れて帰国したとき。中国国内のフライトが乱れに乱れていて、大混乱状態でした。いきなり「本日の乗り継ぎ便には乗れません」と。ホテルもいっぱい、カウンターは戦場、いろいろな人が横入りしまくるから、進まない。周りの外国人と話していたら、なんとその日で3日目だとか、次の10日間帰国便がないと言われた、とか、まあ想像以上に大変な状況だったんですね。
結局対応してもらえるまで7時間並んだんですが、そのころには子連れの人はいなかったんです。普通に並んでいたからだったのかもしれませんが、そもそも日本人は日系の航空会社で対応もきちんとしてもらっていましたし。
このときもたくさんの方に助けていただきました。
中国語ができる外国人のカップルが割り込んで
「子どもがいる人を先に対応してあげて」
と交渉してくださったり、
全く違う航空会社を使っているブラジルから方が
「私は今日はもう何もできないから。代わりに並んでおいてあげるから、少し休憩したら?」
と申し出て下さったり。
7時間たってやっと自分の番になったと思ったら、
「次の便はいつになるかわからない。明日また朝きてみて」と。
いやあ、もうこれにはキレて強気で交渉しましたが、らちが開かず。そのときに英語を話せる中国人の方が別の担当とうまく交渉してくださり、翌日の便を確定することができました。
この時はこのあとにも、いろいろ大変なできごとがいろいろあったのですが、自分の次のフライトやいつ帰国できるかもわからない中、見知らぬ私たちを助けようと動いてくださったり、声をかけてくださったことで、イライラマックス状態から落ち着けて、本当に今思い出しても感謝でいっぱいです。
……長々と自分の体験を書いてしまいましたが、このように見知らぬ人へ声がけしたり、手助けしてあげることは相手にとっても自分にとっても幸せな気分にさせてくれます。
迷ったら、まずひとこと声がけしてみましょう!
一度やると次からは自然にできるようになりますよ。
電車やバスで席を譲る行為もそうですね。
実は日本ほど年配者や妊婦・子連れに席を譲らない国はないと思います。
外国では優先席とか関係なく、誰もがさっと席を譲ります。
それは小さいときから、自分も自分の親もそうしてもらい、それをあたりまえとして見て育ってきているからでしょう。
通勤が長くて疲れているのはわかるのですが…
自分がそうすることで、ちょっとした幸せを与えることができる、自分も少しいい気分になる。譲られた人は逆の立場になったら、そうするようになって、そういう人が増えてくると、少しずつ社会の意識が変わっていくのではないかと思います。
見知らぬ人からのちょっとした助けは、自分の知人からの助け以上に嬉しい場合も多いですし、自分にとっても見知らぬ人の笑顔は一日中ハッピーな気分でいられるぐらいのパワーがあります。迷ったら声がけしてみましょう。
私のようにずーっと何年もその一瞬を覚えて、今度は自分が声をかけるという行動に出ている人もいるかもしれませんよ。
3. Gratitude Journalをつける
Gratitude Journalとは感謝の気持ちを感じるできごとを書くことです。
日本語では感謝日記?感謝ノート?ってなるんでしょうか。
毎日本当に些細なことでいいので、3つ以上「嬉しい」「幸せ」と感じたことを書いてみてください。書くときはできるだけ、そのときの状況や自分の幸せな気持ちを思い出しながら書くと効果的です。
脳は実際に起こったことと想像したことの区別ができません。脳内にできるだけ「幸せだ」と感じる状態を増やすことで、ネガティブ思考を繋ぐ線が切れてきます。悪い方悪い方と考える癖が減ってくる状態です。
そして無理に幸せを求めなくても自然と身の回りにある小さな幸せを感じとる、気づけるように変わってきます。
何でもいいんです。例えば、
どんなに小さなことでもいいので、自分が「幸せだな」「嬉しいな」と感じたことを書きましょう。気分が落ち込んだ日、嫌なことがあった日には、ぜひそれを読み返してみて、その時の気分を思い出してみてください。そういう「自分にとっては決していい一日ではなかった」と思う日でも、きっと一つや二つはちょっとした幸せを感じる瞬間があると思います。
とくにどん底の気分のときに効果があります。そういう時は、全てをネガティブに考えてしまいがちです。それこそ、普通の精神状態のときには気にならなかったことに対しても。
普段から「自分の生活の小さなことに喜びを見つける」というトレーニングをしていると、どん底の状態にあってもネガティブ感情で真っ黒、ということがなくなりますし、たとえそうなっても、少しずつ本来の自分を取り戻すことができるようになります。
私もこれまでの人生で仕事もできない、普通の生活もできないひどい鬱を2度経験していますが、その時にどうやって最悪の事態を避け、復帰できたのかというと、きっかけは「自分の周りの小さなことに気づいて感謝すること」でした。
その時になっていきなりやろうとしても無理ですから、普段から「小さなことに感謝する」ことを忘れず、気づく努力をしていきましょう。
「私ってこれもあれもなくて、こんな悪いことばかりで、なんて不幸!」
と思うよりも、
「私にはこれもあれもないけれど、幸せと感じることがこんなにもたくさんある!」
と思う方がはるかに健全です。
自分の身の回りにすでにある幸福に気づくことで、今まで知らなかった自分や周りの才能、いい面がたくさん見えてきます。
ないものねだりの嫉妬心もなくなります。そうなると、自然に自分の周りへいい影響を与えるようになり、抱えていた問題が解決していくこともあるでしょう。
「幸せ」って大きなテーマで、考えれば考えるほど難しいですが、
自分なりに心の平穏が保たれるようになると、どんな状況にあっても、
になります。「どんな状況でも」は少し語弊があるかもしれませんが、
辛い状況になっても、いくつかの幸せや感謝を感じる瞬間はあります。
辛い状況でない人にとっては通り過ぎてしまうような、些細なことかもしれません。
そんな時は
「こんなことでしか幸せを感じれられないなんて」
とネガティブにとらえず、
「前の自分なら気づけなかったけど、気づけた自分に感謝しよう」
と前向きな気持ちで。
「不幸を経験している人ほど強い」といわれますが、それは、
あたり前のことをあたり前として通り過ぎずに、感謝や喜びの気持ちがあって、普通のことや心の平穏が尊いものだと知っているからだと思います。
ぜひこの3つを続けて、心の状態の変化を感じてみてください。
P.S. 書きながら思い出しているだけで、自然と笑顔になり、胸がいっぱいになりました。嬉しいこと、感謝したいこと、幸せな気分になることは、その時の気持ちや情景を思い出すだけでも抜群の効果がありますよ。
<今日のジャーナルお題>
ジャーナリングは自分を見つめ、成長していく上で欠かせないもの。
モーニングページのように、ただただ頭に浮かんだことを書いていくのもいいですが、
習慣になるまで「面倒」「書くことがない」という人もいると思います。
毎回記事の最後は記事テーマに関連するジャーナルお題を載せています。
今日のお題は、
普段ジャーナリングをしない人も、数行やリスト的な感じでもいいので
ぜひ書いてみてくださいね。