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"歴史" 系 note まとめ

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#日記

柳田国男『明治大正史 世相篇』についてのメモ②―資料の匿名性について

 以下の記事で角川ソフィア文庫版の柳田国男『明治大正史 世相篇』を紹介したが、この本を読み進めている中で柳田国男の資料の匿名性についての考え方について考察したことがある。 柳田の匿名性に関しては、資料を提供した人物の名前を出さずに自分が蒐集した資料であるかのように引用することが批判されることがある。そして、柳田とセットで南方熊楠は資料を採集した人物や引用元を明記したことを評価する場合もある。この柳田の「資料の引用元の匿名性」とも言える考え方は何か理由があると以前から考えてい

女房が日記を記したのはいつからか? かな日記と『土佐日記』(小倉慈司)

※ このnoteは「REKIHAKU 特集:日記が開く歴史のトビラ」(2021年6月刊行)に掲載されたコラムの転載です。 かなを用いて日記を書くことは貫之の発明ではなかった 「かな日記」と言えば、古代では紀貫之『土佐日記』が有名である。「をとこ(男)もすなる日記といふものを、をむな(女)もしてみむ、とて、するなり」で始まる創作文学であり、土佐から帰任する国司に随従する女性の立場で記されているが、貫之が土佐守の任を終えて都に戻るのは九三四(承平四)年末から翌年にかけてのこと

【歴史の入口に!】歴史好きが紹介する中央アジアで活躍した女性たちのマンガ

今年ももうすぐ終わりですね。 今年最後の歴史の入口に!です。 12月に紹介するマンガは2つです。 たまたまどちらも中央アジアが舞台という共通点があったので、このタイトルにしました。 歴史の入口に!のタイトルが1番悩むんですよね。 できる限り共通点を入れたタイトルにしていますが、共通点を考えることを意識せずにマンガを読むので、あとで頭を抱えるという・・・ なぜ共通点を入れるかというと、つなげて読むとその共通点に対する理解が深まると考えているからです。 なかったときは苦肉

偽文書「椿井文書」がウソの史実を生み出した手口がとても興味深かった

大阪府枚方市に「王仁(ワニ)の墓」という史跡がある。 第15代天皇・応神天皇の時代に百済(かつて韓国の西側に存在した国)より渡来、「論語」を日本にもたらした王仁博士の墓石と言われていて、王仁公園(名称は王仁博士の墓があることに由来)の敷地内にある。王仁公園は大きな広場やプール(通称「ワニプール」)があり、北河内育ちの人であれば、おそらく1回は学校の行事などで行ったことがあるはずだ。 学校の先生からも「ココは王仁っていうエライ学者さんのお墓があるんやで〜」とか教えてもらった記

ただ歴史への愛を語りたい。

先日、かの超偉大なnoteアカウント、『みんなの世界史』さんのマガジンに僕のnoteを追加していただき、そのマガジンを見てみることにしました。 「"歴史"系noteまとめ」というもので、800本以上のnoteたちが集まっていて、まぁ面白い記事が多く、僕自身スキの持ち手を全消費させながら夢中で読み漁ってしまいました。 ということで! ちょっと僕自身の歴史への愛を語りつつ、今回は面白い記事の紹介と感想、というパートの比重を多めにやっていきたいと思います。 いやぁ、歴史って

アイヌ語?中国語?それとも… 「昆布」の名前は謎めいている

【1032むすび】伊勢屋(板橋)昆布《1059日目》 煮てもいいし、出汁を取ることができる。 和食の味わいの中心であり、まさに日本の味と言えるもの。 誰もが、当たり前のように知っているスーパー身近な存在。それが昆布だ。 ところがだ。 この昆布には解き明かされていない、大きな謎があるという。 それは名前。 昆布という名前がどこから来たのか、なぜその名前になってのかの由来が、いまだにハッキリしていないらしいのだ。 以前、昆布検定を合格したハスつかとして、この謎はめちゃく

歴史を学ぶなら民族もセットで学ぶと理解が深まる【徒然読書35】

最近歴史関連の本が増えている気がします。 特に現代につながるテーマですね。 国際紛争が起こるたびに、歴史を振り返ろう学ぼうという気運が巻き起こるのを否定はしないけれど、普段から教養として幅広い時代を知っておきたいなと感じます。 その中でも、民族に触れている本となるとわずかです… 歴史を語るには民族概念が必須であるにもかかわらず。 日本史専攻からすると「民族」を意識することは少ないけれど、刀伊の入寇や元寇、アイヌ、琉球を考えると民族に対する理解、世界史的視点が必要になっ

続編2:2022年ウクライナ情勢をより深く理解するための歴史文化背景雑学

当方はウクライナやスラブ研究者では無く、米国大学にてホスピタリテイ・観光経営分野で研究系博士教員をしている日本人学者・米国永住者です。ウクライナには縁があって旧ソ連崩壊後数年であった1995年から往訪しており、渡航回数は30回程度です。過去5年は年に数回のペースで渡航していました。 自分の研究領域専門分野ではありませんが、比較的現地情勢に詳しいので、約一か月前に掲題の雑学メモを書きました。現地に行かずに欧米メデイアを分析・評論するような日本語メデイア、或いは親ロシア派の自称

「お取り寄せ」つけめん!日本初は室町時代。体験記vol.53(厳選お取り寄せTOP100)

新しい生活様式が提唱され、三密を避けた新生活がスタートしています。そんな新生活の中で、今まで携わらなかった家事に携わる経験を積み日々の大変さを実感しました。そんな経験から週に一度は、私自身がおもてなしをすることで、家族や友人・愛する人を楽しませたいと考えるようになりました。 男(45歳)のプライドと品格を維持しながら家族や友人・愛する人が楽しく、喜んでもらえるおもてなしを実現するために、一流のプロが持つ技・味・盛り付け(名店レストランのお取り寄せ)の力を借りながら、学び、修業

成功するアンティークコイン投資・国の知識を深めよう!「スペイン編①」

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。 今回はスペインのコインと歴史を見ていきましょう。大航海時代以外では世界史の表舞台にあまり登場しないので、どんな歴史を持つ国なのか、意外とご存じない方が多いのではないでしょうか? この記事では、スペインの歴史を軸に、重要な出来事を象徴するコインを紹介していきます。アンティークコインのコレクターや投資家の方は、スペインのコインについての知識も深めていただければと思います。 スペイン王国の誕生まで現在のスペインのあ

あらゆる学問の入門書として。『世界でいちばんやさしい 教養の教科書』

一般教養というと、大学時代の最初の頃に受けた講義を思い出します。授業を受けて単位を取った記憶はありますが、そのほとんどの知識は忘れてしまっているのではないでしょうか? そこで教養科目を総ざらいできる本を紹介したいと思います。 その名も『世界でいちばんやさしい教養の教科書』。雑学系の本は数多ありますが、この本は図や絵を多用しており、わかりやすいです。さっそく中を見ていきましょう。 まずは基礎の基礎から。世界史を4つの時代に分け、それぞれ3コマで説明しています。このページで、

「幻実から生み出される多彩な才能」レオナルド・ダ・ヴィンチ

こんにちは、長谷川と申します! 世界ストーリー図鑑の第2段は、レオナルド・ダヴィンチさんを分析していきます! 世界ストーリー 図鑑については下記をご参考ください。 万能の才能に彩られたレオナルド・ダ・ヴィンチ。その裏には意外な人間味があった!? レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日 - 1519年5月2日(ユリウス暦))は、イタリアのルネサンス期を代表する芸術家。。引用wiki pedia モナリザや最後の晩餐、岩窟の聖母などの美術作品をはじめ、ウィトルウィウス

パリで警察と「イエローベスト」デモとが衝突する真っ只中にいた

パリで土曜日に行われたイエローベストのデモと警察との衝突はかなり暴力化し、逮捕者200人超、6万人もの警察と国家憲兵隊が出動したと言われている。自分はその真っ只中にいた。 最近の動向と同じく穏健な形で終わるかと思って見に行ったのだが、キリスト教のイースターに重なったこと、また大火災に遭ったノートルダムへの大富豪らによる高額寄付に対する怒りが高まっていたこともあり、今回のデモは再び激しさを増した。 警察側の暴力性はかなりのものだった。 催涙ガスを散布するだけでなく、スタン

日清講和条約が結ばれた場所「春帆楼」に泊まってきた

日清戦争で日本が清に勝利したのは、歴史の教科書にも載っている通りです。この戦争の講和条約が結ばれた場所が、下関市にある春帆楼という料亭になります(現在は下関春帆楼本店)。ここで、日本側全権伊藤博文・陸奥宗光と、清国側全権李鴻章らが条約に調印しました。 実はこの下関の春帆楼、泊まることができるんです。 実際に泊まった時に写真を何点か撮ってきたので、以下で紹介します。 外観はこんな感じです。 本店の敷地内には、日清講和記念館もあります。上の写真のように、講和会議場が再現さ