美学に殉じた巨人。CS最終ステージ最終戦。最後はエース菅野投手。その意気や良し。ただ、その前に守護神を使ってほしかった。あのチームのようなサプライズを見たかった
美学に殉じた巨人だったと思う。その意気や良し。クライマックスシリーズ(CS)最終ステージ最終戦。最後はエースの菅野智之投手をマウンドに送った。その采配は間違っていない。ただ、その前に守護神の大勢投手を起用してほしかった。クローザーを使うことなく最終戦で敗れ日本シリーズ進出を逃した。あのチームのようなサプライズを見たかった。
21日に東京ドームで行われたCS最終ステージ第6戦。日本シリーズ進出をかけたラストゲーム。巨人もDeNAも互いに譲らず2-2のまま八回表を迎えた。
ここで巨人ベンチが動いた。6番手のピッチャーとしてエースの菅野投手をマウンドに送り込んだ。スタンドからは大歓声。4日前の第2戦に先発し7回83球を投げていた。
最後はエースと心中する覚悟。阿部慎之助監督の采配は間違っていないと思う。事実、八回のマウンドを、菅野投手は三者凡退に抑えた。
九回も菅野投手が続投。最後はエースに託したのだから、このイニングも菅野投手がマウンドに上がるのは当然だ。結果的には、この回2死三塁から適時打を許して、この1点が相手の勝利につながった。
結果論を語りたくない。最後は菅野投手に任せる。その意気や良し。ただ、その前にやってほしかったことがある。大勢投手を起用することだった。
今季29セーブを挙げた大勢投手。防御率0.88は圧巻の数字だ。セーブ数1位、2位の投手よりも防御率は良い。ならば八回のマウンドに投入してほしかった。
あのチームを思い出す。今季パリーグ2位の大躍進を遂げた日本ハムだ。CSファーストステージ最終戦で、新庄剛志監督はクローザーの田中正義投手を五回途中で起用した。まさにサプライズ。そして田中投手が好投して、流れは日本ハムに。このステージを制した。
巨人も八回のマウンドに大勢投手を送っていれば、相手チームやスタジアムの大観衆をあっと言わせただろう。クローザーを九回以降でなく、早めに投入する。サプライズを引き起こすことで、巨人がリズムをつかめただろう。
確かに大勢投手は第3戦から3試合連続登板していたので、疲労は蓄積していたかもしれない。ただ本人は最終戦に登板することを熱望しており、阿部監督も起用するつもりでいた。
それならば、八回に大勢投手、そしてラストは菅野投手を決着がつくまで投げさせてほしかった。
最終戦で守護神の登板はなし。防御率0点台の右腕を使わなかったのは「宝の持ち腐れ」となってしまった。
もしも大勢投手を八回に起用していたら。たらればの話をしても仕方ない。それでも4試合連続でも投げるという守護神の意気込みを無にしてほしくなかった。
菅野投手と心中する覚悟はたたえたい。それでも守護神の熱い思いも大事にしたかった。
守護神を最終戦で使わずに敗者となった巨人。残念だがセリーグ王者が最後まで食らいついた意地をたたえたい。来季は「最後は大勢で」と言われるように、守護神のさらなる活躍を応援したい。