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「花咲く和紙」制作現場より

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第3回 2人なら可能性は広がる

第3回 2人なら可能性は広がる

これはシードペーパーを扱うSOUPと、以前から友人であった福祉業界35年のベテラン、武蔵原くんとの協働と、それにまつわるストーリーの最終回です。

お互いが夢や希望を胸にスタートし、少しのつまづきがあっても、今また着実に前に進んでいく、そんな前向きな気持ちにあふれています。

紙を破くことが精神を落ち着かせ、仕事にもつながる

福祉作業所「あい・わーくす」では、花咲く和紙の印刷、型抜き、セット作業

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第2回 障がい者の特性がSOUPの仕事に生きる

第2回 障がい者の特性がSOUPの仕事に生きる

福祉作業所「あい・わーくす」を営む中学の同級生、武蔵原くんとSOUPの代表である私は、お互いの仕事の幅を広げていこうとタッグを組み、打ち合わせを重ねました。

とはいえ、私たちは最初からうまくいったわけではありません。

やるべきことはお互いはっきりしていましたが、印刷作業が思うようにいかず、行き詰まったこともありました。シードペーパーはタネが入っているので厚みや凹凸があり、最初に導入した印刷機で

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第1回 福祉業界35年のベテランとタッグ。「あい・わーくす」 x SOUP

第1回 福祉業界35年のベテランとタッグ。「あい・わーくす」 x SOUP

山梨県の和紙の里で山十製紙を営む笠井さん、相模原の福祉作業所「ビーネックスウィズ」に並び、シードペーパーの国産化にもうひとり欠かせなかった存在が、長野県松本市に福祉事業所「あい・わーくす」を構える武蔵原望(むさしばらのぞむ)さんです。彼はこの企画のアイディア段階から関わってくれました。

きっかけは松本での再会から

武蔵原くんは、私の地元、愛知県の同級生。私は20代に地元を離れ、彼も早くに安曇野

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第2回 花咲く和紙を共につくる障がい者雇用の会社「ビーネックス ウィズ」

第2回 花咲く和紙を共につくる障がい者雇用の会社「ビーネックス ウィズ」

第1回目でお話しましたが、日本産のシードペーパー「花咲く和紙」をつくるにあたり、2022年から協働している会社のひとつに神奈川県の「株式会社ビーネックスウィズ」があります。母体は15の会社を持つホールディングカンパニーで、「ビーネックスウィズ」はグループ内の特例子会社として、障がいのあるかたを一手に雇用し、グループ内各社から回収されたコピー損紙などを使って再生紙をつくっています。さらにステーショナ

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花咲く和紙を共につくる神奈川県の                 障がい者雇用の会社「ビーネックスウィズ」

花咲く和紙を共につくる神奈川県の 障がい者雇用の会社「ビーネックスウィズ」

タネが漉き込まれたシードペーパーを、日本でつくりたい、そう思いはじめてから数年、2022年にようやく念願の「花咲く和紙」を発売するに至りました。以前から山梨県身延町の有限会社山十製紙との協業は始まっていましたが、その一方で、神奈川県相模原市の「ビーネックスウィズ」との出会いもありました。仕事でおつきあいのある紙の商社のかたが繋いでくださったのです。2021年に初めて顔を合わせ、その後、数回の話し合

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新商品「花咲く和紙クラフト」って?

新商品「花咲く和紙クラフト」って?

日本製のシードペーパー「花咲く和紙」に、新シリーズ「花咲く和紙クラフト」が誕生しました。この商品は封筒メーカーである株式会社イムラ封筒とSOUPの古紙循環プロジェクトによって生まれたものです。イムラ封筒とは1950年(大正7年)に創業し、国内シェアトップの老舗封筒メーカー。封筒の製作時に出る紙の切れ端を再利用したいとの思いから、SOUPとのコラボが実現しました。

古紙循環プロジェクトとは、企業参

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「花咲く和紙」の開発 その4 カモミール編

「花咲く和紙」の開発 その4 カモミール編


花咲く和紙のタネはカモミール。

まだまだ発展途上ですが、試行錯誤の末にこの春、商品化となった「花咲く和紙」。まず最初に漉き込んだのは、ジャーマンカモミールのタネ。白い花びらの真ん中が、こんもり黄色く盛り上がった可憐なハーブです。

カモミールを選んだ理由はいろいろありますが、まずはタネが小さいので、紙にしたときに表面がなめらかになり、和紙という名称が似合う風合いになるからです。また発芽率が高く

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「花咲く和紙」その3 開発までの試行錯誤

「花咲く和紙」その3 開発までの試行錯誤

今年の春からスタートした、国産のシードペーパー「花咲く和紙」。おかげさまで、最近はお問い合わせが増え、1ヶ月先までのご予約が埋まっています。まだまだ課題は多くありますが、新商品としてとても嬉しいスタートになりました。

さまざまなご縁が繋いだ紙

2年前、コロナ禍でスタートした花咲く和紙の開発ですが、そもそも、アメリカのシードペーパーを手本に、10年前から「日本でも日本の紙ゴミで作りたい、きっとで

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「花咲く和紙」の開発 その2

「花咲く和紙」の開発 その2

紙ゴミを持ち込んでシードペーパーづくりにトライ

今年2月、発売となったシードペーパー「花咲く和紙」ですが、少し遡って開発の経緯を書き留めておこうと思います。

まず、私たちは花咲く和紙の原料として、自前で古紙を集めました。使用済みのチラシ、パンフレット、コピー用紙などです。

ありがたいことに、鎌倉の女子起業仲間たちの協力で、1週間で車のトランクがいっぱいになるほど集まりました。その後、せっせと

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自粛期間を経て動き出したこと・・

自粛期間を経て動き出したこと・・

長らくNoteを書けない日々が続き、ようやくトンネルから抜けたようです。

2020年の春「安曇野プロジェクト」としてスタートしたシードペーパーの国産化プロジェクト。そろそろ第一フェーズが終わりそうです。

この間、コロナ禍とちょうど時期が重なり、安曇野工場は長野県下の福祉施設でもあるため、県外からの往来が禁止されました。本来、同じ場所に、目の前にいれば、直接会話し理解しあえただろうことが、電話や

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2021春、いよいよ第二フェーズの始まり

2021春、いよいよ第二フェーズの始まり

昨年から今年にかけて納品したシードペーパーを数種、土に埋めて育て始めました。2月は暖かかったので、夜は室内にいれましたが、日中は外に出してたっぷり水をやります。鎌倉オフィスには屋外がないので、田舎でのびのびと外に出して日光に当てています。

シードペーパーづくりに向けて昨年はいろいろなことがありました。コロナ禍で海外からの紙の輸送も国内加工の安曇野工場もトライアンドエラーの足踏み状態。シードペーパ

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シードペーパー安曇野工場稼働!

シードペーパー安曇野工場稼働!

7月が駆け足で過ぎ、気がついたら8月です。

この間、2回ほど松本・安曇野に通い、幸運なことに、続けて2、3の仕事を受注し、いよいよ安曇野工場稼働しました。

鎌倉+安曇野体制でいよいよ大きな船が出発です。

玄関前には入り口看板も作りましたよ。このマークは、今後シードペーパーのロゴにもなります。

看板を掲げると気持ちが引き締まります。最近は、出荷や配送も多いので、宅配のドライバーさんにも認知度

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この窓から見える空

この窓から見える空

シードペーパー安曇野工場に向かう景色です。山あいの田んぼの道をどんどん進むと、小さな村が現れ、その村の入り口に工場があります。

ひと目惚れしました。

施設の窓から見えるのは、空と山と田んぼの緑。
ビルや高速道路など、視線を遮るものが全くない空です。もともと海も山もディープな方が好きなのです。

この居心地のよさは、なんだろう。

自然が好きなこと
故郷の田舎の風景に通じること

きっとそれだけ

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安曇野プロジェクトはじめます

安曇野プロジェクトはじめます

「シードペーパーを日本でつくりたい」という長年の思いが形になるかもしれません。

カードやDMなどを印刷し、
使った後は、土に埋めれば発芽して花が育つ、、、

そのコンセプトのすばらしさに魅せられ、開発元にコンタクトしたのが2008年。その後、シードペーパーを10年以上、日本で扱ってきました。「エコ」という言葉がビジネスでも使われ始めた当時、紙から発芽するインパクトが受けて、何百〜何千社という多く

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