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読書会感想文

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読書会に提出した読書感想文です。
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記事一覧

マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険 22章まで』読書会(2025.1.24)

マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険 22章まで』読書会(2025.1.24)

2025.1.26に行ったマーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険 22章まで』読書会の模様です。

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私も書きました。

イーロン・マスクa.k.a.樽 ナラティブ マスター

ナラティブ(narrative)とは物語そのものをさすが、語り口や話術も含まれている。例えば、大河ドラマの冒頭のナレーションや、プロレスの実況解説もナラティブである。視聴者

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ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』読書会(2025.1.10)

ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』読書会(2025.1.10)

2025.1.10に行ったジャン・コクトー『恐るべき子供たち』の読書会の模様です。

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私も書きました。

神的暴力としてのダルジュロス
遊戯をする(jouer)  『子供たちが潜りこむ半意識の状態をそう呼んでいるのだった。遊戯のなかでは彼が主人になる。時間と空間を自由にあやつるのだ。夢想を紡ぎはじめ、それを現実と組みあわせ、光と闇のはざまを生き、授業の最中

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E・ケストナー『飛ぶ教室』読書会(2024.12.20)

E・ケストナー『飛ぶ教室』読書会(2024.12.20)

2024.12.20に行ったE・ケストナー『飛ぶ教室』読書会のもようです。

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解説しました。

私も感想文を書きました。

こころ~と、こころが~、いまはもう・か・よ・わ・な・い

私の卒業した高校も、旧制高校のようなバンカラの気風が残っており、入学後の二週間、放課後一時間、応援団の指導のもと、応援練習をさせられた。目の前に短ランボンタンの応援団が来て、

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安部公房『箱男』読書会(2024.12.6)

安部公房『箱男』読書会(2024.12.6)

2024.12.6に行った安部公房『箱男』読書会のもようです。

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解説しました。

私も感想文を書きました。

箱男=√2 (Q.E.D.)

『箱男』は「数理の世界」を物語に持ち込んでいる。「数理」とは、「数字の持つ法則性」のことである。

ピタゴラスの定理(三平方の定理)は、「数理の世界」が現実の背後にあることを教えてくれる。直角二等辺三角形の二等辺が1mだ

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ドストエフスキー『虐げられた人びと』読書会(2024.11.22)

ドストエフスキー『虐げられた人びと』読書会(2024.11.22)

2024.11.22に行ったドストエフスキー『虐げられた人びと』読書会の模様です。

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解説しました。



私も感想を書きました。

根源悪の噴出

(引用はじめ)

許しの反対物どころか、むしろ許しの代替物となっているのが罰である。許しと罰は、干渉がなければ際限なく続く何かを終わらせようとする点で共通しているからである。人間は、自分の罰することので

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梶井基次郎『闇の絵巻』読書会(2024.11.1)

梶井基次郎『闇の絵巻』読書会(2024.11.1)

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青空文庫 梶井基次郎『闇の絵巻』



朗読しました。



ウィキペディア 梶井基次郎『闇の絵巻』


私も書きました。

梶井基次郎の彫琢したもの
この間、松本清張原作の『天城越え』という映画をTVで見た。家出した中学生と遊女を演じる田中裕子が一緒に天城越えをする話である。思春期の家出少年のセックスに対する好奇心と嫌悪が作品の主題であった。『伊豆

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山本周五郎『赤ひげ診療譚』読書会(2024.10.18)

山本周五郎『赤ひげ診療譚』読書会(2024.10.18)

2024.10.18に行った山本周五郎『赤ひげ診療譚』読書会の模様です。

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私も書きました。

無知と貧困 許しと救済私は恥ずかしながらある国立大の医学部を受験して落ちたことがある。医者は社会的ステータスが高く収入もいいのでなんとなく受けたのである。こういう不純な動機で、高校生の私は、なんとなく医学部を受けたのであるが、医者という職業に就くだけの使命感がある

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レイ・ブラッドベリ『華氏451度』読書会(2024.10.4)

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』読書会(2024.10.4)

2024.10.4レイ・ブラッドベリ『華氏451度』読書会の模様です、

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解説しました。

私も描きました。

しらたき451度
一人称小説に傑作なしというのが私の持論だが、『華氏451度』は、展開上やはり無理があるというか、いたるところで停滞しているのである。

第三部の主人公が警察に追われるくだりなんかは、馬鹿馬鹿しくて、たとえば、ミヒャエル・エ

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マーク・トゥエイン『トム・ソーヤーの冒険』読書会 (2024.9.20)

マーク・トゥエイン『トム・ソーヤーの冒険』読書会 (2024.9.20)

2024.9.20に行ったマーク・トゥエイン『トム・ソーヤーの冒険』読書会のもようです。

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私も書きました。

ザ・アメリカ文化のヒューマニズム

小学生の頃、世界名作劇場でアニメ版の『トム・ソーヤーの冒険』を見た記憶があり、インジャン・ジョーという殺人鬼をめぐるサスペンスのような内容がメインだったのはうっすら覚えていた。

今回初めて原作をしっかり読んでみる

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メルヴィル『書記バートルビー』読書会(2024.9.6)

メルヴィル『書記バートルビー』読書会(2024.9.6)

2024.9.6に行ったメルヴィル『書記バートルビー』読書会のもようです。

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柳家小三治 駐車場物語

バートルビーの映像化

私も書きました。

バートルビー 現代の悪の前兆としての人間の生

バートルビーがいたのは、仕切りの中であった。目の前にある窓からは、隣のビルの壁しか見えない。この閉塞状況の中にしか彼という人間の居場所はなかった。

彼の

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トーマス・マン『ヴェニスに死す』読書会 (2024.8.23)

トーマス・マン『ヴェニスに死す』読書会 (2024.8.23)

2024.8.23に行ったトーマス・マン『ヴェニスに死す』読書会の模様です。

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映画版のダイジェスト

オペラ版

私も書きました。

長編小説など書いたとて、イデアに迫れるのか問題

映画版で見ると、ヴェニスへの船上で、いやらしくめかした年寄りの道化的人物が、アッシェンバッハ声をかけるシーン(岩波文庫ではP.41~42「 かわいいお方にーー世にもな

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大江健三郎『ヒロシマ・ノート』読書会(2024.8.2)

大江健三郎『ヒロシマ・ノート』読書会(2024.8.2)

2024.8.2に行った大江健三郎『ヒロシマ・ノート』読書会のもようです。

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私も書きました。

人類の精神的荒廃

毎年、8月の読書会の課題図書には、戦争や原爆投下に関する作品を選んでいるので、ここ数年、戦争の記憶というものに関してメディアがどう扱っているか定点観測している。

NHKBSでは一年中、それなりの数の戦争に関する特番やド

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ラディゲ『肉体の悪魔』読書会(2024.7.19)

ラディゲ『肉体の悪魔』読書会(2024.7.19)

2024.7.19に行ったラディゲ『肉体の悪魔』読書会のもようです。

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私も書きました。

『肉体の悪魔』の本歌取りとしての『金閣寺』

三島由紀夫は『ライバルはラディゲだ』と宣うほどにラディゲに心酔していた。

『肉体の悪魔』の冒頭、気のふれた女中が奉公先の屋敷の屋根に登ったまま、降りてこないというエピソードがある。最後に、狂女は屋根から落ちてガラス張りの

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ヴェルコール『海の沈黙』読書会 (2024.7.5)

ヴェルコール『海の沈黙』読書会 (2024.7.5)

2024.7.5に行ったヴェルコール『海の沈黙』読書会の模様です。

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2004年版の映画です。

ジャン=ピエール・メルヴィル監督版(一部)

アメリカ文化に溶け込んだ大和魂

こういうタイトルで感想文を書くと憂国の士を気取る薄っぺらいネット上の保守みたいである。

二回読んで思ったのは、安岡章太郎の『ガラスの靴』という短編のことだった。戦後米軍中佐に接収され

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