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#掌編
君との「今」を切り取る(小説)
あと一週間で桜は東京に行く。季節は冬が終わり、春がはじまったばかり。服の隙間から入る風が、心なしか温かく感じる頃だ。
先々週まで僕と桜が高校三年生だった。
四月になれば僕は地元の地方大学に通い、桜は東京の専門学校に進むことになった。彼女はそこで美容師の資格をとるらしい。
「あー」
そう僕が言うと、桜は読んでいた文庫本を閉じて。
「どうしたの、そんなに気が抜けて……」といぶかしげに
あと一週間で桜は東京に行く。季節は冬が終わり、春がはじまったばかり。服の隙間から入る風が、心なしか温かく感じる頃だ。
先々週まで僕と桜が高校三年生だった。
四月になれば僕は地元の地方大学に通い、桜は東京の専門学校に進むことになった。彼女はそこで美容師の資格をとるらしい。
「あー」
そう僕が言うと、桜は読んでいた文庫本を閉じて。
「どうしたの、そんなに気が抜けて……」といぶかしげに