見出し画像

身体性認知について考える【読書のキロク】

こんばんは、"もっちゃん"です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

だんだん、教職大学院における研究の内容も焦点化されてきて、少しずつ書籍を読むばかりでなく、時間を各論文に割くことが多くなりました。

ちびちびと読書も継続してはいますが、どんどん積読が増えるばかりです。
もうすぐ1メートルに達するのではないでしょうか。(言い過ぎか?)

そんな中、やっとこ読み終えた本のキロクです。

◯今回読んだ本:『身体と魂の思想史 「大きな理性」の行方』 著者:田中彰吾 講談社選書メチエ

書店でタイトル買いしたものになります。
ずっと読もう読もうと思っていたのですが、なかなか手がつけられず今になってしまいました。

◯概要

ニーチェは、19世紀の終わりに「身体はひとつの大きな理性だ」という印象的な表現を残している。近代的な理性による啓蒙が重視された時代背景と対照させて考えるなら、ニーチェは啓蒙主義的な理性を「小さな理性」、それに対抗して到来すべき身体を「大きな理性」ととらえていたと思われる。小さな理性を重視する合理的主体ではなく、生命のはたらきを内蔵する「大いなる理性」としての身体こそ、来るべき20世紀を生きる主体だと見ていたに違いない。
ニーチェに呼応するかのように、フロイトやライヒの「症状」あるいは「性」への着眼から、メルロ=ポンティが示した「受肉した意識」としての身体、さらに認知科学の展開へと、身体の意味が探求されてゆく。20世紀終盤には身体性認知科学が興隆、身体と環境の「あいだ」に拡がる心を見出し、いっぽう脳神経科学は拡張身体の可能性を探ることになる。
本書では、まず(1)フロイトと精神分析の思想、(2)精神分析から派生したライヒの生命思想、(3)サルトルの実存主義における精神と身体をめぐる議論を紹介する。続く20世紀半ばから現在にかけて展開する身体の思想としては、(4)メルロ=ポンティによる身体論と身体性認知科学を取り上げ、その展開として、(5)現代における身体イメージとその病理をめぐる議論、(6)脳神経科学と技術を通じて見えてくる「拡張身体」の姿を見定め、合わせて心の科学に関連する広範囲の文化現象を通じて、人びとの身体と心がどのような未来に向かいつつあるのかを考察するものである。

上記ホームページより内容紹介を転載

哲学的な系譜から、認知科学に至るまでの流れ、そして脳神経科学も含めた広がりまで書いています。

◯雑感

正直、けっこう難しかったところもあり、自分の理解が至っていないところが多々あります。

ですが、思想史というだけあって、その現在に至るまでの考え方の流れは丁寧に書かれており、なんとなくわかったように思います。

ただ、まだ半わかりの状態な部分も多く、下手げに公開する記事は書けないので、少し薄っぺらい記事になってしまいます。

◯身体性認知という視点

自分が興味のあるところだけでも。

本書の中で「身体性認知」という言葉が出てきます。

本書に出てきた表現で、一番簡単に言うと、
認知が主体の身体性に依存する
ということです。

シンプルな例で言えば、
ヒトとウマでは、顔の形状など身体構造が大きく異なる。
そしたら認知できる世界のあり方も大きく異なる
ということです。
(この例も本書にありました)

同じヒトの中でも、個に関してはひとりひとり異なるものです。

それぞれが認知できる世界は異なり、それは身体に依存している
ということかと思います。

それはそうかな!と私は思います。
本書では、それが拡大された4E認知というものにも触れていたりします。

ここまではまぁなんとなくわかっていますが、そこから「心」について検討しているのが面白いと思いました。

◯身体と環境の「あいだ」に拡がる心

上記を踏まえて考えると、
心を身体と環境の「あいだ」に拡がるものとしてとらえる
ということにつながってくるようです。

以前、認知科学における「プロジェクション」という捉え方を記事にしました。

この考え方につながってくるものと思います。

また以前、デューイについても記事に書いたことがあります。

なんか、みんな行き着くところはここなのだろうか…。

「あいだにある」という考えは、とてもしっくりくるものだと思います。

これから研究を進めていくにあたっても、大切にしておきたい視点だと思います。

ちなみに、本書においては、そのもう少し先の考え方まで書かれています。

ただ、私はまだそこまで至ることができていない、という感じです。

◯たくさん参照したい本

本書では、今回取り上げた「身体性認知」も含めた、身体と精神ということへの思想を、

その流れがわかるように書かれています。

少し難しいところではありますが、現在主流の考え方のベースを探る際にはとても助かる本だと思います。

私も今後また読み返しながら、自分の中で解釈を深めていきたいと思います。


そんなことを考えた1冊でした!

読みやすい本ばかり最近は手を出していたように思います。

がっちり考えを深められるよう、しっかり読み込んでいきたいです。

自己紹介はこちらから。

いいなと思ったら応援しよう!