谷崎潤一郎のススメ
私の谷崎潤一郎との出会いは痴人の愛。しおらしい女性を妻にしたつもりが、次第に支配されていき、それを甘んじて受け入れる夫、という夫婦生活を描いた作品です。
純文学について学問的には何も知らないし、谷崎潤一郎についてもまだまだニワカなのですが、私なりに魅力をお伝えしたいなと思います。
人間味
谷崎潤一郎の作品を読んでて一番楽しいポイントは『人間味』です。物語の中心の人物に真っ当な人間が描かれることはほぼ無く、妙な性癖を持っている奥ゆかしい人々にスポットが当てられます。
直接的な官能表現があるわけではない(村上春樹のそういう表現が苦手な私…)、というか性的な性癖ではない。微かにフェチだったりSやMだったり、はたまた猫を愛しすぎたり、、、
細雪については性癖描写はないものの、四姉妹についての女性描写がきめ細かく描かれています。こいさん(一番下の妹)は少しやんちゃ。
昭和初期の暮らしと文化
昭和初期の中〜上級家庭を描くことが多く、戦前の若干華やかな日常が描かれています。例えば細雪の舞台は兵庫県芦屋。めちゃくちゃ金持ちというわけではなく、財産はちょっとあったり稼ぎがちょっとあったり、程度の良い塩梅で、その中で文化を楽しんだり衣服、食、住環境などが描写されているのは読んでてとても楽しいポイントです。
谷崎潤一郎作品以外でも、この辺りの時代感を感じ取れる小説ないかな〜と思っています。同時代に書かれた小説でも、なかなかここまで綿密に暮らしを描写していないので。
図書館や青空文庫で読める
ちょっと何か読みたいなってときに、手軽に読めるありがたさ。図書館へ行けば必ず置いてある有名作家であり、没後50年を超えているので(最近70年になりましたが…)青空文庫でも読める。活字欠乏症になったときにスッと手に取れるため、読書が捗ります。
今後もぽつりぽつりと谷崎潤一郎の作品を読んでいくと思います。
今までに読んだ作品一覧
細雪
刺青
痴人の愛
猫と庄造と二人のをんな
蓼喰う虫
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