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思いつくまま、気の向くまま
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#散文

英雄譚は終わらない

鉄パイプ握った ヒーロ気取って 

ためらわず振り下ろした ぬるついた手応え

崩れ落ちる体 皆揃って手を叩いた

楽しい見世物だ 

囲まれてた線の内側 ステージ

主役は僕か君か?

戸惑ったように響いた声はかき消された

こぼれて落ちる嗚咽

脳みそは真実を囁く

「次は僕の番だ、報いを受けろよ」

わかってるさ ヒーロー

被害者ヅラなんて 許されやしない

突き立てた 言之葉 ヒーローを

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ウェザーウェデイング

「愛してほしい そうでなければ死んでしまう」
 そういって泣いていた 君は薔薇 僕の薔薇 
 この世にありふれた百万の壱輪
 僕にとっては ただ一輪の花

 僕を食べたいなら食べてくれ 
 齧り取られたって かまわないから

 愛を信じられない 僕のために
 どうか愛を注がせて
 笑っておくれよ 

 誰も来ない教会は 天国の隅に立ってる
 たどり着いたんだ、絶望の果てを越えて
 ここはアウターヘ

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謝罪

あなた あなたはどこにいるのでしょう
わたしはあなたをさがしています
かぜになってさがしています
きたかぜとなってそらをめぐります
はるかぜとなってよるをめぐります

あなた あなたはどこにいるのでしょう
もみじのはがちりました
みずうみはぎんいろにひかります
わたしはあなたをさがしています
うたをくちずさみながらさがしています
かなしみをうたいながらめぐります
よろこびをうたいながらめぐります

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NEEDLESS

愛されて生まれてこない子なんていませんよ

騙されたかった 騙されたことをなじってみたかった 

信じられないまま、気が付けば20も過ぎてた 

風に揺すぶった 身体が からからと音を立てた 

しなび切った僕が 抜け殻の中で音を立ててた  

流れてくる製品を組み立てながら 眠い目こすってた 

やさぐれきったイマジナリーフレンドが問いかけた 

「おまえってこんなもんかよ」 

そうだよ。 

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ダフネに捧ぐ

「悪いのはアイツです」
なすりつけられるのはお手の物
汚濁を塗りたくられるのも慣れっこだ
踏み台にするのは当然
踏みつけにするのは必然
どうもどうも
吊るされる側からしてみりゃ やってらんねぇ

こぼれる嗚咽 いつのまにかため息
やってらんないんだ 八つ当たりと知ってなじった
周りからどんどん離れてく 大事な人から ほつれてくみたいに
当然 必然 しょうがない レッテルばっか増えてくんだ
潰れた心

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SURVIVOR

 酔っ払ったように生きてる 真夜中の24時

 まるきり狂っちまった身体リズム 心ははね飛んだまま

 帰ってこねえよ 家出どころか自立したかもわかんねぇなぁ

 正気なんて見当たらねぇのさ 見当たったら死んじまうから

 「なんで生きてるんだよ」

 自分が呪ってる 鏡の向こう 自己嫌悪の具現

 奴さん、そろそろ他人を代理に立てるのにも飽きたらしいなって

 せせら笑うつもりが 嗚咽をこぼすの

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Snap out of it.

 

 さびしさにめをさます

 こたつのなかからはいだして 

 テレビをつける ひとりぼっちの居間

 夕方のニュースがやっている 

 煩雑な今日をまとめている

 

 アイドルの結成、外国のテロ、政治家の当選

 代り映えのしない禍福 移り変わる日常

 世界は動いてる 冷蔵庫みたいな振動で

 不幸は降り積もっている 壁一枚隔てた向こうで

 

 もうまずい 地獄の歯車がきしんでる

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ゆめをみた

 おだやかなよるのなか

 はちみつみたいにゆるやかなひととき

 まどべでひっそり

 ほしをみた

 ちいさくちらばる、とぼしいあかりを

 そしたらふと、こわくなった

 よるのしずかさが

 たえられないぐらい こわくなった

なんだかとても、さみしくって

 こわくなって、さびしくなった

 そうだ、ふとんにもぐりこんでしまおう

 ふわふわのゆめのなかにとけてしまおう

 ただゆらゆら

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芽吹かない花

 

 青い目が欲しい そう言って笑った三つ編みのレディ

 やせっぽっちな身体の女の子

 泣きそうな顔でうずくまっていたあの子はいない いないの

 

 叫んでいたのに 泣きそうな顔で 足掻くように もがくように叫んでた

 「ねぇどこにいけばいいの」って 泣き叫んでたのに

 

誰もが君を追い落とした 不幸の身代わりに 踏み台にして

そうしなきゃ生きていけなかったから 石を投げた

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