NEEDLESS



愛されて生まれてこない子なんていませんよ

騙されたかった 騙されたことをなじってみたかった 

信じられないまま、気が付けば20も過ぎてた 

風に揺すぶった 身体が からからと音を立てた 

しなび切った僕が 抜け殻の中で音を立ててた  


流れてくる製品を組み立てながら 眠い目こすってた 

やさぐれきったイマジナリーフレンドが問いかけた 

「おまえってこんなもんかよ」 

そうだよ。 

「こんなおとなになりたかったのかよ」

わかんないよ。 

彼はそっぽを向いて、呆れたように溜息一つ 

ドライバー頭に当てて 急に撃ち抜きたくなった 

「それじゃあ死ねねぇよ」 

 わかってるってば。 

泣きそうな目をこすった カラカラに乾いてた 


言い訳一つできない無様 地べたをはった 

嘲笑ってくれよイヴリィ 虚勢の一つもはれない僕を 

ミズライムのカタコンベより ここは悪いかもしれない 

自分を取り扱う権利なんて 存外持ってみたら重いもんだ 

考えなしに歩いてきたぶん 重たい荷物ばかり背負った  

「テメェの責任で不幸になれよ 誰のせいにもすんなよ」 

なすりつける権利なんてどこにもない 大丈夫 わかってるよ  


憎むとしたら自分だけ 責任を取るとしたら自分だけ 

わかってるのに逆恨みがやめられないのは僕のせい 

生きることを選び取ったのは僕のくせにさ だめなんだ 

呪いたくなる生命  振り切れなかった性命 

間違い続けた営みに、運命って名付け誤魔化した 

膝を抱えてうずくまって 恵んでもらった善意を啜りとって 

可愛そうでしょう、憐れんでくださいって頭を下げて

生き永らえてきたんだ 

ドブネズミよか悪いかもしれない 


醜さの権化みたいな自分から目をそらして 

悪いのは僕じゃないって叫んだ 

汚れきった両手は何一つごまかせなかった  

当然の顛末を飲み下せないまま鼻をすすった 


帰りの電車 つなぎの姿をジロジロ見られ 

逃げるように飛び出でた改札口  PASUMOのチャージ不足でひっかかって

 顔を真赤にしながら鼻すすって  階段をかけおりたのにバス逃した 

結局歩きで帰って 踏切で引っかかって溜息ついて 

ふと思い返せば傷だらけの自分が一つ 傷つけたのは僕自身 

わかりきった事実に 耳をふさいだ 僕を僕らに置き換えて 

責任転嫁に他力本願  何処にでもいる誰かにに逃げ込んで 

日常に埋まって全て誤魔化してた 


カンカンなる踏切の音 呼びかける声 

振り返った 踏切の向こう側 

僕がいた  

「追いついたぞ」 

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