「朝ごはん」からはじめる世界旅行
わたしの母は、昔から海外の食や暮らしを知るのがだいすきだ。なので、うちには母が昔から集めている海外生活や海外の食のエッセイ、海外旅行ガイドブックが集まっている。
そんな本たちに囲まれて育ったわたしは、立派な海外大好き人間に育った。
さて、この本棚に新しい本が加わった。
思わず手にとってしまう美しい表紙に惹かれてページをめくると、66ヶ国の朝ごはんが、ページいっぱいの写真で一覧できる。
文字より写真のほうが多くて、ハンディサイズなのもあって、パラパラとページをめくるだけでも楽しめる。
こんな本がカフェに置いてあったら、間違いなく手に取って、ひとり妄想旅行がはじまっちゃうね。
ていうか本棚を見てみたら、「世界の朝ごはん」と名がつくものがすでに2冊あった。
どれだけ世界の朝ごはんが好きなんだよって、ツッコミをいれたくなる。
でもさ旅先での「朝ごはん」って、本当にだいすきな時間なんだよね。
それは、現地に着いた次の日の朝。
ホテルでしっかり休んだ後、旅行の計画をしてる中で気になった朝ごはんを目指して出かける。
やっとお店に辿り着いて、慣れない現地の雰囲気の中、たどたどしく注文をする。
ちゃんと注文できたことにほっとして、ドキドキしながらテーブルで待つ。
外国人のウェイターが、日本ではありえないおおざっぱな動作で注文したものをもってきてくれる。
胸のときめきを抑えつつ、朝ごはんの写真をとる。そしてようやく迎えた、あこがれの朝食を食べる時間。
一口食べてさ、そこでようやく「わたし、この国にきたんだな」って思う。
食べて一息ついたら、今日はあそこにいって、あれを食べてと、何度も考えたプランをもう1回整理しちゃったりして。
旅行スイッチがオンになる瞬間。
あの時間がたまらなく好き。
朝ごはんで行き先が決まる旅もある。
たとえば、わたしの人生のやりたいことリストに
「スペインで朝食にチュロスを食べる」
というものがあって、昨年スペインに行った。
日本でも食べられるチュロスだけどさ、現地の味が気になって仕方がなかった。日本ナイズされていない、現地の人から愛される味が知りたかった。
スペインのチュロスは揚げたてを、甘くないチョコレートにひたして食べる。
アツアツでモチモチで、その日本と全然ちがう雰囲気のおいしさに感動した。忘れられない旅。
この本を見ながら、食べたことのある朝食を思い出すのも楽しい。
たとえば、これ。
スイスの朝食「ビルヒャーミューズリー」。
スイスで暮らしてたときに、どこのスーパーやカフェでも見かけた朝ごはんの定番。
そしてこれがね、とんでもなく口に合わなかった。ほんとうに「食べる栄養」って言葉がピッタリで、生臭くて、不快なべちょべちょ感で、なんとも言えない味がした。
医師が開発した栄養食だから、そりゃそこまでおいしいものではないのは当然か!
こうやって朝食の背景が知ると納得できるし、楽しい。
海外のものって想像がつかないせいか、「おいしい」と「おいしくない」の振れ幅がすごい。
おいしさに感動したり、もう食べられないほどヘンテコな味だったり。
それも醍醐味のひとつなんだよね。「食べる」って体験なんだなって思う。
この本にはレシピはないけど、おなじ著者の前作にはレシピが載っている。
レシピが気になる人はこちらもおすすめです。
これも家にあって改めて読んでみたけど、また別のコンセプトでおもしろかった。
この本のレシピで、ブラジルの朝に飲むスムージー「ビタミーナ」を作ってみた。
アボカドとフルーツと牛乳と練乳を混ぜたもので、アボカドっていうのが外国っぽくてイイ。
ていうかいったいだれがこの本を書いているんだろうと思ったら、「WORLD BREAKFAST ALL DAY」という世界の朝食を専門に出しているカフェが監修していた。
そのカフェでは、朝食は2ヶ月で別の国のメニューになり、終日その朝食メニューを楽しめるそう。
そのカフェのホームページがこれまた綺麗で、おいしそうで、思わず見入ってしまいました。
この本を読んでみて、朝ごはんが気になったら、なんと日本でも食べれるなんて…!
動線がすごい。
それでやっぱりおいしかったら、ますますその国に行きたくなるじゃん。なんだかずるいわ。
東京の銀座、吉祥寺、外苑前の3店舗あるので、つぎに東京を訪れたらいってみたい。
たとえばそこにこんな本があれば、
きっとめくるめく世界旅行がはじまる。