しゃちさん

しゃちです。現代ファンタジーや意味怖などのSSをメインに書いていきます!

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最近の記事

コーヒーと亡き夫

私は旅の疲れを癒すため、道中で見つけた老舗のカフェに立ち寄ることにした。 そのカフェは老朽化がだんだん進んでいるような感じだったけど、店長のおばあさんはすごく笑顔の良い人で、店の雰囲気もコーヒーの味も別格な美味しさだった。   全身が生き返る感覚を味わいながらコーヒーを飲んでいると、壁にかけられた写真が目に留まった。 写真はだいぶ昔のものであり、50代くらいの男女が幸せそうに映っていた。私は思わず尋ねてみた。   「あの…この写真は」   「この写真は、あたしがまだ若かっ

    • 友達

      僕には「雄太」という友達がいた。彼は勉強もスポーツも万能で人間性も良く、誰に対してもすごく親切だ。才色兼備とはまさに彼のためにある言葉だろう。自慢ではないが、そんな雄太は僕の一番の友達だ。  そんなある日、僕は雄太と遊びに行っていた。まずどこかでお昼を食べようということになり、たまたま目に見えたパスタ屋さんに行くことにした。それぞれ席について料理を注文しようとすると、店員の言動に少し違和感があった。  なんと、僕の注文だけ聞いて去ってしまったのだ。なんで雄太のメニューを聞

      • 足音

        あたしの家は姉と妹がそれぞれいて、あたしはその真ん中の次女。大学生だ。  ある日の午後9時半、あたしは部屋で本を読んでいてもう寝ようかと思っていた頃、階段を上がる音が聞こえてきた。姉か妹かな?    翌朝、3姉妹そろって朝食をもぐもぐ。すると姉と妹が昨日のことについて愚痴りはじめた。  姉「私昨日22時まで仕事だったんだけど、この時間は遊んでいたかったんだよね。店長が急にこの時間入ってくれってうざかったわ」  妹「うちは昨日上司にオールまで飲み付き合えって。まじ意味わか

        • かがみの向こう側

          休み時間、トイレに行って手を洗っている時のことだった。手洗いついでに自分の顔を見て見ると、なんだかやつれているような表情をしていた。  無理もない。最近勉強続きだったから。そして鏡越しには女子生徒が2人ほどおり、自分の表情を見たからなのか、どこか怖いものを見るような表情をしていた。  そしてその後、なぜか教師から職員室に呼び出された。体調の心配をしてくれてるのかな?と思ったら、すごい剣幕で怒鳴られた。    え、なんで…?俺なんかしたか? _______________

          魔女の秘薬

          ================================== 古い森の奥深くに住む一人の魔女がいた。彼女は見た目は若いが、何世紀も生きてきた。 魔女は人々の願いを叶える代わりに、高価な代償を要求することで知られていた。 ある日、若い女性が魔女の元を訪れた。彼女は美しさを求め、 すると魔女は笑いながら、ある秘薬を彼女に渡した。 その秘薬を飲むと、誰よりも美しくなるが、その代償は「命の一部」だと告げ、女性はそれでもためらいもなくその秘薬を飲み、 瞬く間に驚くべき美を

          隣の声

          僕は最近、都会の一人暮らしを始めたばかりで安いアパートに引っ越してきたばかりの大学生だ。 部屋は狭いが家賃が安く、大学も近いので満足していた。 しかし、夜になると隣の部屋から毎晩聞こえてくる奇妙な声に懸念を覚えるようになった。 その声は夜になると聞こえ、何かをぶつぶつと言っていた。 声の主は中年の女性だろうか?いつも同じ言葉を繰り返していた。「返して…返して…」と、かすれた声で訴えかけている。 最初は気味が悪いと思いながらも、ただの独り言だろうと気にしないようにして

          ドリンク

           俺は仕事の休憩でカフェに来ていたところ、奥のテーブル席で2人の女性が会話しているのが見えた。眼鏡をかけた女性と、ショートヘアーの女性。眼鏡をかけた女性の方はスーツを着ていて、鞄の中に大量の資料、しかもなにやらピンク色のドリンクみたいなのを持っていた。まさか…?  俺の予感は的中した。眼鏡の女性がショートヘアーの女性に大量の資料とピンク色のドリンクを差し出してきて、これはカフェとかでよく行われるあれだった。  「このドリンクは美容効果だけでなく、健康増進や筋肉増量も期待で

          カカオ田んぼ

           私は箒で飛んでいると、ちょっと変わった田んぼを見つけた。その田んぼをよく見ると、カカオが生えていた。最近の田んぼは米以外も育てているのかとぼんやり眺めていたら、おじいさんに後ろから突然声をかけられた。  「おお、あなたもこの田んぼが気になりますか?」  「あの、この田んぼは…」  「見てのとおり、カカオの田んぼですよ。この田んぼは私が管理していますから。」  「…。」  どうして田んぼからカカオが?そう聞こうとした瞬間、管理人のおじいさんは穏やかな表情でこう言った

          カカオ田んぼ

          交換日記

          友人のケンと僕は、小学校の頃から交換日記をしていました。私たちは毎日お互いに日記を書いて、夜に交換していました。その習慣は、中学生になっても続いていました。 ある日、ケンは日記にこう書きました。 「最近、家で変な音が聞こえるんだ。夜中に誰かが歩く音がするんだ。でも、誰もいないんだよ。お父さんもお母さんも夜勤で家にいないし、妹はすぐに寝るんだ。だから、僕だけがその音を聞いているんだ。」 「分かった。原因を突き止めるべく、僕は今日、ケンの家に泊まってみるよ」 その夜、僕は

          剛速球タコ

          シュッ!!!  僕は今日、仕事の気分転換に河川敷でキャッチボールをしていた。いつも思うけど、彼はボールを投げる才能がありすぎる。ちなみに彼と言うのは…タコである。  「タコさん、何度見ても真似できないなその投げ…一体どうやってるの?」  1本の触手だけで僕以上の速い球を投げているタコさんは、本当にすごい。下手したら野球部を凌ぐレベルなのでは…?と思ってしまうくらいに。体格も僕の何倍も小さいのに、ちょっと高く投げたボールも触手を伸ばして取ってしまう。しかもグローブなしで…。