僕には「雄太」という友達がいた。彼は勉強もスポーツも万能で人間性も良く、誰に対してもすごく親切だ。才色兼備とはまさに彼のためにある言葉だろう。自慢ではないが、そんな雄太は僕の一番の友達だ。
そんなある日、僕は雄太と遊びに行っていた。まずどこかでお昼を食べようということになり、たまたま目に見えたパスタ屋さんに行くことにした。それぞれ席について料理を注文しようとすると、店員の言動に少し違和感があった。
なんと、僕の注文だけ聞いて去ってしまったのだ。なんで雄太のメニューを聞かないんだ?もう一度店員を呼び戻そうとしたが、雄太は「いいよ、俺腹減ってないから」と言った。それでもまずいだろとは思いつつも、雄太がこう言うのではもういいかと僕も思った。
そして料理を待っている間、僕と雄太は雑談でもして過ごしていたが、なぜか周りのお客が変な目でこちらを見てくる。なんだ?僕らの事か?と思いつつも、考えても仕方ないので、雑談に戻った。
しかしお客がこちらを変な目で見るのは変わらない。それどころかひそひそし始めた。なんなんだ気味悪い…。雄太にも同意を求めようとしたら、なぜか彼は「ごめん…不快にさせて」と、言い出した。
なぜだ。雄太は何もしてないだろう。この時は何が何だか分からない僕だったが、周囲のお客の一組がこんなことを言いだした。
「あいつ、頭おかしいんかな。一人で店に来て独り言ばっかり…」
雄太も周りの人も、本当にわけのわからない一日だった。
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店員が主人公の注文しか聞かないのと、周りの客が主人公のことを独り言野郎と笑っていることから、主人公以外には雄太の姿が見えていない。そして雄太自身も主人公に謝ったことから、自分が今どんな状況かを理解している。
見えていないということは、雄太は…
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