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【七十二候】水泉動‥しみずあたたかをふくむ
『水泉動‥しみずあたたかをふくむ』
1月10日から14日頃
二十四節気では小寒の次候となり
吹く風はますます冷たく、厳しい寒さが続き
刻一刻と大寒へと向かっています。
しかしそんな中にも、春への準備は少しずつ少しずつ‥見えないところで着実に進んでいるのです。水泉動の水泉‥とは涌き出る水のことで
地中の中で凍っていた泉が融け始め、動き出すことを示しています。
いつものようにカメラ片手に家の近くを
歩いてみてもこの日はどこまで行っても灰色の空の下。心動く被写体にもなかなか出逢えず‥。
それでも、冬枯れの町をただただ歩き
その空気から何かを感じ取れたら‥と。
一時間以上歩いた先に出逢えたのは
山茶花、水仙など‥
寒さに強い花たちが、冬の空気を和らげるようにそこに咲いていました。
薄い色をした空は
さみしそうに微笑むだけ。
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キンと冷えた空気の中でも、確かに春は近づき
見過ごしてしまいそうな景色の中
儚くも強い生命は芽吹き、わたしたちと同じようにその時を待っているかのようでした。
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足音さえもまだまだ遠く
微かにゆっくり‥ゆっくりではありますが
時は流れている。毎年訪れる春待ちの時。
待ち遠しくて
ただ‥ひたすらその時を
息を潜めるように待っていて‥
一日一日‥そこに身を置き
ただ‥ただやり過ごすように流れていく時間‥。
毎年私はそんな風にしかこの時期を過ごすことができず、少し残念に思っていたので
今年こそは、この時期のありのままの姿を受け止めたい‥と。
今この時にしかない心動かす何かが
きっとあるから‥。
そんな風に春までのこの期間を
大切に過ごしていけたらと思っています。
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先日、ふと思い立ち遠い記憶を頼りにある
素敵なお店へと向かいました。
一度、随分前に訪れたことはあったのですが
それ以降、行きたい行きたいと気持ちのどこかにありながら先延ばしにしてきた場所でした。
ガラス店に隣接するそのお店は‥
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民家の中の奥まった場所にあるため
知らなければ通りすぎてしまいそうな
隠れ家的なお店。陶花。
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恐る恐る覗くと1月4日から営業します。と
張り紙があり
なんてタイムリー。(この日はちょうど1月4日でした。)
写真撮らせてもらってもいいですか。
と尋ねると
どうぞどうぞと快く承諾してくださりました。
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春のように華やかな花もなく
夏のような降り注ぐ日差しも弱く
秋のように虫たちの合唱も聴こえない‥
そんな深む冬に遠い記憶を呼ぶように出逢えたその場所はとても暖かくほっこりと心に注ぐ
冬日向。
あぁ好きだなぁと‥。
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陶器好きが高じて自宅で始められたという
お店。数千点にも及ぶ数々の焼締め、磁器等が
所狭しと並べられ
それはもう‥素敵すぎて一歩踏み入れた瞬間から、ため息がこぼれるほど。
若い頃、私にはこれ!というものがなく
今になってやっとカメラや写真と出逢えたので
『好き』があるって本当に幸せなことだと思っています。
そして「書くこと」が、こんなにも自分の一部になるなんてあの頃は思いもせず‥。
自分には何もないから‥
とモヤモヤを抱え生きていた日々。
好きなことって探そうと思って
見つかるものでもなく
きっと気づけばいつの間にか自分の生活に
溶け込むようにそこにあるもの。
今は、なにより毎日がキラキラ楽しくて‥。
『好き』がたくさん詰まったこの場所は
店主さんの熱い想いが感じられ
パワーをいただいた日となりました。
近々また行きます。
今度はマグカップを買いに‥。
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