【毎週ショートショートnote】ツノがある東館
今週もたらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加します。
そして今回も風刺全開……。
苦手な方はバックください(すいません)。
【ツノがある東館】
オニはいるが『鬼』はいない幸せな隠れ里。
ここでは、二種類の種族のオニが住み分けて暮らしていたそうな。
角のある大きなオニは西館に、角のない小さなオニは東館に住んでいた。
それぞれが違いを認め、穏やかに過ごしていた。
角のあるオニの一人、トーマスは鬱々としていた。
彼は体が大きかったが、何をしても西館の他のオニに勝てなかったのだ。
ある日、トーマスは「自分は東館のオニだ」と主張した。
「自分が東館のオニの種族だと自認しているから東館のオニなのだ」と。
「立派な角が生えているじゃないか」という周囲の窘めも無視し、東館に乗りこみ、その腕力で東館のオニをねじ伏せた。
――もはや安全な東館は存在しない。
ツノがある東館となりはて、本物の『鬼』どもが闊歩している。
『自認』を認めた狂った世界のなれのはての物語。
■ 参考資料
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?