【詩】屁のような具体音楽
茶色く塗ったアルミ枠に嵌め込んだガラスをシトシトと濡らすそれは
曇り空から垂れ落ちる雫でツブツブ
次から次からヘバリついては流れるソレは
やがて直前の仲間
いわば先輩のツブツブを押し流すように流れて我が物顔だ
コンニャクの世界にいないからその城で
どんな悪逆な行為が行われたかなんて全くの無知識で
未知は罪
無知は罪とくだらねぇ知識人が唾飛ばしながら吠える
純白の廊下
全力で走って開けその脚を
壁を壊せその
膣を裂けその
宇宙を
この空を
でもねでもねぇ
そのボケた頭を巡らしてよくよく目を見開きぐるりを眺め
睨みつけそして神の棲む鏡を覗いてごらん
うまくいかない人生をうまくいかないこの時を
憎み恨み
しかし最も目を引く醜さは光の中にいる人を邪魔して気持ちが晴れること
それに気付けよ醜いよ
ブサイクだよ
光の中に立つ人はそんな仕打ちも笑って棄てる
そうお前の邪悪は棄てられるだけであの人の一切に
触れることさえできないのだよ
閑になって老人
昨日の夜の水道管から漏れる斑の壁に吸い寄せられてよく視ると
その文様の細い細い隙間に青い筋が履い時々ドクンドクンと蠢いている
朦朧とする
飢えている
悲しみに暮れて後
目を伏せまた開くと
眼球が左右チグハグに動き
鼻腔がぺしゃんこになるほどまで空気を吸い込んで
丼のように唇を歪ませたその顔が目の前にあった
明日はくるか
誰に捧げるか
脂の欠如を誰に抗議するのか
それは幸福の証なのか
ソレの想う卑しさに震えて骨盤から崩れ落ちる女
見上げても見上げても酔いしれて能面の裏側を舐める
そうだそれが正しい
そうだおまえが正しい
今までに何百という命を誤って貶め
誤って消し去った独りよがりの決断に
うどんの玉を増やすのかい
うどんに玉を増やすのかい張り替えたまま
旅に発ち夕暮れに戻る
宙を飛び石を割る
亀裂からひとつの目が覗くとそれは
裂けてしまったキミに泣き密やかに密やかに
陽の昇る方角に頭を垂れて
しかし心の奥底では嘲笑っているんだ