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展覧会備忘録

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「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」東京都庭園美術館

「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」東京都庭園美術館

2025.02.02

抽象的な形をしたさまざまな鉄とガラスの作品が庭園美術館室内各所に設置され、異質さを感じさせることもなく不思議と調和していました。
この日は雨模様で、せっかくなら光がテーマの作品群を晴天の日に見たかったと少し落胆していましたが、柔らかくしっとりした自然光での見え方も美しかったです。

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1階2階3階新館ギャラリー

「ルイーズ・ブルジョワ展」森美術館

「ルイーズ・ブルジョワ展」森美術館

2024.11.16

「六本木ヒルズのでっかい蜘蛛」と聞けば、誰もが思い浮かべられるあの彫刻。
どこか物々しい存在感を放つそれの作者が女性であり、副題の「地獄」という言葉が示すようなバックグラウンドを持つ人物であると、今回の展示で初めて知りました。

支配的だった父親への憎悪を起点とした作品群はパワフルで、「芸術は正気を保証する」との言葉を残していた彼女が自分の人生そのものをアートとして昇華しよ

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「奥村厚一 光の風景画家 展」京都市京セラ美術館

「奥村厚一 光の風景画家 展」京都市京セラ美術館

2024.09.07

平安神宮のそばにある京セラ美術館。和洋折衷の外観が目を引きます。
現存最古の公立美術館であり、京都の景観を損ねないようにデザインされています。茶色のセブンなど、今にも引き継がれる古都のブランディングですね。

鉄筋コンクリートの上に和風の屋根を載せるスタイルは「帝冠様式」と呼ばれており、当時の人々の国家への思いが物々しい様式名に表れている気がします。

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京都観

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「水木しげる 妖怪道五十三次と妖怪図鑑」二の丸美術館

「水木しげる 妖怪道五十三次と妖怪図鑑」二の丸美術館

2024.08.10

掛川城のすぐ近くにある、和の外観が美しい二の丸美術館。
歌川広重の「東海道五十三次」をパロった「妖怪道五十三次」をメインに、鬼太郎たちのリアル人形や日本全国の妖怪マップなどの展示物もあり、コンパクトながら見どころ満載の特別展でした。

▽best

妖怪道五十三次

東海道五十三次のパロディなんて、元絵のレベルが高すぎてそう簡単にはうまくいきそうにないものですが、細部まで非

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「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」東京都美術館

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」東京都美術館

2024.03.24

「モネからアメリカへ」という副題の通り、印象派の成り立ちからその影響の広がりまでを追いかけた展示でした。

▽BEST

最初のフロアがとにかく激混みだったため、階上から攻めていきました。キャプションが一つ一つしっかり書かれていたので立ち止まる人が多かったのかもしれません。

印象派スタイルの絵の需要に気づいたアメリカの画家達が、おそらく商売的な目的も込みで次々と留学に旅立

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「The Beginning Place」青森県立美術館

「The Beginning Place」青森県立美術館

2023.12.09

奈良美智氏は青森県弘前市出身で、「The Beginning Place」はその故郷を示唆してるのだとか。彼の生まれについては今回の展示で知ったのですが、青森がゆかりの地だったんですね。

初期頃の作品にはじまり、お馴染みの少女像は勿論、旅好きだった彼が道中で記録した写真録、平和への願いのための作品群、そして幼少期から彼が愛するロックへの愛が詰まったエリアなどから、奈良氏の

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棟方志功記念館

棟方志功記念館

2023.12.09

館内は作家の意向でコンパクトな作りとなっており、定期的に作品を入れ替えて展示していたそうです。日本の老舗ホテルのような落ち着いた内装だったのですが、開館から46年経つとのこと。
老朽化などの事情から24年3月いっぱいで閉館となりますが、県立美術館に作品が移管され、専用展示室もできるみたいです。

棟方の日常を追ったビデオが上映されており、制作の様子が見られたのですが、筆が早

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「テート美術館展」国立新美術館

「テート美術館展」国立新美術館

2023.10.01

https://tate2023.exhn.jp

18世紀末から約200年にわたる、光にまつわる作品をぎゅっと固めた展覧会でした。
ターナーらの油絵から現代美術作品まで領域が幅広く、総集編といった印象を受けました。個展特有の没入感も好きなのですが、こういった総括的な展示は気持ちが引っ張られすぎなくていいですね。

お目当てのハマスホイの絵が見られて嬉しかったです。彼はデン

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「ソール・ライターの原点」渋谷ヒカリエ

「ソール・ライターの原点」渋谷ヒカリエ

2023.08.22

ソール・ライターの写真を見るのは、2017年のBunkamuraでの回顧展以来でした。
巨大スクリーンを何枚も並べ、シャッターを切るように写真を見せている大部屋が印象的でした。

ライターの写真の静謐さが好きなのですが、彼はユダヤ教の学者の家に生まれ、神学校では優秀な生徒だったそうです。
厳格な戒律に疑問を覚え、父と決別しニューヨークへ渡ったそうですが、幼少期の感性が写真に

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「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館

2023.08.17

iPadで描かれた絵がスクリーンやプリントで特大サイズで展示されており、こういうのもありなのか〜という新鮮な印象を受けました。

拡大されているためブラシツール感がはっきりとわかり、大丈夫なのか?と思うも引きで見ると違和感がなく、デジタル絵画を引き伸ばした作品をもっと見てみたくなりました。

アートの価値ってアナログ作品の方が高いんじゃない?という先入観を持っていることを認

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「マティス展」東京都美術館

「マティス展」東京都美術館

2023.06.04

マティスといえばフォーヴィスムの代表として、派手な色彩で油絵を描いていた人…というイメージが強かったのですが、晩年寝たきりになった後に制作された切り絵(ジャズシリーズなど)が、ハンデを全く感じさせない力強さを放っていて特に印象的でした。
フォーヴィスムの荒々しい作品群からは瞬間風速的な情熱を受け取るのですが、やはり活動期間は短かったそうです。周囲が新しい世界へ転向する中マテ

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クレラーミュラー美術館@オランダ

クレラーミュラー美術館@オランダ

2023.02.19

オランダの首都、アムステルダムから70キロほど東に位置するオッテルローという地方の、ナショナルパーク内に建つ美術館です。
オランダ出身であるゴッホを中心に、ピカソやジャコメッティ、モネ、モンドリアンなど著名な作家の作品が収容されています。

▽best
ゴッホ「盛りを過ぎた4本のひまわり」

メインであるゴッホらの常設展と、おそらく特設展であろうキーファーらの展示会場が3つ

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「ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー」角川武蔵野ミュージアム

「ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー」角川武蔵野ミュージアム

2022.12.29

角川ってあのKADOKAWA!?という事実を全く知らずに行き(下調べしない派)、アニメ色の強さに多少面食らったのですが、のどかな住宅街の中にそびえ立つミュージアムはなかなか壮観でした。

▽best
おまけでもらえたシール

第1会場 体感型デジタルアート

壁面全体がプロジェクションマッピングになっている大会場に、30分ほどのプログラムが繰り返されていました。出入りのタイ

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「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」府中市美術館

「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」府中市美術館

2022.11.15@府中市美術館

公園内にある美術館で、市立らしい落ち着いた佇まいが好きです。昔、フィンランドデザイン展を見に行ったのが最後だったのですが、変わらない雰囲気で安心しました。
作品数もキャプションも程よい塩梅で、疲れずに見て回れました。
展覧会って集中するし立ちっぱなしだしで結構体力を奪われます。私はキャプションを読破したい方なので、脳味噌までめちゃくちゃ疲れてしまいます。楽しさ

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