花岡紗季

グラフィックデザイナー🌷たまにイラストレーター 展覧会のゆる備忘録 https://www.sakihanaoka.com

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マガジン

最近の記事

「奥村厚一 光の風景画家 展」京都市京セラ美術館

2024.09.07 平安神宮のそばにある京セラ美術館。和洋折衷の外観が目を引きます。 現存最古の公立美術館であり、京都の景観を損ねないようにデザインされています。茶色のセブンなど、今にも引き継がれる古都のブランディングですね。 鉄筋コンクリートの上に和風の屋根を載せるスタイルは「帝冠様式」と呼ばれており、当時の人々の国家への思いが物々しい様式名に表れている気がします。 ▽best 京都観光中に思い立って足を運びましたが、見に行ってよかったです。京都生まれとのことで、

    • 「水木しげる 妖怪道五十三次と妖怪図鑑」二の丸美術館

      2024.08.10 掛川城のすぐ近くにある、和の外観が美しい二の丸美術館。 歌川広重の「東海道五十三次」をパロった「妖怪道五十三次」をメインに、鬼太郎たちのリアル人形や日本全国の妖怪マップなどの展示物もあり、コンパクトながら見どころ満載の特別展でした。 ▽best 妖怪道五十三次 東海道五十三次のパロディなんて、元絵のレベルが高すぎてそう簡単にはうまくいきそうにないものですが、細部まで非常によく描き込まれており、水木節が生き生きとしていました。 サマーナイトミュー

      • 「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」東京都美術館

        2024.03.24 「モネからアメリカへ」という副題の通り、印象派の成り立ちからその影響の広がりまでを追いかけた展示でした。 ▽BEST 最初のフロアがとにかく激混みだったため、階上から攻めていきました。キャプションが一つ一つしっかり書かれていたので立ち止まる人が多かったのかもしれません。 印象派スタイルの絵の需要に気づいたアメリカの画家達が、おそらく商売的な目的も込みで次々と留学に旅立っていく姿からは今にも続く彼らの国民性を感じました。 印象派のタッチとアメリカ

        • 「The Beginning Place」青森県立美術館

          2023.12.09 奈良美智氏は青森県弘前市出身で、「The Beginning Place」はその故郷を示唆してるのだとか。彼の生まれについては今回の展示で知ったのですが、青森がゆかりの地だったんですね。 初期頃の作品にはじまり、お馴染みの少女像は勿論、旅好きだった彼が道中で記録した写真録、平和への願いのための作品群、そして幼少期から彼が愛するロックへの愛が詰まったエリアなどから、奈良氏の半生と人となりが伝わってくる内容でした。 少女像ですが、想像していたよりも巨大

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        • 展覧会備忘録
          22本

        記事

          棟方志功記念館

          2023.12.09 館内は作家の意向でコンパクトな作りとなっており、定期的に作品を入れ替えて展示していたそうです。日本の老舗ホテルのような落ち着いた内装だったのですが、開館から46年経つとのこと。 老朽化などの事情から24年3月いっぱいで閉館となりますが、県立美術館に作品が移管され、専用展示室もできるみたいです。 棟方の日常を追ったビデオが上映されており、制作の様子が見られたのですが、筆が早いことで有名だったらしく、常人の十倍以上のスピードで描いていました。 早送りして

          棟方志功記念館

          「テート美術館展」国立新美術館

          2023.10.01 https://tate2023.exhn.jp 18世紀末から約200年にわたる、光にまつわる作品をぎゅっと固めた展覧会でした。 ターナーらの油絵から現代美術作品まで領域が幅広く、総集編といった印象を受けました。個展特有の没入感も好きなのですが、こういった総括的な展示は気持ちが引っ張られすぎなくていいですね。 お目当てのハマスホイの絵が見られて嬉しかったです。彼はデンマークの作家なのですが、コペンハーゲンが好きな街なので気になっていました。彼の室

          「テート美術館展」国立新美術館

          「ソール・ライターの原点」渋谷ヒカリエ

          2023.08.22 ソール・ライターの写真を見るのは、2017年のBunkamuraでの回顧展以来でした。 巨大スクリーンを何枚も並べ、シャッターを切るように写真を見せている大部屋が印象的でした。 ライターの写真の静謐さが好きなのですが、彼はユダヤ教の学者の家に生まれ、神学校では優秀な生徒だったそうです。 厳格な戒律に疑問を覚え、父と決別しニューヨークへ渡ったそうですが、幼少期の感性が写真に残っているような気がします。 生計を立てるために撮ったというファッション誌の写

          「ソール・ライターの原点」渋谷ヒカリエ

          「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館

          2023.08.17 iPadで描かれた絵がスクリーンやプリントで特大サイズで展示されており、こういうのもありなのか〜という新鮮な印象を受けました。 拡大されているためブラシツール感がはっきりとわかり、大丈夫なのか?と思うも引きで見ると違和感がなく、デジタル絵画を引き伸ばした作品をもっと見てみたくなりました。 アートの価値ってアナログ作品の方が高いんじゃない?という先入観を持っていることを認識しました。 (元々アナログで描いていた漫画家やイラストレーターがデジタルに移行

          「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館

          「マティス展」東京都美術館

          2023.06.04 マティスといえばフォーヴィスムの代表として、派手な色彩で油絵を描いていた人…というイメージが強かったのですが、晩年寝たきりになった後に制作された切り絵(ジャズシリーズなど)が、ハンデを全く感じさせない力強さを放っていて特に印象的でした。 フォーヴィスムの荒々しい作品群からは瞬間風速的な情熱を受け取るのですが、やはり活動期間は短かったそうです。周囲が新しい世界へ転向する中マティスもキュビズムに惹かれたこともあったそうですが、最後まで色彩に対するこだわりを

          「マティス展」東京都美術館

          クレラーミュラー美術館@オランダ

          2023.02.19 オランダの首都、アムステルダムから70キロほど東に位置するオッテルローという地方の、ナショナルパーク内に建つ美術館です。 オランダ出身であるゴッホを中心に、ピカソやジャコメッティ、モネ、モンドリアンなど著名な作家の作品が収容されています。 ▽best ゴッホ「盛りを過ぎた4本のひまわり」 メインであるゴッホらの常設展と、おそらく特設展であろうキーファーらの展示会場が3つほどありました。 館内は1.5〜2時間ほどで一周できそうな広さでしたが、部屋の大

          クレラーミュラー美術館@オランダ

          「ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー」角川武蔵野ミュージアム

          2022.12.29 角川ってあのKADOKAWA!?という事実を全く知らずに行き(下調べしない派)、アニメ色の強さに多少面食らったのですが、のどかな住宅街の中にそびえ立つミュージアムはなかなか壮観でした。 ▽best おまけでもらえたシール 第1会場 体感型デジタルアート 壁面全体がプロジェクションマッピングになっている大会場に、30分ほどのプログラムが繰り返されていました。出入りのタイミングは自由なのか、いたければいつまでも楽しめる様子でした。少数のハンモックは奪

          「ファン・ゴッホー僕には世界がこう見えるー」角川武蔵野ミュージアム

          「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」府中市美術館

          2022.11.15@府中市美術館 公園内にある美術館で、市立らしい落ち着いた佇まいが好きです。昔、フィンランドデザイン展を見に行ったのが最後だったのですが、変わらない雰囲気で安心しました。 作品数もキャプションも程よい塩梅で、疲れずに見て回れました。 展覧会って集中するし立ちっぱなしだしで結構体力を奪われます。私はキャプションを読破したい方なので、脳味噌までめちゃくちゃ疲れてしまいます。楽しさが上回れば収穫ですから、めげずにいたいものです。 ▽best 「柳の枝」ウィリ

          「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」府中市美術館

          展覧会「岡本太郎」東京都美術館

          22.10.30@東京都美術館 岡本太郎といえばクレしんの大人帝国の印象が1番強い(くらいには彼に対しての知識がなかった)のですが、何らかのパワーをもらえそうな気がしたのと、彼の作品の魅力はきっと生で見ないとわからないだろうと思ったので上野まで行ってきました。 ジャイアントパンダ来園50周年記念ということで、バルーンが飛び、垂れ幕がかかり、あらゆる店にパンダグッズが満ち溢れ、街全体がうきうきムードでした。 ▽best 犬の植木鉢 なんで日本人はこんなに太郎が好きなんだろ

          展覧会「岡本太郎」東京都美術館

          「装いの力―異性装の日本史」渋谷区立松濤美術館

          2022.10.04 歌舞伎から漫画、ドラァグクイーンまで、異性装(女装、男装)の歴史を辿った展示。 ▽best ベルバラの原画 ポスターのどピンクな感じから、oh〜な作品ばかりなのかと緊張しましたが、異性装の文化的背景を時代と照らし合わせながら真面目に解説してくれる、ちゃんとした(?)展示でした。 ドラァグクイーンのキラキラなコーナーはパンチが効いており、生命力を貰えたような気がします。 ベルバラのオスカルのように、女性が男性の役割を身にまとうために男装するのは「異

          「装いの力―異性装の日本史」渋谷区立松濤美術館

          「イッタラ展」Bunkamura ザ・ミュージアム

          2022.10.04 北欧好きならみんな知ってるイッタラ。 その歴史だけでなく、技法についてもたくさん知ることができて面白かったです。特にガラスを流し込む「型」の実物がレアで、元々は木製だったと知って驚き。 実用的なガラス製品以外に、デザイナー達のアート的作品も置いてあり、彼らの精神哲学を垣間見ることができました。 イッタラの赤いi字のロゴですが、ガラス職人さんの吹き竿(棒の部分)とガラス(丸の部分)の意味が込められているらしく、確かに…!と地味に感心してしまいました。

          「イッタラ展」Bunkamura ザ・ミュージアム

          「いけないのファッション展」ACCESSORY MUSEUM

          2022.10.02 タブーに触れたファッションや宝飾品を集めた展示でした。 社会問題になっているリアルファーだったり、人種差別的デザインだったり、有毒な素材が使用されていたりと、物議を醸す作品がいろいろありました。 ノーマルなコレクション数も多く、しかも年代別になっていたので、シンプルにアクセサリー史の勉強にもなりました。 人類の歴史とファッションって密な関係にあるよな、そしてここにも問題が山盛りだったんだな、と思いました。 装飾品って人間の価値を高めるためのものだか

          「いけないのファッション展」ACCESSORY MUSEUM