坂ノ途中の研究室

株式会社坂ノ途中は、「100年先もつづく、農業を。」をビジョンに掲げ、環境負荷の小さな農業を広げるための様々な事業を行っている京都の会社です。このnoteでは、坂ノ途中の研究室スタッフが隔週で連載記事を更新していきます。 #サステナブル #持続可能性 #農業 #環境 #IMM

坂ノ途中の研究室

株式会社坂ノ途中は、「100年先もつづく、農業を。」をビジョンに掲げ、環境負荷の小さな農業を広げるための様々な事業を行っている京都の会社です。このnoteでは、坂ノ途中の研究室スタッフが隔週で連載記事を更新していきます。 #サステナブル #持続可能性 #農業 #環境 #IMM

マガジン

  • 食事から考えるやさしい環境学

    食事と環境の関係性を考える連載記事です。

  • IMM、やってみました

    坂ノ途中が0からはじめたインパクト測定・マネジメントの右往左往を共有する連載記事です。

最近の記事

ふたたび変化する私たちの自然観

みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 前回は、私たちの自然観の変化についてお話ししました(10月の記事)。私たちは、明治時代以降、ほかの生き物に対する敬意を失ってきました。この自然観の変化は、農業の変化と対応するものでした。日本の農業は、明治時代以降、化学肥料や化学農薬を多く使い、自然と共生するというより、自然をコントロールする方向に進みました(8月と9月の記事)。 ですが、前回の記事の最後のところで、再び私たちの自然観が変わりつつあることもお話ししました

    • 農業とともに人の心も変わった

      みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 前回は、化学肥料や化学農薬の使用が、日本社会のために、それなりに重要な役割をはたしてきたことをお話ししました。たとえば明治時代は、欧米列強に植民地化されないように、人口を増やす必要がありました。戦後も、増えた人口を支えないといけませんでした。そのためには、食糧増産が必要でした。 このように、近代以降、農業は社会とともに変わってきました。ですが、変わったのは、農業と社会だけではありません。私たちの心も変わりました。今日は

      • 化学肥料や化学農薬が必要だった理由

        みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 先月は、明治期以降、人間が有機農業をやめてしまったことについて、お話ししました。有機農業をやめるということは、「土→作物→人→土」と廻っていた物質循環を断ち切ってしまうことでした。そして、その結果、人間は資源枯渇や汚染といった問題に向き合うことになりました。 こう書いてみると、有機農業をやめた結果、悪いことばかりが起きたような印象を受けるかもしれません。でも、この印象は一面的です。 明治から昭和にかけては、有機農業を

        • 有機農業をやめた人類の歴史

          みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 この連載は、どうやったら環境に配慮した食事ができるのか、を考えています。前回は、「有機栽培の作物は慣行栽培のものよりも、ちょっとだけ環境によさそう」、というお話しでした。有機栽培の作物は慣行のものより、温室効果ガス排出量が少しだけ小さいからです。少しだけというのは、だいたい20%くらいです。 有機栽培と慣行栽培の違い、覚えていらっしゃいますか? 有機栽培は、化学肥料や化学農薬を使わないで作物を育てます。慣行栽培はそれら

        マガジン

        • 食事から考えるやさしい環境学
          8本
        • IMM、やってみました
          2本

        記事

          有機農業は環境にいいのですか?

          みなさま、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 この連載は、どうやったら環境に配慮した食事ができるのか、を考えています。前2回は、「お肉は控えめに」「できたら旬の野菜を食べましょう」という話でした。 今回から、有機農業の話をしようと思います。有機栽培の作物を食べることは、環境負荷を下げることにつながるのでしょうか? これは、坂ノ途中にとって重要なテーマです。この問いの答えが否定的なら、坂ノ途中はビジネスを考え直さなくてはなりません。 環境負荷にはいろいろなものがあ

          有機農業は環境にいいのですか?

          旬の野菜を食べましょう

          みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 私たちは、「環境に配慮した食事」について考えています。前回は、「肉の量を減らすことで、環境への負荷を減らせる」という話をしました。 今回からのテーマは、野菜です。今月は、旬の野菜を食べることについて、考えてみましょう。 現代では、スーパーに行くと、冬でもナスやトマトが売っていたりします。こうしたナスやトマトの大部分は、ビニールハウスで育てられています。そして、ビニールハウスの加温には、化石燃料が使われています。 こ

          旬の野菜を食べましょう

          ロジックモデルとセオリー・オブ・チェンジ、どっちをどこから作るのか問題

          こんにちは。坂ノ途中の研究室の横浜です。 前回は「IMM(インパクト測定・マネジメント)」を噛み砕いて考えて、坂ノ途中がIMMをはじめた経緯をお伝えしました。 今回は坂ノ途中がIMMとして最初に取り組んだ、セオリー・オブ・チェンジの作成についてお話ししようと思います。 坂ノ途中は当初、ロジックモデルを作ろうとしていました。でも、内容を詰めていくうちに色々要素が変化していき、「これはセオリー・オブ・チェンジに近いのではないか」ということになり、そう呼ぶことにしました。 こ

          ロジックモデルとセオリー・オブ・チェンジ、どっちをどこから作るのか問題

          お肉は控えめに

          みなさん、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光です。 前回から、「環境に配慮した食事」について考え始めました。食事について考え直すことは大事です。その理由の一つは、私たちの食事が、環境に大きな負荷をかけているからです。 例えば、温室効果ガスについて言えば、食料生産による排出量は、世界の総排出量の3割に上ります。最近の研究によると、食料生産による排出量を減らすことなしに、温室効果ガスの国際的削減目標を達成することは、不可能です。 では、私たちの食事のうち、何が問題なのでし

          走り続けるために、立ち止まる 〜坂ノ途中のIMMのはじまり〜

          こんにちは。坂ノ途中の研究室の横浜美由紀と申します。 これからnoteで月に一度程度、「IMM(インパクト測定・マネジメント)」をテーマに発信していこうと思います。 小松の連載「食事から考えるやさしい環境学」と交互での更新になるので、そちらもぜひご覧ください。 2022年に坂ノ途中の報告書をリリースして以来、有難いことに各方面の方から「ロジックモデル作りの参考にしています」「坂ノ途中みたいなインパクトレポートを作りたい」というお声をいただくようになりました。 知識を教え

          走り続けるために、立ち止まる 〜坂ノ途中のIMMのはじまり〜

          環境に配慮した食事とは?

          みなさま、こんにちは。坂ノ途中・研究員の小松光と申します。 これから月に一度程度、ここに文章を連載していこうと思います。よろしくお願いします。 連載のタイトルは、「食事から考えるやさしい環境学」としました。このタイトルには、次のような思いを込めています。 環境問題というのはすごく大きくて、個人の力ではどうしようもない気がしてしまうことがあります。実際、環境のことが漠然と気になるのだけれど、どうしたらいいのかわからない、という人は多くいます。これは大学で長らく教えてきた私

          環境に配慮した食事とは?