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旅エッセイ~遠い空、遠い夢~

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世界のあっち、日本のこっちで私が見た風景。お腹の底から笑ったこと、感動したこと、怖かったこと。旅先の出来事をエッセイにしました。
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記事一覧

アナログ人間(そろそろこれやめよう)のバリ島準備 続編

アナログ人間(そろそろこれやめよう)のバリ島準備 続編

10月1日から日本人観光客は免除となるインドネシア入国ビザ。
私が入国するのはそれより少し前だから、当然、ビザの申請が必要。
忌々しいけれど、手続きするしかない。

「インドネシア evoa」で検索すると、申請方法がたくさんヒットする。わかりやすく説明したyoutubeも。けれど、肝心の申請フォームが何度か変わったおかげで、どれが最新のものなのか、いまいちよくわからない。

検索して最初に見つけた

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アナログ人間、バリ島行きの準備をする

アナログ人間、バリ島行きの準備をする

バリ島旅行まで1ヶ月をきり、通常であればウキウキしている頃なのだけれど、どうにも気が乗らない。
どうしてだろう。
旅行自体は楽しみなのだけれど、その前にやらなくちゃならんことがありすぎるからだ、きっと。
インドネシア入国ビザの手続き、観光税の支払い、税関申告。
これらを事前、Web上で済ませておかなくてはならない。
しかも、オンラインでの支払いがうまくいかなかったり、トラブルも多いらしい。
バリの

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パトンビーチのガード犬

パトンビーチのガード犬

まるで地球を丸ごと覆っているかと思うほど、見上げる空は一面、灰色の雲。かろうじて位置を確認できる太陽に向かって、ああ、どうか燦々と光を降り注いでおくれと祈りながら、私は空を見つめ続ける。そうしているうちに雲が割れ、僅かな陽の光がプールの水面を照らし始めた。願いが通じた、と、喜んだのもつかの間。数秒後には小雨がサイドテーブルを濡らしていく。

いっそのこと、激しいスコールが降ればいい。そうすれば、雨

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モアナに抱かれて~ハワイ散骨式の記憶~

モアナに抱かれて~ハワイ散骨式の記憶~


::プロローグ::駆けつけた病院の受付で、スタッフの困ったような笑顔を見た瞬間、不安は確信に代わりました。
案内されたのは、緊迫するICUでもなく、白い病室でもない。『霊安室』と小さな札が掲げられた、簡素な一室でした。

身体が弱く、晩年は殆どの時間をベッドで過ごしていた父。
そんな父が見違えるように元気になるのは、大好きなハワイを旅している時だけでした。

父が初めてハワイを訪れたのは、私が3

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通りすがりの街~マレーシア・クアラルンプール

通りすがりの街~マレーシア・クアラルンプール

コタキナバルと同様、一泊以上したことはない。マレーシアの首都・クアラルンプール。
アメリカばかり旅行していた私が初めて降り立った、日本以外のアジアの地である。ちょうど25年前のことだ。
以来、東南アジアにずっぽりとはまってしまい、マレーシアにはこれまで20回ほど訪れている。
それなのに、首都であるクアラルンプールはろくに観光していない。いつもマレーシア国内やモルディブ等のビーチリゾートへ行くための

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通りすがりの街~モルディブ・フルレ

通りすがりの街~モルディブ・フルレ

新婚旅行先として不動の人気No.1、ダイバー憧れの海が待つ環礁―モルディブ。
この美しきインド洋の国には、実に100以上ものリゾート島がある。

ボートでは渡れない島に行くためには水上飛行機を利用する。目視で飛ぶので、日が落ちてから国際空港に着いた場合は、首都マーレか空港のあるフルレのどちらかに一泊する必要がある。
マーレの方がリーズナブルなホテルがたくさんあるのだけれど、私は絶対にフルレに泊まる

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通りすがりの街~マレーシア・コタキナバル

通りすがりの街~マレーシア・コタキナバル

例えば、ボルネオのダイビング・パラダイス、マブール島のように至極アクセスの悪い場所へ行くためには、必ずどこかでトランジットの時間を過ごさなければならない。
マブール島の場合はコタキナバル。
成田からクアラルンプールを経由して、コタキナバルのホテルに着くのは日付も変わりそうな時間。翌日早朝、国内線に乗ってさらに移動。滞在時間は短い時で8時間ほど。
コタキナバルは、本当に本当に「眠るだけの街」だった。

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セブ島の洗礼

セブ島の洗礼

マクタン・セブ国際空港に到着すると、友人カップルが私達を迎えてくれた。マブール島でお世話になったダイビングガイドの二人。
セブに拠点を移した彼らと一緒に潜ることがこの旅の目的。
その足で街へ行き、フィリピン料理のレストランで乾杯。
おいしい料理とおしゃべりで楽しい時間を過ごした。

翌朝からダイビングなので、9時にはお開き。レストラン前にいたタクシーに、友人たちがメーター使用を確認した上で、ホテル

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私が愛した竜宮城~マレーシア・マブール島

私が愛した竜宮城~マレーシア・マブール島

GWのハワイ便は過去最高の予約率だったそうで、景気の良い話じゃあないですか、よかった、よかった。
と、思うのは極一部のブルジョアだけ。
少し前に、冗談混じりで書いた「憧れのハワイ空路」は現実になりつつある。
$1=160円間近ときたら、近所の公園散歩がせいぜいのGW です。

コロナ前まで、毎年、GWは予定が決まっていた。十数年、飽きることなく同じ場所へ行っていた。
念のためnote内を検索してみ

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アナログ人間、バリ島へ行く(かも)

アナログ人間、バリ島へ行く(かも)

コロナ前は毎年、少なくとも年に2回、多い時で4回は海外へ出掛けていた。
最後はコロナパニックになる直前の2020年1月に行ったハワイ。
もう4年になるんだな。
その間、ダイビングが出来なくなり、海外へ行かないことが当たり前になり……。
そうなるとなんだか億劫になって、海外旅行計画はずっと白紙のまま。
このまま歳を取っていけばもっと面倒になるだろう。
しかも……2025年7月に大地震がくるって?!

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遠ざかった楽園~ティオマン島

遠ざかった楽園~ティオマン島

3月。有給休暇が余っている。マイルもたくさん残っている。
コロナ直前、ハワイへ行ったきり、海外に出掛けていない。
いっちょ、久しぶりに海外一人旅しちゃおうか。
でも。
前にも書いたと思うけれど、私はギネス級の方向音痴。一人で行ける場所は限られている。

ふと、ある島が思い浮かんだ。
ティオマン島。
この島に行っていなければ、マレーシアを好きになっていなかったし、ビーチリゾートにはまることもなかった

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【掲載されました】JAL 国際線就航70周年記念 世界各地とつながるエピソード

【掲載されました】JAL 国際線就航70周年記念 世界各地とつながるエピソード

賞品のホノルル往復航空券を狙って応募してみました。
結果、抽選漏れ(´д`|||)
ですが、応募作品の中から選ばれて、Web上に掲載されました😆
直リンクはできないので、以下のURLからずずーっとスクロールしてご覧いただけますと嬉しいです。

https://www.jal.com/ja/jal-int-70th/70episodes/

「幸せのおすそ分け」
です。

遠ざかる楽園

遠ざかる楽園

「ここ、回答が抜けているけれど?」

初老の男性スタッフが少々お怒り気味の表情を見せ、書類を差し出す。
しまった。旅行に行けなかったらどうしよう。
怒られたショックよりも、その心配の方が大きかった。

ここはアメリカ大使館。一週間程前に申請した観光ビザを受取りにきたのだった。

「すみません。“いいえ”です」

申請書類の質問事項にひとつだけ記載漏れがあったのだ。スタッフはにっこり笑って、スタンプ

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