通りすがりの街~マレーシア・コタキナバル
例えば、ボルネオのダイビング・パラダイス、マブール島のように至極アクセスの悪い場所へ行くためには、必ずどこかでトランジットの時間を過ごさなければならない。
マブール島の場合はコタキナバル。
成田からクアラルンプールを経由して、コタキナバルのホテルに着くのは日付も変わりそうな時間。翌日早朝、国内線に乗ってさらに移動。滞在時間は短い時で8時間ほど。
コタキナバルは、本当に本当に「眠るだけの街」だった。
ところが、2012年頃だったろうか、東京からコタキナバル直行便が就航し、午後3時くらいには既にホテルに到着、といった状況になった。
初めてコタキナバルの街へ出てみた。海辺には海鮮レストランや土産物店が立ち並び、賑やかな雰囲気。市場を覗いてみると、さすがは海辺の街。水揚げされたばかりの魚がずらり。海に還したらそのまま泳ぎ始めそうなほど新鮮そのもの。
「夕飯は海鮮料理一択だねー」
と話しながら、リンギットに換金しホテルに戻る。
いつも同じホテルに泊まるのだけれど、これまた初めて明るい所で建物の全貌を見た。そうか、こういうホテルだったのか。でもごく普通のトランジット・ホテルなので特に感動はない。
次の年からは色々と調べて、島で飲む安いビールを仕入れたり(イスラム教かつ離島のためビールが馬鹿高)、マギー・ミーという大好きなインスタント麺を買ったり、ビーチサイドのバーでビールを飲んだりと、充実したトランジット時間を過ごした。
翌日から本来の目的であるダイビングが始まるわけだけれど、こういう時間て、おまけのようで嬉しい。何だか得した気分になる。
通り過ぎるだけの街ではなくなったコタキナバル。
最後に訪れたのはコロナ前だったから、もう5年が経つ。
いつかまた行く日が来るのかな。
とりあえず、今は体調を整えることだけを考えよう。
あの素晴らしき青い世界に、潜っていくために。