【読書ノート】『床下の日常』(『人生ベストテン』より)
『床下の日常』(『人生ベストテン』より)
角田光代著
主人公(「僕」)は、クロス屋の見習い。彼女は、役者志望のフリーター。2人は半同棲の状況。というのも、お互いアパートに泊まり合いながら旅行者のごとく生活している。生活はすれ違っているのだけど、何だか幸せに生きている。
507号室からの漏水で、407号室の住人が被害を受けたらしく、「僕」は、407号室て作業を行なっていた。
キーワードを挙げてみる。
①507
数秘術によると、創造性や新しい始まりを象徴する。この数字の「5」は変化や冒険を示し、「0」は無限や可能性を示唆し、最後の「7」は内面的な成長や精神的探求を意味する。したがって、507は新たな道を切り開くことや、自己の内面を深く探求する旅を象徴している。
②407
数秘術によると、安定性や秩序を象徴する。「4」は安定や基盤を意味し、「0」は再生や新たな可能性を示し、「7」は精神的な理解を示す。この組み合わせは、物事の基盤を固め、内面的な理解を深める努力を象徴する。
総じて、507は新しい可能性や創造的な変化を追求することを、407は安定した基盤を持ちながら内面的な成長を目指すことを象徴する数字と解釈できる。
③漏水
1. 漏水は物理的な形を持たない水が、制約を越えて流れ出ることを象徴する。これは、人生における変化や流動性を示唆し、計画や期待が壊れること、または予期しない状況に直面することのメタファーと考えられる。
2. 水は時として貴重であり、その漏れは資源の無駄遣いを示す。これは、物事の無常さや、価値を持つものが簡単に失われる可能性を象徴する。人生や存在の儚さを思い起こさせる。
3. 抑圧された感情や内面的な葛藤が外に漏れ出すことを象徴する。水は感情の象徴とされることが多く、感情の流れや解放を示す。これにより、内面的な問題を認識し、対処する必要性を示唆すると考えられる。
4. 物理的な境界が破られることを意味する。これは、個人のアイデンティティや社会的な構造の脆弱さを象徴し、人々が持つ境界が時に不完全であることを示している。
④壁紙
1.自己認識や自己表現の重要性を象徴する。
2. 内面的な安全やプライバシーの象徴と考えられる。ひとは、他者とどのように距離を保ち、自己を守るかを示唆する。
3. 壁紙は容易に取り替え可能であり、部屋の雰囲気や印象を一新することができる。これは、人生における変化や再生の象徴と捉えることができ、過去を手放し、新しい可能性を受け入れることの重要性を示している。
4. 壁紙は、内側に隠された壁の構造や状態を覆い隠す。これにより、表面上の美しさと、内面的な現実との対比を象徴する。
物語の主題は何か?
ひとは安定した生活を求めるものなのだけど、生きている限り、人生は変化を繰り返すということなのだと理解した。
よく、ここは、終の住処だといって、マンションや戸建て住宅を買ったりするのだけど、生きている限り、体もそうだけど、家も劣化していくもので、お金で買える幸せには限界があるということか?
天国以外に、永遠はないのだろう。