『ローマ人の物語 28』
「ローマ人の物語 28」
塩野七生著
「ローマによる平和」を人々が享受できた背景には、社会基盤の充実があった。本書では、インフラのなかでも、水道、医療、教育が取り上げられている。
印象に残ったこと
①水道、浴場
ローマの水道は、流し放しだった。そのため、塩素などの消毒をしなくても、水質は良好だったらしい。
公衆浴場は、男女混浴だった。(ハドリアヌス帝が、男女別浴に変えてしまったが。)ただし、この公衆浴場文化が、紀元4世紀末から、廃れてしまう。キリスト教の普及によって、他人に裸を見せることが、悪とする考え方が、広まったからだという。
②医療、教育
カエサルは、医師や教師を聖職としなかった。いわゆる、個人事業主でだ。医師あるいは、教師だというだけで、ローマ市民権(当時としては、特権)を与えた。ただし、生計をたてるためには、仕事を取ってこなければならないため、自由競争に晒されるのだという。
やはり、カエサルという人物は、面白い。西洋社会の英雄というのがわかる。
ローマの崩壊は、キリスト教の普及とともにはじまる。医療や教育は、私的なものから、公共の取り扱いに変わる。その考え方が、現代社会に受け継がれていくわけだけれども、
いま、ほころびが、出始めている資本主義民主主義、自由主義社会をカエサルだったらどう見るのか聞いてみたい。
『鍋奉行』水曜日のカンパネラ