目から鱗シリーズ(第一弾)

はじめに

目から鱗シリーズ第一弾は以下のことについて書かれています。


1,「肩こったな」と言うときに上を向いたり、首を回さない方がいい?
2,腕は真横に上げてはいけない?
3,すべては「体幹」に通じる
4,ウエイトトレーニングの「デッドリフト」は覚えた方がいいですよ
5,立腰(りつよう)って知ってますか?
6,利き手交換って知ってますか?
7,テニス肘で悩んでいる方のために

どれも、治療の現場では当たり前と言えば当たり前のことなのですが、一般的には「知らなかった」と言うことではないかと思って書きました。

20年間、鍼灸師、柔道整復師として現場で指導してきたことを

「目から鱗シリーズ第一弾」にしました。

健康は治療家との二人三脚です。私が皆さんの健康生活をお手伝いさせていただきます。ぜひ「目から鱗シリーズ」を皆さんの生活に取り入れていただき、健康生活に共に取り組んでいきましょう。


1,「肩こったな」と言うときに上を向いたり、首を回さない方がいい?

長時間パソコンに向かっていたり、長時間運転したあと、首を動かしたくなりますけど、この時、上を向くようなうがい動作をするよりもあごを引いて頭のてっぺんを糸でつられているように上にのびをした方がいいんです。

つい、首を回したり、上を見たくなりますよね?

でも、これ、やらない方がいい場合があるんです。

なぜかというと、頸椎症(けいついしょう)という疾患がありますが、頸椎(けいつい)の変形などで神経が圧迫されて手がしびれたり痛みが出たり、肩胛骨や背中に痛みが出てしまうものがあります。

神経の圧迫が起きる場所が頸椎の後ろの方だったり横だったり、基本的には神経の根元なんですね。神経の出口といってもいいかもしれません。

図の黄色いものが神経です。

うがい動作をするとこの神経を骨と骨が挟み込むようにして圧迫してしまいます。

ジャクソンテスト、スパーリングテストというものがあります。

患者さんの後ろに施術者が立って、患者さんにうがい動作をしてもらい、施術者はおでこを下方向に圧迫します。これがジャクソンテストで、首を傾けて同じようにおでこを下に圧迫するものがスパーリングテストです。

このテストで、手にしびれや痛みが放散するようなら「陽性」です。つまり、頸椎症を疑います。

長時間パソコンに向かっていたり、長時間運転したあと、首を動かしたくなり、ついつい上を向いたり、首を回したりしてしまいがちですが、わざわざこのジャクソン、スパーリングテストをやるようなもので、痛みを誘発する動作を強いてしまっているようなものなのです。

これが、うがい動作をしない方がいい理由です。


2,腕は真横に上げてはいけない?

四十肩や五十肩の人はぜひとも学んで欲しいことなのですが、肩甲骨は肋骨の丸みに沿って、壁を背にした時を0度とした場合、30度角度がついています。

背中をぴったり壁につけても肩甲骨はぴったりつかずに隙間が空きますね?

これがマックスの角度と覚えてください。

これ以上腕を水平に後ろに回すと肩関節の可動域を超えてしまいます。

肩を痛める原因でインピンジメント症候群というものがあるのですが、これは骨と骨の間に筋肉が挟まり込んだりこすれたりして痛めたり、炎症を起こして痛みが出てくるものです。

インピンジとは衝突するという意味で、これを指しています。

ですので、例えば、車の運転で運転席から後部座席にある荷物を採ろうとしたときに腕だけでとると「インピンジ」を起こします。

きちんと体をねじって振り向くようにしてください。


壁にぴったり背中をつけたときに肩甲骨の面は壁から30度角度がついています。これを肩甲平面上の角度(30度)と表現したりします。

つまり、腕を横に上げるときは視界に入るくらいであげてください。

真横が0度としたら30度前方です。これ以上腕を後ろに回さないようにすることが、四十肩五十肩の予防であり、治療です。

なかなか文章では伝えにくいのですが、おわかりいただけたでしょうか?

もしわからなければ、遠慮なくご質問ください。





3,すべては「体幹」に通じる

よく「体幹」と言われますが、具体的にはおなかと腰の部分で、体の幹です。

イラストで見ていきましょう。

横隔膜と腹筋と背筋と骨盤底筋で囲まれた部分を「体幹」と言います。

前屈をしたり、床にある物をとろうとした際などに痛めやすい腰。

持つときはしゃがんで持つとか、腰を曲げないようにして持つなど、痛めないような工夫はいくつかあるのですが、一番は体幹を固めて動作をすると言うことです。

手を伸ばすとき、前屈みになるとき、振り向くとき、足を上げるとき・・・

すべての動作で体幹を固めてから動作します。

実はこれが一番大事です。

今度からしゃがむときや物をとるとき、手を伸ばすとき、すべての動作でおなかに力を入れましょう!!


4,ウエイトトレーニングの「デッドリフト」は覚えた方がいいですよ

デッドリフトとはウエイトトレーニングのメニューの名前です。(上の写真)

床にある荷物をしゃがんで持ち上げるような動作をします。

荷物を床から持ち上げる際はこの姿勢が腰を痛めにくく、ベストな姿勢といえます。

しかしここで注意してもらいたいのが体幹に力を入れて持つことです。

これが一番大事です。前項で書いた「体幹」が大事になってきます。

荷物を持つ際は下の写真のように持つように心がけ、この際に「体幹」に力を入れて、必ず「体幹」を意識するようにしてください。



5,立腰(りつよう)って知ってますか?

「立腰」という言葉をご存じでしょうか?

立腰教育とは、『 教育哲学者:森 信三先生の学問と人生観が、人間 の躾という角度において結晶したもの 』

私は、「致知」という人間学の雑誌を定期購読しています。この雑誌で知ったのですが、教育哲学者:森 信三先生の立腰教育があります。

「立腰教育」のなかに腰を立てる姿勢「いい姿勢」をすることで、

いちいち「人の話を聞きなさい!」なんて言わなくても

  ・人の話を集中して聞ける

「靴はちゃんと並べなさい!」なんて言わなくても

  ・ちゃんと脱いだ靴を並べるようになる

などがあるそうです。

集会なので生徒を集めたときなどに「きをつけ」とか「姿勢を正して」と号令するところを「こしぼね!」と言うらしいです。

子供達は「こしぼね!」の合図で、腰椎はなるべく前に、おしりは後ろに出します。これが「腰骨を立てる」といい「いい姿勢」というわけです。

実はこれは、「整体」的にいってもいい姿勢なのです。

いい姿勢というと胸を突き出すようにしたり、のけぞったりしますが、これだといまいち腰が決まっていない。体幹に力を入れるのがいい姿勢なのですが、やっぱり骨盤から姿勢を考えた方がいいのです。

腰椎をなるべく前に、おしりは後ろに突き出します。

これが「立腰」の姿勢です。

さらに、あごを引いて、頭のてっぺんを糸でつられているように上に伸びます。これで姿勢はOKです。

ぜひ、意識してみてください。


6,利き手交換って知ってますか?

意識しないとつい「利き手」を使って生活してしまいます。よく観察してみるとほとんどが「利き手」を使っていると思います。

試しに一日、どちらの手をよく使っているか観察してみてください。

いかがでしたか?


腱鞘炎や関節が痛くなるのは、ほとんどが「使いすぎ」です。

「そんなに使っていないのにな」と思うかもしれませんが、よく観察してみると「利き手」「利き足」をよく使いますし、生活の中で動作も偏ります。いつも同じ動作をしまっているのに気付くと思います。


ここで試しに「利き手交換」をしてみてください。

例えばテーブルをふきんで拭くとき、右利きの方は左手で拭いてください。

掃除機をかけるとき、左手でかけてください。

ドアノブをまわす、蛇口をひねる、スイッチを押す、物を取り出す、運ぶ、などなど、左手でやってみてください。

細かい動作は難しいにしても、できそうな物からどんどん利き手交換をしてください。これだけで、腱鞘炎や関節の痛み、筋肉の痛みなどを予防、治療できます。

体をまんべんなく使い、一カ所だけ使いすぎるというのを防ぐだけで、痛めることを予防できます。


7,テニス肘で悩んでいる方のために

上記の利き手交換でも書いたのですが、テニス肘の治療に「利き手交換」は有効です。

テニス肘は正式には上腕骨外側上顆炎といい肘の外側の突起が痛くなります。ここに前腕の筋肉、指、手首を動かす筋肉が付着します。手首を手の甲側に返したり、指を甲側に伸ばす動作を繰り返すことで痛めてしまいます。

テニスのバックハンドは、本来は手首を返さないのですが、初心者は手首を帰して打ち返してしまい、肘を痛めてしまいます。

実はテニス肘は初心者に多いと言われています。

また、加えて説明しますと、テニス肘は退行性変性、つまり老化現象が背景にあります。若い子はなりません。


さて、テニス肘はドアノブを回す、フライパンや鍋を上からつかむようにしたときに肘が痛む、風呂桶で風呂の水をくむ、歯磨き、などの動作時に痛みますが、痛めてしまった側の腕を使わないことで、安静を保つことができます。(利き手交換)

それでもなかなか治りにくいのがテニス肘なのですが、まずこれをやってください。

具体的にはこんな動作いいと思いますが、

テーブルをふきんで拭くときに、右手で親指の方に向かって拭いたら、今度は左手に持ち替えて、親指の方に向かって拭きます。

ワイパーのように右、左、右、左、という具合に拭いてください。

フライパンを持つときは、上からつかむのではなく、手のひらを上に向けて、下から支えるように持ってください。これは手のひらを上に向けて持ったときは痛めている場所と関係ない筋肉を使いますので、フライパンを持っても痛くないのです。

風呂桶も同じです。手のひらを上にして持ってください。

他にも、痛みを誘発しないような動作を行うことで、局部を安静にできます。これがポイントです。


以上、目から鱗シリーズ第一弾をお送りしました。

分からないことがありましたら遠慮なくご質問ください。

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エミール
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