【漫画書評】『リボーンの棋士』は大人こそ読むべき!人生に本当の負けなんてない。
ロッシーです。
私は将棋が好きです。
将棋をテーマにした漫画を読むのも好きです。
というわけで、『リボーンの棋士』を読んだ感想を書きます。
今までに読んだ将棋漫画の中で、ベスト1位! でした。
全部でたったの7巻しかありません。でも、その短い中にギュッと中身が凝縮されており、本当に良い漫画でした。
将棋漫画といえば、『月下の棋士』、『ハチワンダイバー』、『3月のライオン』も面白いです。
しかし、『リボーンの棋士』は、他の将棋漫画よりも人生における大事なテーマによりフォーカスしていると思います。
そのテーマとは何なのか?
それはまさに、タイトルにある「リボーン」という言葉です。
「リボーン」というのは、
という意味です。
つまり、この漫画の中核をなすテーマは、再生の物語なのです。
この漫画のストーリを簡単に述べます。
主人公は、奨励会三段リーグでプロ棋士になることを目指していましたが、26歳の年齢制限前に四段になることができず、プロ棋士をあきらめた30歳の安住という男性です。
プロ棋士を目指すため、将棋だけしかしてこなかった彼は、フリーターとしてバイトをしながら生活する毎日を送っています。
そんなある日、ひょんなことから、将棋に再び関わっていくことになりま
す。
そして、その過程で、彼自身はもとより、彼を取り巻く人々が「リボーン」つまり、再生していくという物語なのです。
誰だって、人生において、何かがうまくいかなかった経験や挫折した経験があると思います。
この記事を読んでいるあなただって、そういうことはあるはずです。
だからこそ、漫画の登場人物に共感できるのです。
こっちの「自分」とあっちの「彼ら(登場人物)」
という別々の関係ではなく、
「自分」=「彼ら(登場人物)」
という風に共感することができるのです。
もちろん将棋漫画ですから、将棋が分からないよりかは、分かったほうがより一層楽しめるでしょう。
でも、この漫画は、将棋のゲーム的要素よりもむしろ、将棋をとりまく「人生模様」についてフォーカスしているので、将棋を知らなくてもそれほど関係ないと思います。
何かがうまくいかなかった経験や、挫折した経験があればそれで充分です。将棋は、それをより描きやすくする材料のひとつであって、別に囲碁でも麻雀でも野球でもなんでも同じだと思います。
この漫画を読むと、
「人生に本当の負けなんてないんだ。」
ということが分かります。
これだけ言うと、
「なにキレイごと言ってるんだよ。」
と思う人もいるでしょう。
私もそれを否定するつもりはありません。
勝負というものがあり、勝者と敗者が生まれる以上、そこには負けというものが厳然として存在します。それは当たり前のことですから、それを否定するわけではありません。負けは負けです。
ここでいう「本当の負けはない」というのは、そういった勝負レベルでの「勝ち」「負け」の話を意味しているのではありません。
そうではなく、人生におけるスタンスとしての勝ち負けのことをいっています。
つまり、どれだけ負けても、いくら打ちのめされても、何度でも勝負に挑む人にとっては、本当の負けはないのだということです。
そういう人は、個別の勝負にいくら負けようとも、人生におけるスタンスとして負けることはありません。
逆に、人生で負けを知らずに勝ちまくってきた人が、何かひょんなことから一度こっぴどく負けただけで、人生を諦めてしまうようなことがあります。
そのほうが、本当の意味での負けではないでしょうか。
負けることが大事だとか、負け癖をつけろ、とかいうことを言いたいわけではありません。
勝とうとすることは大事です。
でも、もっと大事なことは、たとえ負けたとしても、次に負けることを恐れないで挑戦し続けるスタンスを維持することだと思うのです。
こういう人は本当に強いと思います。
「へへ、また負けちまったか。でも、何度だってまたやってやるぜ!」
というような人間、つまりスタンスとしての負けを認めない人間は、ある意味人生における勝者なのではないでしょうか。
人生はうまくいくことばかりではありません。
希望していた大学や会社に入れなかった。
仕事をいくら頑張っても認めてもらえない。
そんなことはいくらでもあるでしょう。
でも、それで人生負けなのでしょうか。
負けだと自分で決めつけるから負けなのではないでしょうか。
そもそも、人生における負けの定義なんてないはずです。
結局は、自分で負けだと決めつけて自滅しているほうが多いのではないでしょうか。
だとすれば、「自分は負けない」と決めつけることだってできるのではないでしょうか。
同じ決めつけなら、そっちのほうが前向きになれると思います。
「そんな風に思えたら苦労しないよ。」
と思う人もいるでしょう。
でも、少しずつでもいいから、根拠はなくてもいいから、そういう風に前向きに自分自身を決めつけてみてください。
いつか、「私は負けない」と思えるときがくるでしょう。
その時、あなたの再生(リボーン)の物語がスタートするのだと思います。
『リボーンの棋士』を読んで、そんな風に感じました。
ぜひ、興味がある人は読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Thank you for reading !