【書評】『スクラッチ』はコロナで失った人達への鎮魂歌
ロッシーです。
『スクラッチ』(著者:歌代朔)を読みました。
ウチの子供が「読みたい!」と言うので買った本です。
人気があるのかな?と思いアマゾンの書評を見ると、なんと4.8もの高評価だったので、自分でも読んでみることにしました。
ちなみに、あらすじをアマゾンから引用します。↓
いや~よかったです!
久しぶりにこういう青春小説を読みました。
なかなかこの年になると、いわゆる青春小説的なものを読まなくなります。過ぎ去った日よりも、今の自分に近しい小説を読んでしまいがちなので。
そういう意味では貴重な経験でしたね。
もちろん、青春小説として非常によくできていると思いますが、個人的には、この物語はコロナで失った人達への「鎮魂歌」のように感じられました。
コロナによって、私たちは色々なものを失いました。
特に、子供たちはそれがひどかったと思います。
黙食での給食、マスクをしての運動会や合唱、修学旅行や林間学校、大きな試合や催しものの中止・・・などなど。
あらゆるものが中止になりました。
子供時代の学校の授業なんてほとんど記憶に残っていませんよね?
でも、行事はしっかりと記憶に残っているものです。修学旅行でいろいろやらかした思い出など、しっかりと記憶に残っています。
だから、コロナでそういうものが奪われてしまったことは、本当に残酷だと思います。
さて、今はどうでしょう。
「もうコロナは終わった」
という気分のほうが強いのではないでしょうか。
でも、私たちは、コロナによる喪失の時代があったことを忘れてはならないと思いますし、それを何らかのかたちで鎮魂することが必要なのだと思います。
その意味では、この小説はまさにそのために書かれなければならなかったのだと思います。
コロナにより奪われたものが沢山あった子供たちには、ぜひ読んでほしいです。きっと何らかの癒しをこの小説から得られるのではないでしょうか。
物語には、読んで楽しむだけではなく、鎮魂という目的があることを、本書を読んで改めて認識しました。
思えば、古来から人間はそうやって言葉を使ってきたのですよね。
それは、歌、建物、しきたり、お祭りなども同様です。
本書を読むことで、物語にそういう力があることを知ってほしいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Thank you for reading!